豊島区立 熊谷守一美術館で「画壇の仙人」の日本画を楽しむ大人のデートプラン|東京

この記事では、東京都にある「豊島区立 熊谷守一美術館」をメインに、国の重要文化財である建築や日本庭園を満喫できるデートプランをご紹介します。

熊谷守一美術館は、「画壇の仙人」と呼ばれ、抽象度の高い具象画という独特のスタイルの絵画を描いた画家・熊谷守一(くまがいもりかず)の作品を展示している美術館です。熊谷守一の作品は、シンプルながらも深い洞察力を感じさせる独特な魅力があります。

美術館で作品を鑑賞した後は、著名な建築家フランク・ロイド・ライトが100年前に設計した「自由学園明日館」や、伝統的な日本庭園である「豊島区立目白庭園」を訪れ、二人で美しい建築や庭を散策しましょう。これらの場所は、それぞれ異なる魅力を持ち、豊かな文化体験を提供してくれます。

こんなカップルにおすすめ!
向いてる年代:20歳〜59歳
おすすめカップル:芸術や建築などに関心のあるカップル
どんなデート?:美術、建築、日本庭園を楽しむデート
目安時間:半日
目安予算:2人で6,000〜7,000円

熊谷守一の独特な画風と周辺の文化施設を巡る大人のデートプラン

豊島区立熊谷守一美術館の展示室

今回は、熊谷守一美術館を中心に、和食ランチと日本庭園、名建築を巡る、心を豊かにするデートプランをご紹介します。芸術と自然、そして伝統的な日本の魅力を一日で楽しめる内容となっています。

10:30~11:30 「熊谷守一美術館」を観覧
12:00~13:00 「あえん目白店」にて和食のランチ
13:00~14:30 「豊島区立目白庭園」を散策
14:30~16:00 「自由学園明日館」を見学

まずは、熊谷守一美術館を訪れます。静かな雰囲気の中で、素朴で味わい深い絵画作品とじっくり向き合いましょう。熊谷守一の作品は親しみやすく、難解な解釈を必要としないため、カップルで気軽に楽しむことができます

美術館観覧の後は、「あえん目白店」で健康的で美味しい和食ランチをいただきます。食事の後は、すぐ近くにある「目白庭園」で季節の花々や日本庭園の美しさを堪能しながら散策を楽しみます。

最後に訪れるのは、目白庭園から徒歩圏内にある「自由学園明日館」です。喫茶付きの見学コースを選び、歴史ある美しい建築の中でゆっくりと休憩しましょう。

これから、デートプランの中心となる熊谷守一美術館について、詳しくご紹介していきます。

「画壇の仙人」熊谷守一の魅力が満載

熊谷守一の作品「白猫」
▲熊谷守一の作品「白猫」

豊島区立熊谷守一美術館は、東京都豊島区にある美術館です。熊谷守一は、シンプルで味わい深い絵を描く日本画家として知られ、その独特な画風に魅了されるファンが多くいます。

美術館は熊谷守一が晩年までの45年間生活した旧居の跡地に建てられており、彼が実際に暮らし、制作活動を行っていた場所です。ここでは、油絵・墨絵・書など、熊谷の多彩な作品を鑑賞することができます。興味深いことに、熊谷守一は80歳から97歳で亡くなるまでの約17年間、1日のほとんどをこの自宅の庭で過ごしていたそうです。

さらに、展示作品に添えられた解説文は、美術館館長であり熊谷守一の次女でもある画家・熊谷榧(かや)さんによるものです。一般的な美術館の作品解説とは異なり、父親を知り尽くした娘ならではの親しみやすい言葉で書かれており、作品への理解をより深めることができます。

今回は「豊島区立熊谷守一美術館」のスタッフである高崎さんにインタビュー取材を行い、施設の魅力や周辺の施設についてお話を伺いました。

初期から最晩年まで:熊谷守一の画風の変遷を辿る展示構成

豊島区立熊谷守一美術館の展示室とベンチ

編集部

映画「モリのいる場所」をきっかけに熊谷守一さんの作品に興味を持ちました。実際に守一さんがいらっしゃった場所で多くの作品を見ることができ、とてもうれしく思います。

熊谷守一美術館の特徴や展示の見どころを教えてください。

スタッフ:高崎さん

当館は熊谷守一が45年間住み続けた旧宅跡地に設立されました。熊谷守一の油彩画や墨絵、書、クロッキー、オイルパステルなどの平面作品のほか、陶磁器やブロンズなどの立体作品を収蔵しています。

常設展示では、第1展示室に油絵を中心に約40点、第2展示室には墨絵や書・パステル画・クロッキー等を約20点、初期から最晩年まで計約60点の守一作品をご覧いただけます。

第2展示室の墨絵や書
▲第2展示室には墨絵や書・パステル画・クロッキーなどが展示されています

小規模な施設ながら、熊谷守一の画風の変化や油彩画以外の作品もご覧いただけます。

また、熊谷守一の次女で当館の館長を務める熊谷榧(かや)さんによる作品解説も魅力の一つです。作品が当館に来るまでの裏話や、家族ならではのエピソードを交えた解説となっています。

編集部

絵画だけでなく、書など様々な作品が展示されており、多才な熊谷守一さんの魅力が伝わってきました。

熊谷守一美術館の建物に特徴があると伺いましたが、詳しく教えていただけますか?

スタッフ:高崎さん

美術館を設計した方のこだわりで、Caféスペースが地面より一段低く設計されています。椅子に座ると、ほぼ地面と同じ目線になります。

熊谷守一はよく自分の庭で寝転がり、様々な生き物を観察していたそうです。その目線で現在の庭を眺めることができるよう工夫されています。

地面より一段低く設計されているCaféスペース
▲Caféスペースは地面より一段低く設計されています

現在も庭には守一作品のモチーフに登場する蝶や猫がよく遊びにきます。タンポポやヒガンバナなども季節ごとに咲くので、椅子に座ってゆっくり景色を楽しむのもおすすめです。

平日は落ち着いた雰囲気で、展示室で絵を鑑賞したり、各フロアにある椅子で休憩したりしながら、ゆったりとした時間をお過ごしいただけます。

編集部

作品はもちろん、庭も含めた美術館の落ち着いた佇まいも素敵ですね。来館者の方にはどのようなことを感じてほしいですか?

スタッフ:高崎さん

熊谷守一は自宅の小さな庭に息づく草花や蟻、蝶、猫といった小さな生きものを好んで描いています。作品を通して、熊谷守一がそのモチーフに感じた美しさや感動を感じていただきたいです。

来館されるファンの方から、熊谷守一の自宅にあった庭についてのお問い合わせをいただくことがありますが、残念ながら設立時に庭を残すことはできませんでした。しかし、守一が魅力を見出したごく身近な生きものたちは、今でも当館前の庭に姿を見せてくれます。

編集部

作品のモデルが小動物だと思うと、より愛おしさを感じますね。この美術館は初めは私設美術館として開館し、2007年に作品を豊島区に寄贈して区立美術館となったそうですね。

常設展示の入れ替えはないとのことですが、企画展について教えてください。

スタッフ:高崎さん

毎年4月~6月頃に開館記念展を実施しています。1985年の開館から続く年に1度の特別企画展です。他館所蔵の作品を借用するため、普段とは異なる作品をご覧いただけます。

その他の期間には常設展示のほか、3階では随時関連企画の展示も行っています。特別企画展と常設展を見比べてみるのも楽しいかもしれません。

編集部

企画展に合わせてカップルで訪れれば、より作品を堪能できそうですね。作品だけでなく、熊谷守一さんの生き方そのものも興味深いので、生活資料の展示も気になります。

熊谷守一の恋心が垣間見える「某夫人像」の魅力

熊谷守一の作品「某夫人像」
▲熊谷守一の作品「某夫人像」

編集部

高崎さんが思う美術館の魅力を教えてください。

スタッフ:高崎さん

都内でまとまった数の守一作品を年間を通じ常設でご覧いただける施設は、おそらく当館だけです。

また、作品には榧館長による解説が付けられています。身内ならではの親しみやすい解説文となっていますので、絵画鑑賞と共に楽しんでいただけると思います。

編集部

展示作品の中で、高崎さんが特に好きな作品を教えてください。

スタッフ:高崎さん

私が特に好きな作品は、『某夫人像』(油彩/1918年)です。こちらは若き日の守一(38歳)が、後の妻となる秀子さんを描いた作品で、守一さんの秀子さんに対する想いが感じられる気がします。

編集部

後年のシンプルな画風とは異なり、丁寧に描かれた女性の姿が印象的です。図案のような猫や蟻を描いた絵と比べると、画風の変化がよくわかりますね。

ショップではどのようなグッズが販売されていますか?

熊谷守一美術館のショップで販売されているポストカードなど
▲ショップではポストカードなどが販売されています

スタッフ:高崎さん

当館オリジナルグッズの他、熊谷守一関連書籍や熊谷守一グッズを販売しております。

編集部

京都の染め屋さんに一点ずつ縫製してもらったという、熊谷守一「白猫」のポーチが魅力的ですね。作品をいつも身近に感じられるグッズは、デートの素敵な記念にもなりそうです。

来館者の声:熊谷守一美術館の魅力と評価

熊谷守一美術館の館内からみた美術館の庭

編集部

熊谷守一美術館に来館された方からは、どのような感想をいただいていますか?

スタッフ:高崎さん

来館者の方々からは、主に3つの点で高評価をいただいています。まず、「とても静かに鑑賞できました」という館内の落ち着いた雰囲気について。次に、「守一さんの作品を見ていると気持ちが落ち着いてホッとします」という熊谷守一さんの作品がもたらす心の安らぎについて。そして、「榧さんの作品解説が面白いです」という榧館長による解説の魅力についてです。これらの点が特に来館者の方々に印象深く受け止められているようです。

「作品に見入ってしまう」「美術館の静かな佇まいが良い」との声が多数

編集部でGoogleやポータルサイト、SNSなどで実際の口コミを調査し、その要約を紹介します。

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シンプルながら細部まで丁寧に描かれた絵に見入ってしまいました。再訪したいと思います。
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静かで落ち着いた雰囲気の中で、一枚一枚の絵とじっくり向き合えて、贅沢な時間を過ごせました。
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作品の解説文が温かみのある文章で、思わず引き込まれてしまいます。
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住宅街の中にひっそりとある、静かで小さな美術館でとても良い雰囲気でした。

作品の素晴らしさや解説の魅力的な点を評価する声が多く寄せられていました。また、美術館自体の佇まいの良さを指摘している人も多数いました。ぜひ皆さんも足を運んで、素敵な作品の世界に浸ってみてはいかがでしょうか。

熊谷守一美術館からカップルへのメッセージ

熊谷守一美術館の高崎さん

編集部

これから熊谷守一美術館を訪れようと考えているカップルへメッセージをお願いします。

スタッフ:高崎さん

守一は身近にあるものをよく観察し、自分の感覚や経験に真摯に向き合ってきた作家です。枯れ木や蠅といった、一見印象の悪い題材でも、守一の作品の中では生き生きと表現されています。

日常生活での視点の変化を体験したい方には新しい発見が多く、きっと楽しめると思います。例えば、普段見過ごしているような小さな草花や昆虫にも、新たな魅力を感じられるかもしれません。

作品に描かれた猫や鳥はとても愛らしいので、美術鑑賞に苦手意識がある方でも、素直に楽しんでいただけると思います。守一の作品を通じて、二人で新しい視点を共有する素敵な時間を過ごしていただければ幸いです。

編集部

本日はありがとうございました。

豊島区立熊谷守一美術館:アクセスと観覧情報

住所 〒171-0044
東京都豊島区千早2-27-6
アクセス 【東京メトロ】
・有楽町線・副都心線「要町駅」の出口1・2から徒歩9分
・有楽町線・副都心線「千川駅」の出口3から徒歩9分
【西武池袋線】
・「椎名町駅」の北口から徒歩13分
【国際興業バス】
・「要小学校」停留所下車、徒歩5分
開館時間 10:30~17:30(入館は17:00まで)
休館日 ・毎週月曜日(祝日も休館)
・年末年始(12月25日~1月7日)
観覧料 ・一般:500円(企画展は特別料金)
・高校生、大学生:300円
・小学生、中学生:100円
・未就学児:無料
・障がい者手帳をご提示の方:100円
(介助者1名は無料)
駐車場 1台(身体の不自由な方を優先)
※満車の場合は近隣のコインパーキングをご利用ください。
電話番号 03-3957-3779
公式サイト http://kumagai-morikazu.jp/

※最新の情報は公式ホームページでご確認ください。
※記事中の金額はすべて税込表示です。

熊谷守一美術館周辺で楽しむ文化施設とグルメスポット

熊谷守一美術館の滞在時間は約1時間です。日本画の鑑賞後は、重要文化財に指定されている建築物や趣ある日本庭園を巡ります。

地元の人でもあまり訪れない隠れた名所を厳選していますので、この機会に足を運び、大切な人と一緒に豊島区の魅力を存分に味わってください。

おすすめのデートスポット

建築の傑作:重要文化財に指定された自由学園明日館

自由学園明日館は、熊谷守一美術館から徒歩と地下鉄で20分ほどのところにあります。1921年(大正10年)に、自由学園の校舎として、アメリカの著名な建築家フランク・ロイド・ライトの設計により建設されました。

現在は国の重要文化財に指定されており、コーヒーや紅茶と焼き菓子をいただける喫茶付き見学も楽しめます。歴史ある美しく端正な建築の中で、カップルでゆっくりとくつろいだ時間を過ごすことができます。大正時代の雰囲気を感じながら、お互いの会話を楽しむのにぴったりの場所です。

自由学園明日館公式サイト:https://jiyu.jp/

和の趣きを楽しむ:豊島区立目白庭園の魅力

豊島区立目白庭園は、熊谷守一美術館から徒歩と地下鉄で25分ほどのところにあります。また、自由学園明日館からは徒歩で5分ほどの場所にあるので、明日館の後に訪れるのがおすすめです。

自然に接し、伝統文化を育む場として豊島区が建設した伝統的な日本庭園です。回遊式の園路では、池の周囲を巡りながら、四季折々の美しい景色を楽しむことができます。紅葉や桜の季節には特に美しい風景が広がります。

都会の喧騒から離れた、静かで心安らぐ環境で過ごせば、二人の絆を深める素敵なひとときになることでしょう。ゆったりとした時間の流れの中で、お互いの気持ちを確かめ合うのもよいかもしれません。

豊島区立目白庭園公式サイト:https://mejiro-garden.com/

ヘルシーな和食を楽しむ:あえん目白店でのランチタイム

「あえん目白店」は、自由学園明日館や豊島区立目白庭園から徒歩で5〜10分のところにある和食レストランです。日の光が差し込む開放的な雰囲気の店内でゆったりとくつろぎながら、季節の野菜や新鮮な魚、良質な肉を使った「日本のご馳走」を楽しむことができます。

ヘルシーな和食ランチをいただいた後に、目白庭園を散策すれば、日本文化の魅力を再発見できる素敵なデートになるでしょう。

あえん公式サイト:https://aen-restaurant.jp/

美術館で一息:「Café Kaya」で熊谷榧の作品を鑑賞しながらのカフェタイム

熊谷守一美術館の館内にある「Café Kaya」の様子

熊谷守一美術館の館内には、「Café Kaya(カフェ カヤ)」が併設されています。

このカフェスペースでは、美術館館長であり、熊谷守一の次女でもある画家・熊谷榧(かや)さんの作品を鑑賞することができます。芸術に触れながらくつろぎのひとときを過ごせる、デートにぴったりの場所です。
※営業時間や展示内容など、最新の情報については、熊谷守一美術館(03-3957-3779)までお問い合わせください。

まとめ:熊谷守一の芸術と周辺文化施設で織りなす心豊かなデート体験

今回は、熊谷守一美術館とその近隣の日本庭園や名建築を巡るデートプランを紹介しました。

熊谷守一美術館は、素朴さの中に見る者を惹きつけて離さない強烈な魅力を持つ熊谷守一の作品を展示しています。独特の画風と色彩感覚が特徴的で、二人で鑑賞しながら感想を共有する楽しみがあります。また、美術館の周辺には日本庭園や歴史的な建築物など、カップルで巡るのにふさわしいデートスポットがたくさんあります。

カップルで美しい芸術作品や風景に触れることで、心が豊かになり、お互いの感性や価値観を知るきっかけにもなります。こうした体験を通じて、二人の絆がさらに深まることでしょう。ぜひ次回のデートの参考にしてみてください。