【宮城県登米市】髙倉勝子美術館桜小路で味わう日本画の魅力と明治の町並みデート

田園に川、森など豊かな自然が広がる町・宮城県登米市。この地に残る風情ある美術館のひとつに「髙倉勝子美術館桜小路」があります。

髙倉勝子美術館桜小路は、大正生まれの女流画家・高倉勝子さんの作品を展示する美術館です。

周辺には県や市が指定する有形文化財を活用した資料館や武家屋敷、史跡などが残り、まるで明治時代にタイムスリップしたかのような雰囲気を味わえます。カップルで休日にのんびりと散策するのにぴったりな場所です。

今回は、「髙倉勝子美術館桜小路」を中心としたデートプランをご紹介します。

このデートプランの特徴
向いている年代:30歳〜59歳
おすすめカップル:のんびりとした雰囲気が好きなカップル
どんなデート?:芸術鑑賞、歴史探訪、のどかな散策
目安時間:半日
目安予算:3,000円

髙倉勝子美術館桜小路で芸術と歴史を楽しむデート

お昼を食べた後、髙倉勝子美術館桜小路を中心に、登米市をゆっくりと散策するデートプランです。歴史的な雰囲気を楽しみながら、のんびりと過ごせる内容となっています。

12時 登米市に到着
12時〜13時 ランチを楽しむ
13時〜14時 髙倉勝子美術館桜小路を鑑賞
14時〜15時 カフェでくつろぎのひととき
15時〜17時 みやぎの明治村を散策

登米懐古館や伝統芸能伝承館「森舞台」など、美術館を含む主要な観光施設6館すべてを訪れても、ランチとカフェでの休憩を含めて1人3,000円程度で楽しめます。

明治時代の面影を残す町並みは落ち着いた雰囲気で大人向きですが、趣のある建物や自然の景観など、写真映えするスポットが多数あります。レトロな雰囲気を好むカップルであれば、年齢を問わず楽しめるデートスポットです。

基本情報:アクセスや営業時間は

公式サイト https://www.takakura-art.com/
住所 〒987-0702
宮城県登米市登米町寺池桜小路88-1
アクセス ・車
登米ICより5分、新田駅より30分
・高速バス
仙台駅よりとよま総合支所行き「とよま明治村停留所(美術館前)」下車
営業時間 9:00~16:30
休館日 12月28日~1月4日
駐車場 あり
料金 一般200円、高校生150円、小・中学生100円
電話番号 0220-52-2755
予約 不要
比較的空いている時間 午前中
備考 館内での写真撮影は禁止

※最新の情報は公式ホームページ等でご確認をお願いいたします。
※記事中の金額はすべて税込表示です。

それでは、髙倉勝子美術館桜小路について詳しく解説していきます。

見どころ:原爆にも負けずに自然への慈しみ描いた作品たち

髙倉勝子美術館桜小路の常設展示室

髙倉勝子美術館桜小路の館長を務める山田忠則さんに、美術館の魅力について伺いました。

編集部

まず、髙倉勝子美術館桜小路の魅力について教えてください。

山田さん

当館では、宮城県登米市(旧登米町)出身の大正生まれの女流画家、髙倉勝子さんの絵画作品を展示しております。

髙倉勝子さんご自身の作品93点と、それを収蔵・展示する建物を登米市にご寄贈され、2009年10月に開館いたしました。宮城県内には一人の作家の作品だけを展示している小さな美術館がいくつかありますが、女性画家の美術館としては、2024年1月現在、当館が県内唯一となっております。

また勝子さんは「ご自分の作品を後世に残したい」という思いとともに「故郷の文化活動の一翼を担いたい」との願いをお持ちでした。そこで設けられた多目的室は、創作活動をされている方々の発表の場やワークショップの会場、ミニコンサートなどに活用されており、勝子さんのご意向に沿った運営ができていると考えております。

東北の小さな農村に生まれ育った勝子さんが表現し続けたのは、自らを育んだ「大きな自然への変わらぬ畏敬の念」と「その厳しさの中で暮らしを営む人々への慈しみ」です。人生経験を積んだ方ほど、作品から伝わるものが大きいように感じます。

編集部

高倉勝子さんは広島に原爆が投下された際、ちょうど広島にお住まいで全身負傷されたそうですね。原爆症の不安に生涯悩みながらも、登米の自然に癒されながら創作活動を果敢に続けられたと知り、感銘を受けました。日々、自然の美しさ・凄み・怖さなどさまざまな側面を見つめながら筆を走らせてこられたのだと思います。

高倉勝子さんの作品を拝見すると、優しさが感じられつつも、体のどこかが少し緊張するような独特の雰囲気があります。多様な思いが込められているようで、一枚一枚じっくりと見入ってしまいます。

必見の名作「漁婦」:大胆な構図と印象的な色彩が魅力的

髙倉勝子美術館桜小路のアトリエ再現スペース

編集部

続いて、高倉勝子作品の展示内容について詳しく教えていただけますでしょうか?

山田さん

和紙と岩絵具を用いて日本画の技法で制作された作品と、水墨画の作品がございます。現在、常設展示室では日本画24点・水墨画4点をご覧いただけます。(※インタビュー時点の情報のため、最新情報は公式サイトをご確認ください)

髙倉勝子美術館桜小路で展示されている水墨画
▲常設展示室南側には屏風仕立ての水墨画がある

通路ギャラリーでは、絵本の原画16点と、長尺の絵巻物仕立ての作品を三部に分けて額装したものを展示しています。

宮城県登米市にある髙倉勝子美術館桜小路の通路ギャラリー
▲通路ギャラリーは時間を忘れて見入ってしまう作品がたくさん!

髙倉勝子美術館桜小路で展示されている絵本の原画
▲貴重な絵本の原画が見られる

日本画は額装されており、小品も何点かありますがほとんど縦が1.3m前後の比較的大型なサイズです。これは規格外の独自のサイズですが、見応えを感じていただけることでしょう。

私のお気に入りは「漁婦」です。勝子さんご自身としても画家としても脂の乗りきった年代である昭和30年代に描かれた作品です。たくましく生きる浜の女性を勝子さんの持ち味ともいえる大胆な構図で、一見暗い色調ながら胡粉の白の鮮やかなコントラストが印象的です。ぜひ実際に作品をご覧いただきたいです。

また、過去には「望郷」「春」「仏像」「薪能」といったテーマ展も開催しました。

編集部

岩絵具で描いた日本画と水墨画の、異なる画法が見られる点は魅力のひとつですね。変化があることで、最後まで集中が途切れることなく楽しめそうです。

「漁婦」は第26回河北美術展で東北放送賞を受賞した作品だそうですね。高倉勝子さんは他にも多くの受賞歴があり、内閣総理大臣から紺綬褒章も授与されたと伺いました。想像を超える苦難を乗り越えて強く生きられた姿は、多くの人に感銘を与えているのでしょう。

多目的室では地元作家の多彩な作品も随時展示

髙倉勝子美術館桜小路の多目的室で開催された高校生絵画展

編集部

作品が心に響くので、何度も来館される方も多いのではないでしょうか。髙倉勝子美術館桜小路では季節ごとにどのような楽しみがありますか?

山田さん

常設展示室の作品は季節ごとに一部を入れ替えています。これにより、季節ごとに異なる楽しみを感じていただけるようにしています。

多目的室では地元の作家の作品を随時展示しており、絵画作品だけでなく、ガラス工芸・陶芸・布細工・木工品など、時期によって展示内容が変わります。展示に合わせてワークショップが開催されることもあります。

髙倉勝子美術館桜小路の多目的室で展示された吊るし飾り

髙倉勝子美術館桜小路の多目的室で展示された七夕飾り

髙倉勝子美術館桜小路の多目的室で開催された布細工展の雛人形など

髙倉勝子美術館桜小路の多目的室で開催された布細工展

髙倉勝子美術館桜小路の多目的室で開催された手芸作家による布細工展

髙倉勝子美術館桜小路の多目的室で開催された登米市出身切り絵作家の作品展

髙倉勝子美術館桜小路の多目的室で行われた地元中学生による切り絵展の別室

スクロールで多目的室での展示風景の写真が見られます→

美術館周辺の景色の変化も魅力的です。秋は紅葉、冬は雪景色、そして春は桜が見どころです。特に前庭の枝垂れ桜は当館のシンボルツリーとも言える見事な花を咲かせます。

枝垂れ桜が満開の頃の髙倉勝子美術館桜小路
▲前庭の枝垂れ桜は撮影スポットにもぴったり

髙倉勝子美術館桜小路を武家屋敷通りから眺める
▲武家屋敷通りからは大きな桜の木がのぞめる

小さな建物ではありますが、館内のあちこちに心のこもったおもてなしの工夫があります。例えば、生けられた野の花や千代紙の変わり折り鶴などを置き、ご来館の皆様に温かい気持ちになっていただけるよう心がけています。

鑑賞後は、小さなショップにもお立ち寄りください。当館オリジナルのポストカード、画集、原画を展示している絵本などを取り揃えています。また、多目的室で展示経験のある作家のオリジナルグッズも販売しており、フレーム入りイラスト・マグカップ・グラス・ストラップなどがあります。

宮城県登米市にある髙倉勝子美術館桜小路のミュージアムショップ
▲ミュージアムショップでは記念になるオリジナルグッズが満載

編集部

高倉勝子さんの作品が季節によって入れ替わるのは魅力的ですね。時期を変えて同じ作品に向き合うことで新たな発見があったり、新しい作品に出会えることで高倉勝子さんの新たな一面を知ることができそうです。

登米の魅力である自然の美しさを、美術館でも感じられるのは素晴らしいですね。

ショップも種類が豊富で魅力的です。ポストカードはインテリアとしても使えますし、メッセージを添えて誰かに送るのも素敵な思い出になりそうですね。

来館者の声・口コミ:「強い生命力を感じる」など好評

宮城県登米市にある髙倉勝子美術館桜小路の外観と晴天

髙倉勝子美術館桜小路のエントランス

雪が積もった髙倉勝子美術館桜小路

髙倉勝子美術館桜小路のエントランスに巣を作ったツバメ

宮城県登米市にある髙倉勝子美術館桜小路の夜の外観風景

スクロールで美術館の外観が見られます→

編集部

来館者さんからはどんなご感想がありますか?

山田さん

当館で展示している作品は主に人物画なのですが、絵を描く方や写真を撮る方からは「構図が素晴らしい」とよく言っていただきます。

あるカメラマンの方は「ずるい」とおっしゃいました。「解剖学的にはあり得ない、でも表現としてはこれしかないだろう、写真では不可能だ」と感想を述べられました。

労働する女性を描いた作品については、「強い生命力を感じる」という感想を多くの方からいただいています。

また、昔話を元にした絵本の原画展示もあり、こちらは力の抜けた、のびのびとしたユーモラスな画風が好評です。

アイコン
目元に特徴があり好感をもった
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幻想的で力強い作品だった
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日本画や水墨画がたくさん展示されていて見応えがあった

素朴な情景を描いた作品でも、観る人の心に深く残る魅力的な作品ばかりです。

作品の魅力について、カップルで語り合うのも素敵な鑑賞方法かもしれません。

館長さんからのメッセージ

髙倉勝子美術館桜小路の館長さん

山田さん

ささやかなお出かけであっても、そうした行動の底には日常から離れた特別な時間や空間を求める気持ちが確かにあるのではないでしょうか。

いつもとは違う体験の中で感じたことや受け取ったことは、時間が経っても折に触れて思い出すような特別な記憶になります。例えば、美術館で見た作品の印象や、館内の雰囲気など、心に残る体験となるでしょう。当館でのご滞在が、そういう忘れられない思い出を作るきっかけのひとつとなれれば幸いです。

周辺の観光スポットも魅力がいっぱい!

髙倉勝子美術館桜小路の所要時間は1時間程度です。美術館の鑑賞後は、美しい町並み散策をお楽しみください。

編集部

美術館の周辺でおすすめの観光スポットがあれば教えてください。

山田さん

当館のある宮城県登米市登米町は、藩政時代から明治にかけての風情が残る町並みから、「みやぎの明治村」と称されております。この地域には、歴史的価値の高い建造物が多く残されています。

当館を含む6つの施設を1ヶ月間、自由に観覧できる共通券(一般:1,000円)がおすすめです。対象施設は以下の通りです:

  • 教育資料館(旧登米高等尋常小学校:国指定重要文化財)
  • 水沢県庁記念館(旧水沢県庁庁舎:市指定有形文化財)
  • 警察資料館(旧登米警察署庁舎:県指定有形文化財)
  • 隈研吾氏設計の登米懐古館
  • 伝統芸能伝承館「森舞台」

これらの施設は、春や秋の気候のよい時期には散策しながら観覧を楽しむことができる範囲に点在しています。

また、みやぎの明治村内にある「春蘭亭」という和風カフェもおすすめです。江戸時代中期の武家屋敷を利用した施設で、茅葺屋根や囲炉裏などの当時の姿をそのまま残した風情あるカフェとなっています。抹茶、コーヒー、季節の上生菓子などを提供しています。

春蘭亭の前の通りには、樹齢の高い見事な枝垂れ桜のある屋敷など、藩政時代を彷彿とさせる町並みが広がっており、映像作品の撮影地としても人気です。

とよまだんご:手作りでもちもちの6種類の団子を食べ比べ

とよまだんご」は、髙倉勝子美術館桜小路から徒歩1分のところにある趣のある団子屋さんです。茅葺き屋根が特徴的な外観が目印となっています。

店主が毎朝、その日の気温や湿度を細かく確認しながら丁寧に手作りしているお団子は、もちもちとした食感が特徴で、満足感たっぷりの味わいです。

特におすすめなのは、ずんだ・くるみ・くり・ごま・あんこ・みたらしの6種類を一度に楽しめる「六色入りだんご」です。二人で分け合えば、心までほっこりと温まる素敵なひとときを過ごせるでしょう。

とよまだんごの住所・アクセス

名前 とよまだんご
住所 〒987-0702
登米市登米町寺池桜小路72
アクセス 登米ICより車で5分
営業時間 9:00~16:00
※商品がなくなり次第終了

CAFE GATI:田園風景を眺めながら食べる熟成カレー

「CAFE GATI」では、のどかな田園風景を眺めながら、自家焙煎のコーヒーとこだわりのカレーを楽しむことができます。

最も人気があるのは、熟成させたスパイスを使用した「ガティカレーセット」です。甘さと辛さのバランスが絶妙で、一度は味わう価値のある一品となっています。

▲2023年8月の新メニュー「若鶏骨付きもも肉のコンフィ」

CAFE GATIの住所・アクセス

名前 CAFE GATI
住所 〒987-0704
宮城県登米市登米町日野渡内の目320-1
アクセス 登米ICより車で3分
営業時間 11:00〜17:00
月・火曜日定休
公式サイト https://www.cafe-gati.com/

道の駅林林館:地元の食べ物、ビール、工芸品をお土産に

「道の駅林林館」は、髙倉勝子美術館桜小路から車で約18分の場所にある道の駅です。

地元の新鮮な野菜や登米市の銘酒・地ビール、名物のお菓子に加えて、木工品や陶芸品まで幅広く取り揃えており、お土産選びに最適な施設です。

施設内にはレストランも併設されており、ランチを楽しむのもおすすめです。登米市のB級グルメとして人気の「あぶら麩丼」や、小麦粉を練って作る登米の郷土料理「はっと」など、魅力的な地元メニューを堪能できます。

道の駅林林館の住所・アクセス

名前 道の駅林林館
住所 〒987-0901
宮城県登米市東和町米川字六反33-1
アクセス 登米東和ICより車で15分
営業時間 9:00〜18:00
公式サイト https://rinrinkan.jp/

登米ふれあいの森:30分でも回れる!ちょこっと森林散策

登米市登米町の山間で、豊かな自然を体感できる森林散策を楽しむことができます。

30分で歩ききれる短いコースもあるので、美術館の前後にも気軽に立ち寄ることができます。体力に自信がない方や時間に制約がある方でも、自然を満喫できるでしょう。

また事前に申し込めば、登米ふれあいの森の自然を熟知したガイドにアテンドしてもらうことも可能です。ガイド1人あたり5,000円で依頼できるので、登米の魅力や森の奥深さをもっと詳しく知りたい方にはお勧めです。季節ごとの植物や野鳥の観察、地域の歴史など、専門家ならではの解説を聞くことができます。

登米ふれあいの森の住所・アクセス

名前 登米ふれあいの森
住所 〒987-0703
宮城県登米市登米町大字日根牛上羽沢158-23
アクセス 登米ICより車で22分
公式サイト https://forest100.jp/therapy/