【岩手デート】牛の博物館で学び、前沢牛に舌鼓!奥州の知的グルメ旅
この記事では、岩手県奥州市の「牛の博物館」を中心として、奥州市周辺の見どころスポットを1日かけてめぐるデートプランを紹介しています。
「牛の博物館」は、その名の通り、牛について生物学・人文科学の観点から広く学ぶことができる博物館です。
牛の剥製や化石、牛に関連する世界や日本の祭り、地元の前沢牛など、たくさんの展示資料を見ることができますよ。
今回は、そんな「牛の博物館」館長補佐・上席主任学芸員の川田啓介さんに見どころや魅力を伺いました。ぜひ次回のデートの参考にしてみてくださいね。
向いてる年代:20歳〜59歳
おすすめカップル:動物の生態や人間の歴史に興味があるカップル、知的好奇心旺盛なカップル
どんなデート?:知的好奇心を満たしつつ、グルメも楽しむドライブデート
目安時間:半日〜1日
概要:牛の博物館で学び、前沢牛をいただく欲張りデートプラン
今回提案するデートプランは、牛の博物館で牛についてしっかり学んだあとに特産の前沢牛を食し、岩手南部エリアの有名観光スポットをめぐるコースです。
10時 | 車で直接「牛の博物館」へ |
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10時〜11時 | 「牛の博物館」を見学 |
11時〜12時半 | 前沢牛がいただけるレストランに移動、ランチ |
12時半〜13時半 | 「中尊寺」を見学(移動10分) |
13時半〜14時 | 移動 |
14時〜15時 | 名勝「猊鼻渓」の舟下りを見る |
16時〜17時 | 観光鍾乳洞「幽玄洞」を見学(移動5分) |
中尊寺金色堂は国宝に認定されており、中尊寺周辺の平泉は世界文化遺産に認定されています。
牛と人の歴史や生態を学び、日本独自の発展・表現が世界から評価される平泉でも歴史を感じ、新しいことを見たり知ったりすることが好きな、知的好奇心旺盛なカップルにおすすめのプランです。
では、牛の博物館から詳しく紹介していきます。
意外と知らない牛の生態をデートで学べる「牛の博物館」
「牛の博物館」は、ネーミングからもわかるとおり、牛について深く知ることができる博物館です。牛といえば食べることがまず浮かんできてしまいますが、ここではどんなことが学べるのか気になりますね。
牛は私たちにとって身近な動物のひとつですが、実は人間の文化の発展に大きな役割を果たした歴史があるそうです。
牛の博物館では、生き物としての牛の生態や、家畜としての牛が人間の暮らしにどのように役立ってきたのかについて学ぶことができます。
「牛の生物学」「牛と人とのかかわり」「牛の里前沢」の3本柱の展示を見れば、牛マスターになれちゃいます!実際に展示のマニアックさや深さに定評がある博物館なので、満足度は高いでしょう。
さらにディープな世界に浸りたいカップルなら、定期的に行われている座談会・トークイベントに参加してみるとより一層学びが深まります。
動物が好きな方や歴史に関心があるカップルなら楽しめること間違いなしのスポットです。
今回は館長補佐・上席主任学芸員の川田啓介さんに展示の魅力や見どころについて伺いました。
1,000点を超える展示は学びと発見の連続
編集部
牛の博物館は、展示物が約1,100点と充実していて見応えがあり、マニアックな展示が多いとお伺いしました。どんな展示物がありますか?
川田さん
例えば、このような展示が見られますよ。
- 4つに分かれている牛の胃の実物標本をはじめとする豊富な生物学標本
- 牛の博物館建設のきっかけとなった前沢牛の関連資料
- 牛と人とのかかわりを紹介するために展示しているインドネシア・トラジャ族の民族資料
▲牛の胃の実物標本
葬儀の際に水牛を犠牲にすることで知られているトラジャ族の住居・トンコナンが復元されており、正面の柱にはたくさんの水牛の角が飾られています。
水牛型の棺や副葬人形、葬儀会場を飾る布や生活用具などもある圧巻の資料群です。
編集部
例えば、生き物としての牛について学ぶのと、人間の食べ物としての牛を学ぶのでは、その内容も印象も全く違ったものになるように、多角的に学ぶことで深みが増しますね。
私は、牛が人間の暮らしと切り離せないことを改めて学べる点が面白いと感じました。学校の授業で、牛は農耕をはじめ、移動や荷物の運搬手段、食料として役立ってきた歴史を習ったことを思い出します。
牛の博物館を訪れる前後で牛に対する印象がどんなふうに変わったのか、カップルで話し合うと良いのではないでしょうか。
牛の生物学:剥製や化石など多様な資料から牛の生態を学ぼう
牛の博物館には大きく分けて「牛の生物学」「牛と人とのかかわり」「牛の里前沢」の3つの展示スペースがあります。それぞれについて聞いてみました。
編集部
「牛の生物学」で展示・紹介している主な内容や見どころを教えてください。
川田さん
常設展示室の導入部となる入口では、家畜牛の祖先種である野生牛・オーロックスが描かれたラスコーの洞窟壁画が出迎えます。
また、岩手県の旧石器時代の遺跡から出土したバイソン(ハナイズミモリウシ)を紹介するコーナーでは、海外で出土した牛の仲間の化石を展示しています。
牛の品種のコーナーでは、長い毛がかわいらしいイギリス・スコットランド地方原産の肉用牛・ハイランドのはく製が人気です。
牛の体のコーナーでは、角がある動物の頭蓋骨や牛の全身骨格など数多くの生物学標本を展示していますが、なかでも、牛の胃の実物標本は、その大きさに誰もがびっくりするでしょう。
▲「牛の生物学」に展示されている牛の全身骨格
編集部
今少しお話を聞いただけでも、牛に「家畜牛」「野生牛」「肉用牛」と人間目線で呼び分けられていることがわかり、興味深く感じました!
普段私たちは「牛」とまとめて呼んでいますが、その中にもいろいろな種類があることを改めて意識します。
牛の胃袋は焼肉屋さんでも「ミノ」や「ハチノス」としてお馴染みですし、反芻をするためいくつかの部位に分かれていることは知っていましたが、まさかその内容量が200〜300リットルに及ぶことは知りませんでした!
大体一般家庭の浴槽と同じくらいだと考えると、すごい大きさですよね…!デート中に思わず話が盛り上がりそうなスポットです。
牛と人とのかかわり:農耕や宗教など人間文化における牛を知ろう
編集部
続いて、「牛と人とのかかわり」で展示・紹介している主な内容や見どころを教えてください。
川田さん
犂(すき)をひいて水田を耕す牛のジオラマを中心に据え、世界の牧畜民乳加工の道具、牛が引いて田畑を耕すための道具や牛の背による運搬、牛の祭り、世界の民族などを取り上げています。
▲「牛と人とのかかわり」に展示されている酪農に使われる器具
インドネシア・トラジャ族、エチオピア・ボディー族の民族資料は貴重です。
▲「牛と人とのかかわり」で見られるインドネシア・トラジャ族の民族史料
牛の祭りでは、広島県の「壬生の花田植」の装束、鹿児島県の「ガウンガウン祭」の面など、牛が登場する全国の祭礼を紹介しており、日本においても牛と人が深く結びついていたことを感じることができるでしょう。
世界中から収集されたカウベルを実際に鳴らすことができるコーナーもあり、人気を集めています。
編集部
犂(すき)という漢字に「牛」が入っていることからも、農耕と牛の深いつながりを感じます。日本を含む世界各地における人間の儀礼に牛が用いられていることはとても興味深いですね。
「壬生の花田植」では、黒毛牛がきらびやかな装飾をつけて歩き、「ガウンガウン祭り」では迫力のある牛の面をつけた人間がパフォーマンスするそうですね。各地の牛に関するお祭りを調べて旅行デートを計画する...なんていうのもワクワクします。
トラジャ族は農耕民族で、特に水牛を大事にしている民族ですね。重要なものだからこそ、故人の社会的地位に応じて水牛が捧げられてきたと知りました。
信仰と牛の関係についてのトークイベントも開催されているので、展示を見て関心が深まったカップルは参加してみると良さそうですね〜!
牛の里前沢:地元・岩手の畜産を牽引する前沢牛について学ぼう
編集部
牛の黒前沢で展示・紹介している主な内容や見どころを教えてください。
川田さん
展示室の入口で、大きな肉牛のはく製が出迎えます。平成時代の初期にその優れた肉質で全国的な評価を得たブランド牛・前沢牛の歴史や飼育管理の様子、牛肉の流通やおいしい食べ方なども紹介しています。
▲「牛の里前沢」に展示されている種雄牛の剥製
また、全国的な牛肉の品評会で優勝し、農林水産大臣賞を受けた牛飼いの方々は、なんと11人。トロフィーとともに紹介していますので、牛飼いの誇り高い姿をぜひご覧ください。
また、郷土の資料として、地域から産出した約500万年前の鯨の全身骨格化石を展示しています。
最近、鯨と牛は鯨偶蹄目という同じグループに属する近縁な動物であることが判明しており、太古のロマンとともに最新科学のロマンを感じることができます。
編集部
前沢牛は、70年代から本格的に生産が始まったそうですね。きめ細やかでしっとりとした質感が特徴だとお伺いしました。こちらで牛について学んだ後は前沢牛を食べに行きたくなりそうです。
デートのランチ・ディナーは前沢牛で決まりですね!
「モコ」の剥製やカウベルコーナーがカップルにおすすめ
次に、牛の博物館でのデートにおすすめの過ごし方について伺いました。
編集部
カップルにおすすめの展示はありますか?
川田さん
牛の生物学のコーナーのハイランドのはく製は、「モコ」の愛称で来館者に親しまれている牛の博物館のアイドルです。
また、世界中のカウベルを鳴らすコーナーも様々な音色を楽しんでいただいています。ドイツのカウベルは、まるで教会の鐘のような音がしますよ。
編集部
こんなに可愛らしい牛がいるとぜひ写真を撮りたくなってしまうのですが、写真撮影はできますか?
川田さん
撮影禁止表示のある資料を除いて、記念撮影など個人利用の範囲における常設展示室内での撮影は自由です。
※撮影した写真のSNSなどへの掲載は、個人の責任において実施してください(当館では責任を負いかねます)。
※学校課題、学会・研究会での発表、論文・書籍への掲載およびテレビ放映など個人利用の範疇を超える場合においては事前に申請が必要です。詳細はお問い合わせください。
編集部
それは嬉しいです!「モコ」とも一緒にデートの記念写真が撮れますし、大きな胃袋と一緒に写ればインパクトのある思い出になること間違いなしですね。
ちなみに、展示物以外の見どころやデートでのおすすめスポットはありますか?
川田さん
牛の博物館は東北地方最大の河川である北上川を見おろす高台にあります。田園風景の中を大きく蛇行する北上川の雄大な景色はおすすめです。
また、芝生広場に設置されたカナダの彫刻家・ジョーファファード作の「風のウシ・親子」という作品は記念撮影スポットとして人気です。
▲フォトスポットの「風のウシ・親子」(夏)
▲フォトスポットの「風のウシ・親子」(冬)
企画展は年3回!展示に合わせてデートに行こう
編集部
常設展以外に企画展なども開催されていますか?
川田さん
牛の博物館では、年3回の企画展を開催しています。
- 小さなお子様連れでも楽しめる「家族で楽しむ企画展」
- 牛をテーマとする「夏季企画展」
- 地域の自然や歴史をテーマとする「郷土の企画展」
編集部
ちなみに、イベントや催しなどの開催はありますか?
川田さん
秋の夜に素敵な音楽を楽しむ「十五夜コンサート」を毎年開催しています(十五夜の日にちによっては、「ひと月早い十五夜コンサート」となる場合があります)。
また、11月上旬に園児・児童向けの「うしはく探検隊」という工作体験イベントを開催しており、小さなお子様連れの家族に人気です。
編集部
涼しくなってきた秋の夜の屋外イベントは気持ちいいでしょうね〜!
他にも学芸員さんをスピーカーに定期的に行われている「うしはく座談会」は、毎回ディープなテーマでとても興味があります。好奇心旺盛なカップルなら楽しめるのではないでしょうか。
- 切手にみる世界のウシ品種
- 古今東西の牛の神様
- 牛の郷土玩具を楽しむ
公式サイトやSNSでイベント予定が見られるので、チェックしておきたいところです。
ちなみに、手作り体験教室やワークショップなどはありますか?
川田さん
ゴールデンウィークや夏休みを中心に体験教室などを実施しています。
また、10名以上となってしまいますが、事前申し込みによって、子どもから大人まで楽しめる体験教室やミニ講座を実施することもできます。「革ストラップづくり」、「牛のうんちから紙をつくろう」などが人気です。
編集部
2021年のゴールデンウィークには「赤べこ絵付け体験」を催されたそうですね!完成品のオリジナリティあふれる赤べこがとても可愛らしいです。
「革ストラップづくり」体験は私も気になっていました。牛革に自由に模様や文字を打ち込んだオリジナルストラップを作れるということで、良いデートの思い出になりそうです。カップルで交換するのも良さそうですね!
牛の胃袋Tシャツや前沢牛肉一筆箋、マスキングテープが人気
編集部
デートの記念に、グッズやお土産などを購入できるミュージアムショップはありますか?
川田さん
ロビーに、様々な牛グッズから専門書籍まで揃えたミュージアムショップを設置しています。
「牛の胃袋Tシャツ」「A5ランク前沢牛肉一筆箋」「はく製標本マスキングテープ」などのオリジナルグッズが人気です。もちろん、企画展示解説書も販売しています。
牛の博物館の口コミ評価
- 思ったより面白く、時間をかけてゆっくり見たい
- テーマが絞られていて濃厚な展示だった
- 意外と空いていて穴場スポットだった
編集部
どのような利用者が多いですか?また、どんな感想が聞かれますか?
川田さん
家族連れや牛好き・生物好きの方においでいただいているようです。もちろん、カップルの方もいらっしゃいますよ。
「牛について多角的にとりあげられており、びっくりした」といった感想が多いようです。
海外からいらっしゃったお客様にも、牛をテーマとした博物館があることと、展示内容の幅広さに感動したとおっしゃっていただきました。
編集部
来る前に抱いていた印象よりずっと充実した、広く深い展示に感動しています!口コミでも、内容の充実度やテーマを広く深く掘り下げた展示内容が高評価でした。
「牛の博物館」館長補佐からのメッセージ
牛や生物に関心のある方々はもちろん、平泉などの歴史探訪+グルメ(前沢牛)に知的好奇心を加えることで、話題が盛り上がること間違いなしの博物館です。
「牛の博物館を見学→市内のレストランで食事→岩手県南の観光地へ」という巡り方はいかがでしょうか。
北上川の眺望も素晴らしいので、岩手県にきたらぜひお立ち寄りください。
ただ、岩手県全域に共通することですが、公共交通機関の本数が少ないため、自家用車やレンタカーを利用したドライブデートがおすすめです。
牛の博物館前後におすすめ!グルメ&観光スポット
牛の博物館の滞在時間は1〜2時間ほどなので、他のスポットもぜひ合わせてめぐってみましょう。館長補佐・川田さんも教えてくれたとおり、公共交通機関より車でのドライブデートがスムーズです。
ここからは、川田さんに教えていただいたおすすめプラン「牛の博物館を見学→市内のレストランで食事→岩手県南の観光地へ」やおすすめスポットを中心に、気になるスポットをまとめていきます。
岩手・奥州に来たなら前沢牛グルメは外せない!
川田さん
最高級の肉質を誇る「前沢牛」の販売指定店が市内に多数あり、ステーキ、すき焼き、しゃぶしゃぶ、焼き肉から握りずしまで楽しむことができます。
編集部
せっかく奥州まで来たなら、前沢牛グルメは絶対に外せないと思います!近隣で前沢牛が食べられるお店をいくつかピックアップしてみました。いずれも牛の博物館からのアクセス良好です。
牛匠おがた駅東店
しゃぶしゃぶ、すき焼きをはじめとした前沢牛グルメがしっかり味わえる名店です。ブランド牛だけあってお値段もしっかりめですが、平日ランチタイムを狙えば少しリーズナブルにお食事をいただけます。
公式:牛匠おがた駅東店
吉兆寿司
比較的低価格で前沢牛がいただけると評判のお店です♪こちらではなんと、前沢牛の握り寿司をいただくことができます。口の中でほどけるような牛の魅力に惹きつけられる方多数ですよ。
和風れすとらん牛の里
和風れすとらん牛の里では、ランチで前沢牛ステーキやステーキ丼がいただけます。ステーキは希望のグラム数を選ぶことができますよ。ディナーなら前沢牛づくしの御膳がおすすめです。
公式:和風れすとらん牛の里
歴史深い土地で過去に思いをはせるデートをしよう
編集部
ここは絶対に外せない!というデートスポットはありますか?
川田さん
牛の博物館は、ユネスコの世界文化遺産『平泉』の「中尊寺」から車で10分程と近く、周囲には、国史跡「白鳥舘遺跡」や国史跡「長者ヶ原廃寺跡」などの関連資産があります。
奥州市内では、最北端の前方後円墳として知られる国史跡「角塚古墳」と坂上田村麿が築いた平安時代の城柵である国史跡「胆沢城」が歴史公園として整備されています。
また、大きな茅葺屋根で知られる国重要文化財「正法寺」や紀銘年を持つ仏像としては国内最古の国重要文化財「木造薬師如来坐像」を公開している黒石寺もあります。
他には、「厳美渓」「猊鼻渓」といった名勝地や、観光鍾乳洞「幽玄洞」など岩手県南の著名な観光地へのアクセスが抜群です。
牛の博物館の基本情報
住所 | 〒029-4205 岩手県奥州市前沢字南陣場103-1 |
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アクセス | ■車の場合 東北自動車道「平泉前沢IC」より国道4号線を北へ1.5km(約5分) 白鳥バス停を右折(案内看板あり)。 ■JRの場合 東北新幹線「一ノ関」駅で東北本線(下り方面)に乗り換え、「前沢」駅下車 駅よりタクシーで約7分 |
駐車場 | 無料駐車場あり |
電話番号 | 0197-56-7666 |
開館時間 | 9:30〜17:00(入館は16:30まで) |
休館日 | 月曜日(祝日・振替休日の場合は翌日) 年末年始(12月28日~1月4日) |
料金 | 一般:400円 高校生以上:300円 小・中学生:200円 |
公式サイト | https://www.city.oshu.iwate.jp/section/ushi/ |
比較的混み合わない日 | イベント開催日以外 |
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