【大阪デート】小谷城郷土館で堺の歴史と文化に触れる！カップルにおすすめの博物館プラン

この記事では大阪府堺市にある小谷（こたに）城郷土館での展示見学を中心としたデートプランを紹介します。

館のある堺市南区豊田には鎌倉時代から小谷城（こたにじょう）という城があり、代々小谷氏の一族が統治していました。

小谷城郷土館はそんな小谷氏の建物を利用した博物館で、農具や古瓦、須恵器（すえき※）、堺銃など、多岐にわたる歴史資料を展示しています。展示品の幅広さから、カップルのさまざまな興味に応える展示が待っています。
※古墳時代中期（5世紀初頭）から平安時代にかけて生産された、青灰色の硬質な土器

今回は小谷城郷土館の学芸員・金桂（かなかつら）さんにお話を伺い、館の特徴と魅力について詳しく教えていただきました。

小谷城郷土館で堺の豊かな歴史と文化に出会う

小谷城郷土館は堺市南部の泉北丘陵に位置する博物館です。館があるのは泉北ニュータウンに隣接するエリアで、かつてこの地（若松荘）には、平氏一族の小谷氏が拠点を構えていました（※）。
※小谷家は平氏の流れを今も受け継ぎ、2023年現在、41代まで続いています

小谷城郷土館では江戸時代に建てられた小谷家の邸宅の一部を一般公開しています。また、展示室では歴史資料、考古資料、民俗資料など、地域の歴史や文化に関するさまざまな資料を間近で見学することができます。

それでは、小谷城郷土館の展示内容について詳しく聞いてみましょう。

登録有形文化財で楽しむ小谷城郷土館の多彩な常設展示

編集部

まずは小谷城郷土館の展示内容について教えてください。

金桂さん

小谷城郷土館では、登録有形文化財である母屋（おもや）と門長屋（もんながや）を展示室として、昔懐かしい民具や農具、発掘された古瓦や須恵器、堺銃、甲冑など多くを展示しています。

当館には3つの展示室があり、「母屋」と呼ばれる大和棟造りの建物には、美術工芸品、武家用具などを展示しています。

▲母屋の正面。登録有形文化財にも登録されています

▲母屋に展示されている武家用具。火縄銃やゲベール銃のほか、刀剣、甲冑などが並びます

他の2か所の展示室は門長屋の西と東に分かれており、西側は「住まう」をテーマにした展示を行っています。

西側の「住まう」は中が3つの部屋に分かれており、第1室には昔の台所用具・灯火具・暖房具、第2・3室には考古資料を展示しています。

▲第1室に展示されている民俗資料（台所用具）の数々

▲灯火具と暖房具の展示。今ではなかなかお目にかかれない品々

▲第2・3室は考古資料を展示。こちらは出土した丸瓦の数々

門長屋の東側ではさまざまな「テーマ展示」を行っており、主に農耕具・漁具・林業道具を展示しています。

▲漁具の展示。大阪の岸和田地域で使われていたものだそう

▲農耕具の展示。南大阪地域で使われていたもの

さまざまな分野の展示がありますので、幅広い年齢層のお客様にそれぞれ興味のある分野で楽しんでいただけるかと思います。

学芸員イチオシ！歴史的建造物「旧米蔵」と堺の伝統工芸「湊焼」の魅力

編集部

金桂さんが好きな展示・館内のスポットはなんですか？

金桂さん

門長屋の東側のテーマ展示にある「旧米蔵」が好きですね。旧米蔵のある門長屋は登録有形文化財にも登録されています。

中に入ると農機具などの展示もされていますが、私としては、入って左側の壁に注目してほしいです。その壁は30cmの土のブロックを積み上げるという、特殊な方法で作られています。火災や盗難にあわないよう壁の厚さは60cm以上もあるんです。

▲「旧米蔵」では展示だけでなく、壁や天井にも注目！

また、旧米蔵は天井の形も米俵が上まで高く積み上げられるような形状をしています。四季を通して温湿度の変化が出ないような工夫もあり、色々と見ごたえがありますよ。

展示品では、堺の焼物である「湊焼」でしょうか。江戸時代（17世紀後半）に京都より京都楽家三代道入の弟道楽が湊村に移住し窯を開いたのが、湊焼の始まりと言われています。

▲展示されている「湊焼」。この地域ならではの焼物です

意外と知らない人が多い湊焼ですが、その他にも大阪堺の中の地名がついた焼物等もあります。堺といえば茶人・千利休が有名です。茶道を通じて多くの窯も生まれてきたのではないでしょうか。

このように堺で焼かれた焼物ひとつとってもかなり奥が深いですよ。

季節ごとに楽しめる小谷城郷土館の特別企画展

編集部

小谷城郷土館ではどのような企画展をされていますか？

金桂さん

過去には、秋季堺文化財特別公開で小谷家が所蔵する「源氏物語図屏風」（六曲一双）を、小谷家母屋上段の間において初公開しました。この屏風は堺市指定有形文化財で、通常は一般公開していない貴重なものです。

▲市指定有形文化財の「源氏物語図屏風」。普段はお目にかかれない貴重なもの

また、毎年2月中旬から4月上旬まで、小谷家に代々伝わる雛人形を一堂に展示しています。江戸時代の享保雛から平成の雛人形まで、様々な時代の人形が並ぶ様子は圧巻で、毎年多くの来館者に人気の展示となっています。

歴史と自然の調和が魅力の小谷城郷土館

編集部

小谷城郷土館ならではの魅力はなんでしょうか？

金桂さん

魅力は多岐にわたります。見る人によって異なる印象を受けると思いますが、特筆すべきは登録有形文化財に指定されている建造物群です。江戸時代の母屋や土蔵、さらに廃藩置県時に和泉の伯太藩から拝領された門長屋が建ち並び、圧倒的な歴史的景観を生み出しています。

館内では、至る所に展示物が配置されています。実際に使われていた時代物の古い民具や、本物の鉄砲火縄銃などが間近に見られます。このような「本物」の歴史的資料を直接ご覧いただけることが、当館の大きな魅力です。

編集部

他の施設に自慢できるポイントはありますか？

金桂さん

展示物を間近で見られることが大きな特徴です。ケース内の展示もありますが、ほとんどの展示物が触れそうなほど近くにあります。ただし、実際に触ることはできませんのでご注意ください。この近さが、歴史を身近に感じられる独特の雰囲気を作り出しています。

四季折々の美しさを楽しむ小谷城郷土館の庭園散策

編集部

展示品以外にも、小谷城郷土館ならではの見どころがあれば教えてください。

金桂さん

当館では展示品だけでなく、季節の花々も楽しんでいただけます。春は桜、秋は紅葉など、館の庭には四季折々の花が植えられています。

例えば、春には桜が咲き誇る門をくぐり、母屋でゆっくりとお雛様の展示をご覧いただけます。秋には母屋から美しい紅葉を眺めることができます。季節ごとの自然と展示を合わせてお楽しみください。

▲春は門前の桜が大変綺麗！

▲毎年春に展示される雛人形。壮観です

館内の展示室は写真撮影禁止ですが、庭などの屋外では撮影可能です。美しい景色を背景に、思い出の一枚を撮影してみてはいかがでしょうか。

館内の見学順路は特に決まっていません。興味のある展示からゆっくりとご覧ください。古い展示物が醸し出す歴史の重みを感じながら、ごゆっくりお過ごしください。

ご不明な点やご質問がありましたら、お気軽にスタッフにお声がけください。

小谷城址からの絶景：堺の歴史を一望できるビューポイント

編集部

郷土館の近くにある小谷城址についても教えてください。

金桂さん

小谷城は今から約800年前の鎌倉時代に築かれた城です。小谷家の始祖・平頼晴が鎌倉時代初期に仁和寺の寺領である若松荘（現在の堺市南区豊田）に赴任したのが始まりとされています。

小谷城は高さ80メートルの独立した山にあり、小谷氏の居城として栂山城・豊田城とともに「鼎（かなえ）の城」と呼ばれていました。自然の地形をそのまま城として利用した、市内最古の山城のひとつです。

南北朝時代には南朝方として重要な役割を果たし、千早赤坂城と大雄寺（浜寺）を結ぶ「狼煙」の中継地点として使われていました。

現在は阪和第一泉北病院の敷地内にあるため無断で立ち入ることはできませんが、小谷城址からの見晴らしは素晴らしいです。

記念に最適！小谷城郷土館の御城印と堺の特産品

編集部

小谷城郷土館にはミュージアムショップなどはありますか？

金桂さん

ミュージアムショップはありませんが、様々な販売物をご用意しています。例えば、『和泉国在郷神名記（※）』や和泉古瓦譜、絵葉書セット（川崎巨泉おもちゃ十二月や源氏物語図屏風など）、豆本などがあります。
※小谷城郷土館所蔵本の神社史料（転写本）

特に人気が高いのは御城印や御財印（※）です。近年の御朱印ブームや城ブームの影響もあり、御城印のみを目的に来館される方も多くいらっしゃいます。
※大阪南部、泉州地域独自の取り組みで、御朱印の文化遺産版。参考：大阪文化財ナビ

▲御城印（左）と御財印（右）

小谷城郷土館周辺のおすすめデートスポット

編集部

小谷城郷土館周辺のオススメデートスポットがあれば教えてください。

金桂さん

四季折々の姿が大変美しい「多治速比売神社」や、鎌倉時代の建築であり、市内唯一の国宝「櫻井神社」がオススメです。

▲梅林で有名な荒山(こうぜん)公園の隣にある「多治速比売神社」

公式：多治速比売神社

▲鎌倉時代の古い建築が大変貴重な「櫻井神社」

参考：堺市観光サイト「櫻井神社」

多治速比売神社→小谷城郷土館→櫻井神社の順で周っていただくと、季節ごとのイベントを楽しみながら歴史を感じることができますよ。

小谷城郷土館からカップルへのメッセージ

編集部

デートで小谷城郷土館を訪れるカップルの方に向けてメッセージをお願いします。

金桂さん

お年を召した方なら昔懐かしい空間を楽しめる、若い方ならウォーキングがてら気軽に立ち寄れる、静かでとても落ち着く空間です。

特に歴男・歴女ならデートコースにオススメです。甲冑や鉄砲等展示もありますので、戦国時代や歴史について、おおいに語りあってください。

また、書の展示もありますので、書に興味のある方にもオススメです。実際カップルの方がふらりと立ち寄って感動して帰られたこともあります。お近くにいらした際は、お気軽にお立ち寄りください。

編集部

貴重な資料と素敵な雰囲気の両方を気軽に満喫できるのが素晴らしいですね！見どころもたくさんあるので、デート中の話題も尽きなそうです。

金桂さん、本日はありがとうございました。

来館者の声：小谷城郷土館の口コミと評判

ここで小谷城郷土館を訪れた方の口コミ・感想の一部をご紹介します。

甲冑や鉄砲から歴史のロマンを感じた方や、郷土資料から昔を思い出して懐かしい気分になった方など、様々な感想が寄せられています。

「近くに住んでいるけど知らなかった」という声がある一方、カップルでの来館も徐々に増えているようです。歴史好きなカップルにとっては、穴場のデートスポットと言えるかもしれません。

なお、金桂さんのお話にもありましたが、小谷城址（城跡）は小谷城郷土館とは別の場所にあります。お間違えのないようご注意ください。

小谷城郷土館を楽しむコツ：料金・割引・おすすめの来館時間

料金	大人200円（大学生以上） 小人100円（小学生・中学生・高校生）
割引	障害者手帳をお持ちの方は1名につき入館料50円 ※付き添いの方は1名のみ入館料50円 歴史街道会員割引：大人1名50円引きで150円
混雑しない日時	平日（土日祝日を除く）

小谷城郷土館への行き方と基本情報

住所	〒590-0106 大阪府堺市南区豊田1602
連絡先	電話：072-296-8435 ファックス：072-290-6455
アクセス	泉北高速鉄道「泉ヶ丘」駅下車 ・南側のりば：畑行きまたは鉢ヶ峰行きバス「豊田南」下車、徒歩5分 ・北側2番のりば：212津久野駅前行きバス　2つ目のバス停「若竹大橋」下車、徒歩5分 ・泉ヶ丘駅北側バス停から徒歩約20分
開館時間	10：00～16：00（最終入館は15:45まで）
休館日	月曜日（月曜日が祝日の場合は翌日）
駐車場	有り（普通車10台、バス2台）
公式ホームページ	https://www.kotanijo.jp/

※最新の情報は公式ホームページ等でご確認ください。
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