小金井市立はけの森美術館で中村研一の芸術に触れる!自然豊かな東京デートプラン
この記事では東京都小金井市にある「小金井市立はけの森美術館」を拠点に、小金井の自然や江戸・東京の歴史に触れるデートプランをご紹介します。
小金井市立はけの森美術館は日本を代表する洋画家・中村研一氏の作品を展示・所蔵している美術館です。油彩画をはじめ水彩画や陶磁器といったさまざまなコレクションのほか、描画用具や書簡などの資料、中村氏に縁のある作家の作品をふくむ貴重な品を鑑賞できます。
今回は小金井市立はけの森美術館にインタビュー取材を行い、施設の特徴やデートでのおすすめポイントについて調査しました。ゆったりと過ごせる美術館デートを企画しているカップルは、ぜひ参考にしてみてくださいね。
おすすめカップル:芸術や歴史が好きで、のんびり過ごしたいカップル
どんなデート?:芸術に触れる、公園の散策、歴史的建造物を見学するデート
目安時間:6時間程度
目安予算:2人で5,000円程度
芸術と自然を満喫!小金井市ではけの森美術館を中心としたデートプラン
はけの森美術館から少し足を延ばせば緑豊かな「都立小金井公園」があり、大自然の中での散策や歴史的建築物が集結する「江戸東京たてもの園」の見学も楽しめます。
そこで、美術館のあとで散策やレトロ体験を満喫するデートコースを考えました。
11:00 | 武蔵小金井駅に集合 |
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11:15~12:15 | 「はけの森美術館」を見学 |
12:15~13:30 | 「musashinoはけの森カフェ」でランチ |
14:00~15:00 | 「都立小金井公園」を散策し、自然を満喫 |
15:05~17:00 | 公園内にある「江戸東京たてもの園」を見学 |
※空いている時間は移動時間です。
まずは「はけの森美術館」で芸術鑑賞を満喫し、併設されている「musashinoはけの森カフェ」でゆっくりとランチを堪能します。その後徒歩とバスで30分ほどのところにある「都立小金井公園」で食後の散策を楽しみ、最後に「江戸東京たてもの園」を見学するプランです。
それでは、メインとなる「はけの森美術館」の魅力からご紹介していきます!
中村研一の芸術世界に浸る「小金井市立はけの森美術館」の魅力
はけの森美術館は、JR中央線武蔵小金井駅南口から徒歩で15分ほどのところに佇む美術館です。帝展や日展などで活躍した中村研一氏の作品をメインに展示しています。
中村研一氏の没後、約20年を経た1989年に妻・富子さんによって「中村研一記念美術館」が設立されました。その後、美術館は小金井市に寄贈され、2006年に「はけの森美術館」へと変貌を遂げて現在に至ります。
中村氏は妻をモデルにした婦人像が代表作として知られていますが、国内において藤田嗣治氏に次ぐ数の戦争画を制作した画家としても有名です。
今回は、はけの森美術館で学芸員を務める西尾さんにお話を伺い、見どころやイベント情報などを教えていただきました。
中村研一の足跡を辿る:アトリエ跡地に建つ美術館での作品鑑賞
編集部
まずは、はけの森美術館の特徴を教えてください。
西尾さん
当館は通称「はけ」と呼ばれる国分寺崖線に位置し、湧き水の豊かな緑地の中にあります。
ここは戦後に中村研一が住家とアトリエ、そして茶室「花侵庵」を建てた場所です。旧宅と茶室は今もその姿を留めており、美術館もアトリエの跡地に中村を記念するために建てられました。
館内では年に3~4本程度、所蔵作品展を含む展覧会を企画しております。所蔵作品のメインは戦前から戦後にかけて日本の洋画壇で活躍した洋画家・中村研一(1895-1967)の油彩画や、水彩によるスケッチ作品です。
戦災により戦前の作品の多くが失われましたが、当館には貴重な戦前の油彩画やスケッチなどの作品が数多く残されています。
「画家の作品を、かつてその画家が生きた場所で鑑賞できる」…それがはけの森美術館ならではの魅力です。作品と同時に美術館の周辺を散策することで、中村研一というひとりの画家がこの土地に生きていたことに、思いを馳せていただければと思います。
編集部
アトリエの跡地に建てられた美術館は珍しいですよね。中村氏が数々の作品を生み出したその場所で鑑賞する…とても貴重な思い出になりそうです。
素敵な作品がたくさん並んでいますが、特に西尾さんおすすめの作品があれば教えてください。
西尾さん
展示室では多彩な作品をご鑑賞いただけますが、なかでも私が好きな作品は妻の富子をモデルに描いた肖像画です。中村の日記を紐解いても富子への愛情が伝わってくるのですが、作品にもまた2人の親密さがよく表れています。
編集部
私も公式サイトに掲載されている肖像画を拝見した際に、中村氏が描いた富子さんの表情や美しい曲線美から深い愛情を感じました。なんとも幸せな気持ちに浸れる絵画だと思うので、カップルで鑑賞したら素敵な思い出になりますね。
「美術の森緑地」で自然と歴史を感じる癒しの空間
編集部
絵画以外の見どころや、カップルが写真撮影を楽しめる場所があれば教えていただけますか?
西尾さん
2階の展示室には、中村研一が実際に使用していた大きな絵具箱や画架、フランス留学時に携えたトランクなども展示しております。絵具箱には油絵具や筆なども収められており、画家の痕跡を感じることができますよ。
展示室内は作品保護のため撮影していただけないのですが、美術館の裏側には東京の名湧水57選に数えられる湧水や、国登録有形文化財に指定された「旧中村研一邸主屋」と「旧中村研一邸茶室」(花侵庵)のある「美術の森緑地」がございます。晴れた日には木漏れ日が美しく差し込む素敵な場所なので、ぜひ写真撮影を楽しまれてはいかがでしょうか。
▲周囲の木々を映す美しい湧水
▲紅葉シーズンにはこんなに素敵な光景が広がる
▲美術の森緑地には竹林が茂る場所も
ちなみに「旧中村研一邸主屋」と「旧中村研一邸茶室」は戦後に中村研一が建築家の佐藤秀三と共に建てたもので、日本の民家の様式を取り入れつつ、モダンな佇まいも感じさせる建物です。作品や周辺環境とともに独特の建築も味わっていただけることも、当館ならではの強みだと思っております。
▲森の中にひっそりと佇む、趣あふれる茶室
編集部
口コミでも「緑地の散策でリラックスできた」「中村氏の邸宅や茶室は趣があって素晴らしい」などと高評価でした。デート中の写真撮影を楽しみにしているカップルも多いと思うので、ここならインスタ映えするような美しい写真が撮れそうですね。
西尾さん
実は美術の森緑地一帯はかつて大岡昇平の「武蔵野夫人」の舞台となったと伝えられており、最近ではスタジオジブリの映画『借りぐらしのアリエッティ』のラストシーンのイメージソースにもなっています。開門中は自由に緑地の中を散策していただけますので、ぜひ季節ごとの美しい自然をお楽しみください。
編集部
口コミのなかには「『借りぐらしのアリエッティ』の大ファンで、ラストシーンの舞台のモデルとなった「はけの小路」を目指して遠方から来ました!」という方もいらっしゃいました。アリエッティの目線をイメージして散策したら、素敵な発見があるかもしれませんね。
企画展とワークショップ:はけの森美術館の多彩なイベント情報
編集部
館内だけでなく外の風景もとても素敵ですが、ほかに西尾さんが思う「はけの森美術館ならではの魅力」があればご紹介ください。
西尾さん
当館は小さい美術館ですので、いわゆる大型の企画展を開催することはあまりありません。その代わりに学芸員がオリジナルの企画展を一から立ち上げているため、ほかの美術館とは異なる視点の企画展をお楽しみいただけることがひとつの魅力になっていると思います。
編集部
学芸員さん目線のオリジナリティあふれる企画展なら、アート好きで美術館によく行くカップルでも新しい発見がありそうですね。
ちなみに、過去にはどのような企画展を開催されていたのか教えてください。
西尾さん
過去には、以下のような企画展を開催いたしました。
- 開館10周年記念 風景への視線ー郡山市立美術館所蔵・近代イギリス風景画
- 南方より、伊東深水から―市川市所蔵 南方風俗スケッチ
- 小杉放菴記念日光美術館所蔵 絵画で国立公園めぐり―巨匠が描いた日本の自然―
- ほとけをえがく、そしてうつす 台東区所蔵法隆寺金堂・敦煌莫高窟壁画模写
展覧会開催時にも、ギャラリートークや日本画の顔料を作る体験、テンペラ画の技法体験、アニメーションの背景美術を手がける作家の指導による水彩画制作のレクチャーなどのワークショップを開催しておりました。(※2022年1月時点)
絵画作品を展示した中で行うギャラリーコンサートも好評だったので、またワークショップや講演の企画などを復活させたいと思っております。
編集部
オリジナリティあふれる企画展が豊富で、訪れるタイミングによってさまざまな角度から芸術に触れられる施設だと感じました。
ワークショップも魅力的なタイトルが多く、プロからレクチャーしていただける水彩画体験が特に気になりました。カップルなら、そういった体験がお互いのことをさらに知る良いチャンスになると思います。
美術鑑賞後の楽しみ:ミュージアムショップとカフェでくつろぎのひととき
編集部
館内にショップやカフェなどがあればご紹介ください。
西尾さん
館内受付にてポストカードやマグネット、クリアファイル、バッグなど、当館のオリジナルグッズを販売しております。また、企画展覧会開催時には解説文付きのパンフレットを販売することもございます。
現在は販売を一部制限しており、美術館内でのグッズ販売はセット販売のみとしておりますので、個別にグッズをお求めの場合はホームページから商品をお選びいただいたうえでお問い合わせください。
館内にカフェやレストランはございませんが、美術の森緑地内の「旧中村研一邸主屋」が美術館附属喫茶棟となっており、「musashinoはけの森カフェ」として営業しております。小金井市産の野菜を使った料理や季節のスイーツなどが好評で、展覧会開催時には展覧会コラボスイーツが提供されることもあります。
ゆったりとしたひとときをお過ごしいただけるので、美術館観覧前後に立ち寄られてはいかがでしょうか。
▲木の温もりを感じられる空間で、ゆったりとしたランチタイムを
編集部
「musashinoはけの森カフェ」では中村氏の大好物だった「ライスカレー」をイメージしたカレーや、焙煎仕立ての本格コーヒーなども味わえるそうですね。景色も良く、美術館後のランチにぴったりな場所だと思いました。
来館者の声:小金井市立はけの森美術館の評判と感想
編集部
訪れた方からよく聞く感想はありますか?
西尾さん
「展示の内容が興味深かった」というお声をいただくことが多いです。また、小金井市内の小学校における美術教育の一環として、小学生が当館を見学するプログラムがあるのですが、小学生も夢中になって鑑賞する姿が印象的です。
全体的にはカップルや親子、お友達同士で来られる方が多いですよ。
編集部
こと特定の画家の作品を展示している美術館と聞くと「その画家の熱心なファンでないと、理解できない作品が多いのでは?」と、敷居が高く感じる方もいらっしゃると思います。しかし来館者の方の声を伺うと、はけの森美術館でで初めて中村氏の作品に触れ、その魅力を知ったという方も多いようですね。
SNSでは「躍動感ある作品にうっとり」「カフェも素敵」といった声も
こちらでも独自に口コミを調査したところ、以下のような感想が多く寄せられていました。
- ロケーションが素晴らしく、美術館周辺の散策も楽しめた
- 中村研一画伯による生き生きとした作品に心を奪われた
- 併設されたカフェの雰囲気も良く、美術館を見学したあとに立ち寄って癒しの時間を過ごせた
館内で絵画鑑賞を楽しめるだけでなく、周辺の美しい自然や建築物を眺めながらの散策も満喫できる点が高評価でした。居心地のよいカフェも併設されているので、落ち着いた空間でのんびりと過ごしたいカップルにぴったりなスポットだと思います。
はけの森美術館からのメッセージ
編集部
最後に、利用を検討しているカップルにメッセージがあればお願いします。
西尾さん
当館では800点余りもの作品を収蔵しており、1年に3~4回の展覧会も開催しています。そのため、何度お越しいただいても、さまざまな作品との出会いをお楽しみいただけるのではないかと思います。
また建物裏には美術の森緑地、そしてすぐ近くには四季の移ろいを感じられる武蔵野公園や野川公園などがあり、自然に囲まれた美しい環境も魅力です。近辺を散策したりピクニックをしたりしながら、展覧会の感想をシェアしていただけたらうれしいですね。
ちなみに平日は比較的どの時間も空いており、1時間程度でご鑑賞いただけますよ。
編集部
たくさんの素敵なお話をありがとうございました!
小金井市立はけの森美術館の基本情報
住所 | 〒184-0012 東京都小金井市中町1-11-3 |
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アクセス | 【電車】 ・JR「武蔵小金井駅」南口より徒歩約15分 【バス】 ・JR「武蔵小金井駅」南口発のCoCoバスミニ野川・七軒家循環「はけの森美術館」下車徒歩1分 ・JR「武蔵小金井駅」南口発の京王バス武蔵境駅南口行き「中山谷」下車徒歩1分 ・西武多摩川線「新小金井駅」発のCoCoバス中町循環「美術館入口」、「中山谷」下車徒歩1分 ・京王線「府中駅」「調布駅」発の京王バス武蔵小金井駅行き「前原坂」下車徒歩10分 |
電話番号 | 042-384-9800 |
営業時間 | 11:00~16:00(入館は15:30まで) |
休館日 | ・月曜日、火曜日 ・年末年始 ・展示替え期間 |
駐車場 | 3台(附属喫茶棟と共有)、障がい者用1台 ※駐車スペースが限られるのため、公共交通機関の利用を推奨しております |
料金・予算 | 【所蔵作品展】 ・一般:200円 ・小中学生:100円 ※未就学児および障がい者手帳をご呈示の方、および付添者1名は無料 ※所蔵作品展以外の企画展開催時は、展覧会ごとに金額が異なる場合がございます |
公式サイト | https://www.hakenomori-art-museum.jp/ |
※最新の情報はホームページ等でご確認をお願いいたします。
※記事中の金額はすべて税込表示です
小金井市立はけの森美術館周辺のおすすめデートスポット
ここでは、はけの森美術館のあとに立ち寄りたいおすすめしたいスポットをピックアップしました。ぜひ美術館と合わせてチェックしてみてくださいね。
おすすめのデートスポット
「musashinoはけの森カフェ」で地元食材を使った癒しのランチタイム
美術館に併設されている「musashinoはけの森カフェ」は、美術館見学後の食事や休憩にぴったりのお店です。地元小金井産の旬の野菜をふんだんに使用したランチや手作りパン、丁寧に淹れたコーヒーや紅茶などのメニューを楽しめます。
こちらのスポットは今回インタビューに答えてくださった西尾さんもおすすめの場所なので、ぜひデート中のランチに訪れてみてはいかがでしょうか。
西尾さんからのコメント
午前中は美術館を楽しんで頂き、「musashinoはけの森カフェ」でランチを楽しみながら、中村研一の旧宅の風情を感じて頂ければと思います。
参考サイト:https://www.tokyo-np.co.jp/article/316935
四季折々の魅力:「都立小金井公園」で自然散策を楽しむ
面積80haほどの広大な敷地を誇る、「都立小金井公園」。桜の園や雑木林、弓道場、テニスコート、さらには江戸東京たてもの園など、多様な施設を構える憩いの場です。
3月~11月の土日祝日限定で「SL(C57)展示」も行っており、週末は多くの人で賑わいます。「日本さくら名所100選」に選定されているので、特に桜の時期に訪れれば写真撮影も盛り上がりますよ。
公式サイト:https://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index050.html
タイムスリップ気分を味わう「江戸東京たてもの園」でレトロデート
「江戸東京たてもの園」は、都立小金井公園内にある野外博物館です。園内には江戸時代から昭和初期頃までの建築物が種類豊富に立ち並び、その雰囲気は映画「千と千尋の神隠し」のイメージとしても使用されました。
一般の入館料は400円で、貴重な歴史的建築物をリーズナブルに見学できます。開園時間が時期によって異なるため、事前に公式サイトでチェックしてから来館するとスムーズですよ。
公式サイト:https://www.tatemonoen.jp/
まとめ:小金井市立はけの森美術館を中心に芸術と自然を楽しむカップルデート
今回は、東京都小金井市にある「はけの森美術館」をメインに、広大な公園での散策やレトロ体験を満喫するデートプランをご紹介しました。
はけの森美術館には近代洋画家・中村研一氏の作品が数多く展示されており、なかでも妻・富子さんをモデルに描いた肖像画は必見です。深い愛情を感じられる美しい作品を目の前にして、カップルの距離もぐっと縮まることでしょう。
併設のカフェも「森の中の隠れ家」のような心地良い雰囲気で、日々の喧騒を忘れてリラックスした時間を過ごせますよ。
ぜひ今回ご紹介したデートコースを参考にしながら、思い出に残る魅力的なデートを計画してみてくださいね。