本山町の大原富枝文学館で女性作家の軌跡を辿る!自然豊かな高知で楽しむ文学デート

本記事で紹介するのは、高知県長岡郡本山町にある「大原富枝(おおはらとみえ)文学館」をメインに、周辺の魅力あるスポットを巡るデートプランです。

昭和レトロな建築が魅力的な大原富枝文学館では、本山町出身の作家・大原富枝の生涯と作品を紹介しています。大正元年(1912年)生まれの彼女は、厳しい運命に直面しながらも懸命に生き抜く女性の姿を、一貫して描き続けてきました。

親交のあった作家の吉本隆明が「大原富枝は戦後最大の女流作家であった」と評価するほどで、作家としての功績に対し、恩賜賞や日本芸術院賞も受賞しています。

今回ご紹介するデートプランは、将来の展望や人生について思いを巡らせ、二人で心豊かな時間を過ごせるデートを楽しめるでしょう。高知県・本山町周辺でのデートを計画しているカップルは、ぜひ参考にしてみてください。

こんなカップルにおすすめ!
向いてる年代:20歳〜59歳
おすすめカップル:文学が好き、大原富枝に興味がある、人生を考えてみたい、レトロな建築物が好き
どんなデート?:大原富枝、文学、博物館、自然、散策、オリジナルグッズ

概要:大原富枝の文学世界と緑豊かな本山町を楽しむデートプラン

「大原富枝文学館」では、大原富枝の自筆原稿や書簡、愛用の品々が展示されており、代表作の「婉(えん)という女」を中心とした大原文学の世界が展開されています。生前の仕事場であった東京・杉並の書斎も、そのまま大原富枝文学館内に移築されています。

大原文学に初めて触れるカップルでも、展示を通して格調高い文章を楽しめます。また、時代や自身と真摯に向き合い、女流作家として独自の世界を切り拓いた大原富枝の魅力を十分に感じ取ることができるでしょう。

今回のデートのメイン
大原富枝(おおはらとみえ)文学館
周辺のデートスポット
・帰全山(きぜんざん)公園
・モンベル アウトドアヴィレッジ本山
・本山さくら市
ランチにおすすめのお店
・レストラン ハーベステラス(モンベル アウトドアヴィレッジ本山に附設)
・いち松
・JOKI COFFEE

大原富枝文学館から徒歩10分ほどの場所にある「帰全山(きぜんざん)公園」は、吉野川の眺めや春から初夏にかけて咲くシャクナゲ・ツツジが美しい、人気のデートスポットです。二人での散策にぴったりな遊歩道も整備されていますので、自然の中でゆっくりと深呼吸を楽しんでみてください。

また、公園のすぐ隣にある「モンベル アウトドアヴィレッジ本山」の敷地内には「レストラン ハーベステラス」があり、そこでは専用窯で焼き上げるピザや地元名産「土佐あかうし」のバーベキューを堪能できます。緑豊かな自然の中でゆったりとランチを楽しめば、日常の喧騒を忘れさせてくれる特別な時間を過ごせるでしょう。

ここからは、今回のデートプランのメインとなる「大原富枝文学館」について、具体的に見ていきましょう。

「大原富枝文学館」で味わう知的でノスタルジックな空間

大原富枝の肖像写真と3匹の愛犬のイラスト

「大原富枝文学館」がある高知県・本山町は、高知市の市街地中心部からドライブデートで約50分の距離。四国の中央部に位置する水と緑が豊かな美しい山里です。南国土佐にありながら、気候は年間を通じて涼しく爽やか。冬には時折積雪も見られる、四季折々の表情を楽しめる地域です。

大原富枝文学館では、戦後を代表する女流作家・大原富枝の生原稿など、貴重な資料を展示しています。1階のサロンでは、著書を読んだり、DVDを鑑賞したりしてゆったりくつろげます。知的な雰囲気の中でゆっくり過ごせるため、暑い夏や寒い冬のデートにも最適です。

文学館の建物は、かつての本山簡易裁判所を活用したレトロな外観が特徴的。名門校の古い校舎を思わせる内部は、知的でノスタルジックな雰囲気を好むカップルにとって魅力的な空間です。

今回は、大原富枝文学館で事務局長を務める学芸員の大石さんにインタビュー取材を行い、文学館の特徴や魅力について詳しく伺いました。

大原富枝の郷土愛が生んだ文学館:誕生の経緯と想い

「大原富枝文学館」内部の常設展示室入口のパネルと事務局長の大石さん
▲常設展示室入口にある大原富枝の写真パネルと、今回取材に応じていただいた事務局長の大石さん

編集部

「大原富枝文学館」は吉野川上流エリアの、緑豊かな街中にある博物館ですね。まず、こちらの文学館が誕生したきっかけについて教えてください。

大石さん

当館は、平成3年(1991年)に現存作家の公設文学館として誕生しました。大原富枝が、読みたい本が読めなかった自身の娘時代を振り返り、自分の作品や交流のある作家の本など自身の蔵書を、故郷の子供たちに読んでほしいと願ったことが始まりです。当初は地元の高校の図書室への寄贈を考えていました。

ちょうどその頃、簡易裁判所であった建物の払い下げがあり、本山町が文学館として整備しました。そうして小さな文学館が誕生したのです。大原の没後、子供たちへの文学奨励を託し、著作権を含むすべての財産が本山町に寄贈されています。

編集部

大原富枝の故郷の子供たちへの想いが、この文学館の誕生につながったのですね。デートで見学する際も、この開館の経緯を頭に入れて展示品を見ると、より深く作品や作家の思いを感じられそうです。

常設展示では、大原富枝の代表作「婉という女」ほか大原文学の世界観が楽しめる

「大原富枝文学館」内に東京・杉並から移築された大原富枝の書斎(その1)
▲東京・杉並から移築された大原富枝の書斎(生前の仕事場)が2階に再現されている

編集部

次に、「大原富枝文学館」のメインの展示(常設展示)について、お話しいただけますか?

大石さん

本山町出身の作家・大原富枝の生涯の歩みと作品を紹介しています。本人の遺志により本山町に寄贈された約2万点の資料の中から、自筆原稿や書簡、愛用の品々を常設で展示中です。

代表作「婉という女」にスポットを当てた、大原文学の世界が展開されています。平成30(2018)年には、婉の父・野中兼山の功績と本山町の歴史をたどるコーナーを新たに設け、展示室をリニューアルしました。これにより、大原文学と地域の歴史がより深く結びついた展示となっています。

「大原富枝文学館」内部の常設展示室の様子
▲リニューアルされた常設展示室の様子

編集部

過去の企画展がありましたら、ぜひご紹介ください。

大石さん

過去には「書にまつわる所蔵品展」や「川のある風景ー原点に佇つ(たたずむ)」、「俳句の道展ー青々と暮石」、「~大原富枝の古典文学の世界~万葉のうた」、「地上を旅する者~負の世界に生きる~」などの企画展を開催しました。これらの企画展は、大原富枝の多岐にわたる文学的関心を反映しています。

企画展は、年間を通じて3~4回ほど開催していますよ。来館者の方々に新鮮な体験を提供するため、テーマを変えて定期的に開催しています。

編集部

「草を褥に」は、大原富枝の最後の単行本となった「草を褥に 小説牧野富太郎」を中心にして、土佐の植物学の大家・牧野富太郎の生涯を、妻の寿衛にフォーカスしながら紹介すると伺っています。

やはり、女性からの視点・立ち位置を大切にしていることが、大原文学の特徴ですね。この特徴は、他の展示や企画展にも反映されているのでしょうか。

大原富枝文学館では、年間を通じデートでも楽しめるイベントが豊富!

「大原富枝文学館」内部のエントランスホール
▲内部のエントランスホール

編集部

企画展のほかにも、「大原富枝文学館」で毎年開かれるイベントのようなものはあるのでしょうか?

大石さん

一年を通して、複数のイベントを行っています。毎年春と秋には、初心者向けの俳句教室を開催しています。また、7月1日~9月30日までは、大原富枝賞の作品(小説・随筆)を募集しています。

大原富枝賞は、高知県民に文学に親しんでもらうことを目的に創設されました。大原の遺志を受け継ぎ、開館以来今回で32回目の募集を行っています。(※募集終了、2023年12月頃受賞者発表)

11月1日~翌1月31日までは、右城暮石(本山町出身の蛇笏賞受賞俳人)顕彰吉野川全国俳句大会の事前句を募集しています。

さらに、大原富枝の誕生日(9月28日)を記念して、周辺の土曜または日曜に、大原文学を親しく学ぶ大原文学ミニ講座を開催しています。

この講座では、一絃琴と十三絃琴、尺八による演奏のほか、嶺北高校の生徒による大原作品「草を褥に」の朗読、作家・阿部日奈子氏による講演などが行われます。

>>大原文学ミニ講座の詳細

大石さん

毎年秋の紅葉の時期には、作家と作品のゆかりの地を巡る文学散歩も行っています。

また、1月27日の富枝忌周辺の土曜または日曜には、墓所に献花して大原を偲ぶ記念行事を開催しています。

富枝忌で演奏された月琴と奏者
▲月琴が奉奏された富枝忌の一コマ

編集部

大原富枝文学館として、活発に活動されていますね。地元の多くの皆さんが大原富枝に関するイベントに毎年参加されているようで、改めて作家の求心力を感じます。

デートの一環で大原富枝文学館を見学するカップルも、興味があるイベントがあれば、スケジュールを合わせて訪れてみるのもいいかもしれません。文学好きな方ならば、新しい世界が開かれるような体験ができそうですね。

デートにおすすめ:昭和レトロなサロンでの読書と茶道体験

編集部

「大原富枝文学館」で、デートで訪れたカップルが体験できることを教えてください。

大石さん

展示を通して大原作品に触れた後、1階のサロンで昭和35(1960)年以降の大原の著書を、実際に手に取って読んでいただけます。

他館から寄贈された図録や、県内の各結社による俳誌や短歌誌、文芸誌なども、サロンで自由に閲覧できます。さらに、大原富枝の生涯や、野中兼山の生涯をたどるデジタルコンテンツも閲覧可能です。

「大原富枝文学館」内にあるサロンの様子
▲1階にある「サロン」。著書やDVDを楽しみながらくつろげるスペース

大石さん

毎月第二日曜日に定期朗読会を開催しており、大原富枝の作品や、他の作家の名作を朗読でお楽しみいただけます。

「大原富枝文学館」で開かれる定期朗読会の様子
▲毎月第二日曜日に開かれる定期朗読会の様子

同じ日に、別館の茶室「安履庵」にて、大原富枝の会(友の会)の皆さんが呈茶(ていちゃ)(※1)を行っています。お薄(※2)のみですが、どなたでも茶室で茶道を体験できます。

(※1)茶をたてて客に振る舞うこと。正式な茶会ではなく、略式でカジュアルに茶を供することを指す場合が多い。
(※2)少なめの抹茶でたてられた、さらりとしたお茶(薄茶)のこと。この対は、お濃茶(濃茶)となる。

「大原富枝文学館」の敷地内にある茶室「安履庵」で行われる呈茶
▲定期朗読会と同日に、茶室「安履庵」にて行われる呈茶(茶道体験)の様子

編集部

茶道体験は、申込・参加費は不要だそうですね。タイミングが合えば、カップルで茶道を体験できる貴重な機会になりそうです。二人で新鮮な時間を共有できる素敵なデートになりそうですね。

大原富枝文学館の見どころはフォトジェニックな建物!茶室「安履庵」も見逃せない

「大原富枝文学館」の敷地内にある茶室「安履庵」の外観(その1)
▲敷地内にある大原富枝肝いりの茶室「安履庵」。自由に見学できる

編集部

大石さんが思われる、「大原富枝文学館」の見どころについて、お聞かせください。

大石さん

まずは、魅力的な建物です。昭和27(1952)年に建てられた旧本山簡易裁判所を再利用したもので、小さくとも風格があります。大原富枝は含羞(がんしゅう)(※)を込めて当館を「世界一小さな文学館」と呼び、愛しました。(※)はじらうこと

内部の見どころは、古典様式と言われる2階まで真っすぐに立ち上がった、縦長の窓がある階段室です。手すりや照明も、当時の雰囲気をそのまま残しています。

また、開館に合わせて建てられた茶室「安履庵」も見どころです。平成3年(1991年)の11月に当館がオープンし、安履庵の初席開きも行われました。当時は健在だった大原が自ら庵主を務め、お客さまをもてなしています。

「大原富枝文学館」の敷地内にある茶室「安履庵」の内部
▲茶室「安履庵」の内部。初席開きの際は、健在だった大原富枝が自ら庵主を務めたそう

「婉という女」の主人公・野中婉が師の谷秦山に宛てた手紙の中に、亡き父・兼山の50回忌に当たり、古臣を集めて茶の湯を催し、御霊を慰めたと記されていました。このため、茶室は大原がどうしても建てたいと思ったものだったのです。

安履庵とは、安らかに履物を脱いでくつろぐ家、という意味です。赦免を受けて、宿毛から高知へ戻った野中婉が「安履亭」と号したことから、大原が茶室の庵号に同じ名前を付けました。野中婉と同じ号を持つ茶室に静かに座っていると、心が落ち着くのを感じますよ。

学芸員おすすめの見どころは、大原富枝の写真パネル!大原文学のルーツが刻まれる

編集部

続いて、「大原富枝文学館」内にある、大石さんが特にお好きな展示についても教えていただけますか?

大石さん

常設展示室入口の大原富枝のパネルです。20歳時の大原の写真を引き伸ばしたパネルには、「Dear tomie yours Kasho」とサインが入っていますが、「Kasho」の部分は黒く塗りつぶされています。

この写真は、大原が恋人に贈った自分の写真に、恋人が「Dear tomie yours Kasho」とサインを入れてから、送り返してきたものです。

「大原富枝文学館」内部の常設展示室入口の写真パネル
▲常設展示室入口にある20歳の大原富枝が写った写真パネル(左側)。当時の恋人のサインが見える

大原は高知女子師範学校在学中に喀血し、結核のために退学を余儀なくされました。その後、故郷の吉野村(現在の本山町の一部)で療養生活を送りながら、文学修行を続けていました。

初めて投稿した作品「姉のプレゼント」が雑誌「令女界」に掲載されたのをきっかけに、文学青年との交際が始まりました。二人は結婚を前提にお付き合いを続けていました。

しかし、結核を病んだ娘を嫁に迎えることはできないという恋人の母親の反対にあって、この恋は実りませんでした。

大石さん

恋人は大原に真相を告げず、ただ「太平洋に戦争は必ず起こる、僕は太平洋の藻屑になる」という一通の絶縁状だけを残して去り、戦死してしまいました。

大原の恨みと深い悲しみによって、恋人の名前「Kasho」の部分が黒く塗りつぶされたこの写真には、青春の日の別れの記憶が刻まれています。

後になって、大原は自伝的長編小説「眠る女」を執筆する過程で、事の真相を知ることになりました。自らの憎悪を拭い去って、恋人とその母親を許したのです。そして、キリスト教に入信します。

この許しの過程こそが、大原の文学と人生に非常に大きな影響を与えました。常設展示室入口の一枚のパネルは、静かに大原の文学と生涯を伝えています。

格調高い文章と凛とした女性像:大原文学の魅力に触れる

編集部

デートの一環で「大原富枝文学館」を訪れたカップルには、どのようなことを感じ、学んで欲しいと思いますか?

大石さん

大原文学は初めてという方にも、当館の展示を通して、大原の格調高い文章に触れていただきたいと思います。

時代と戦争、結核と闘い、女性作家の先駆者として独自の文学世界を切り拓いた土佐の作家・大原富枝の魅力を感じていただければうれしいですね。

「大原富枝文学館」内に東京・杉並から移築された大原富枝の書斎(その2)
▲大原富枝が格調高い文章を綴ってきた昭和レトロな雰囲気の書斎(生前の仕事場)が見事に再現されている

大原富枝は大正元年(1912年)の生まれで、社会的弱者であった女性が過酷な運命を背負いながらも、懸命に生き抜く姿を一貫して書き続けました。作家としての業績に対し、恩賜賞・日本芸術院賞を受賞しています。

親交のあった作家・吉本隆明は、大原の逝去に際して、「戦後最大の女流作家・大原富枝の魂がここに眠る」との言葉を寄せました。

編集部

大原富枝の代表作「婉という女」は、海外でも英語・ロシア語・ポーランド語で出版され、映画化もされたそうですね。彼女は、父の追罰により40年間幽閉生活を強いられた実在の人物・野中婉を、結核で約10年間療養生活を送った自身と重ね合わせているのでしょうか。

見学される皆さんのうち、カップルでいらっしゃる割合はどのくらいでしょうか?

大石さん

カップルで見える方は、ご年配の夫婦が多いです。近年は若年層のカップルも増えてきた印象を持っていますが、まだ2割程度かと思います。より一層、当館の魅力を伝えていく必要性を感じる次第です。

編集部

日本文学に関心を持つ若年層のカップルが、まだ少ないのかも知れません。見方を変えれば、落ち着いた雰囲気の中でゆったりとデートを楽しめる場所とも言えそうです。

人間の本質は時代を経ても大きく変わることはありません。大原文学から、現代のカップルも多くのことを感じ、学び取れるのではないでしょうか。

四季折々で楽しめる文学館!カップルがゆっくりできる場所も豊富

編集部

「大原富枝文学館」に来館する季節やタイミングによって、それぞれの楽しみ方があれば教えていただけますか?

大石さん

当館では、年間3~4回の企画展を開催しており、テーマごとに新たな発見があります。都度、感動していただけるのではないかと思います。

また、雨の日にいらっしゃると、階段室のシャンデリアをはじめ、館内の照明がより一層美しく映えます。

茶庭(ちゃてい・ちゃにわ)(※3)には季節の花々が植えられており、館内の廊下からも、茶庭を歩きながらも、ゆったりとご覧いただけます。
(※3)つくばいや灯籠、飛石などを配置し、茶室と一体に造られた庭のこと。茶会に招かれた客同士の待ち合わせ場所であり、主人の迎えを待つ場所でもある。露地も同意。

初夏の夏椿が終わると、ヤマモモの赤い実とともに、紫陽花がとても美しくなります。秋の紅葉、冬の椿と梅、春のツツジなど、季節ごとに異なる花を観賞していただく楽しみが続きます。

「大原富枝文学館」の敷地内にある茶室「安履庵」の外観(その2)
▲茶室「安履庵」の茶庭には、季節の花々が植えられている

編集部

確かに、雨の日は趣(おもむき)ある建物の雰囲気がより際立ちそうですね。どの季節にデートで訪れても、それぞれ楽しめると感じました。

1階のサロン以外に、カップルがゆっくり過ごせるおすすめの場所や、記念撮影に適した場所がありましたら、ご紹介をお願いします。

大石さん

館内の廊下には、休憩用の椅子があります。ゆったりと茶庭をご覧いただきながら、おくつろぎいただけます。茶室「安履庵」も見学自由ですので、静かな時間をお過ごしください。

当館は2021年で開館30周年を迎え、大原の3匹の愛犬たちがキャラクターとなって、館内に登場しました。1代目のヨーロピアン・コッカ―スパニエルのラディ、2代目のアメリカン・コッカ―スパニエルのルカ、そして3代目の柴犬の三郎が、館内のあちらこちらでお客さまをお迎えしています。

彼らの近くに「撮影OKマーク」があれば、お二人で一緒に記念撮影をしていただけます。

編集部

そこかしこに静かな空間がある文学館だと感じます。大原文学に触れながら、カップルで今後の思いを巡らせる時間も、後から振り返ると、かけがえのないものになるのでしょう。

3代目の愛犬・柴犬の三郎は、彼女の著作「三郎物語」や「山霊への恋文」にも登場しますね。デートの記念に、思い出に残る写真が撮れそうです。

オリジナルグッズも販売!歴代愛犬のイラスト入りアイテムは必見

「大原富枝文学館」内にある「書籍・グッズ販売コーナー」
▲館内の「書籍・グッズ販売コーナー」と、事務局長の大石さん

編集部

デート中のカップルが「大原富枝文学館」に来館した記念に、購入できるアイテムなどありますでしょうか?

大石さん

「書籍・グッズ販売コーナー」にて、「婉という女」や「アブラハムの幕舎」(講談社文芸文庫)など大原富枝の代表作や図録、一筆箋などを取り扱っています。

また、2021年に開館30周年を迎えたことを記念して、大原富枝の歴代3匹の愛犬たちをモチーフにしたキャラクターグッズを新たに制作しました。これらは劇団ヨーロッパ企画の角田貴志さん(俳優・イラストレーター)がデザインを担当しています。

主な商品としては、愛犬・三郎のイラスト入りステンレスボトル(3,000円)、ジェットストリーム4色ボールペン(シャープペンシル付き)(1,600円)、三郎・ラディ・ルカのイラスト入りトートバッグ(1,500円)があります。さらに、クリアファイル(300円)、三郎測量野帳(700円)、ポストカード(300円)なども販売しています。

※価格は2022年時点のため、最新の情報は直接お問い合わせください

編集部

渋い「野帳」もあるのには、正直驚きました。本来は測量技師向けの手帳ですが、メモ帳として使いやすいため、一部ビジネスパーソンには密かな人気があるんですよね。

デートで大原富枝文学館を訪れた記念に、日常生活で使える文具などを購入するのもいいかもしれません。

「大原富枝文学館」の口コミ・感想をチェック!

編集部

「大原富枝文学館」に来館される皆さんから、よく耳にする声や見受ける反応などがありましたら、ぜひ教えてください。

大石さん

「初めて訪れましたが、作家の故郷にこのような文学館があって、その人を身近に感じられ、とてもうれしく思いました」という趣旨のお言葉をよくいただきます。

初めていらした方が「建物も展示も想像以上でした」と言ってくださると、本当にうれしい気持ちでいっぱいになりますね。建物の趣深さや展示の充実ぶりに驚かれる方が多いようです。

また、展示をご覧になって初めて大原の著書を購入される方も多いです。作品に興味を持ち、文学の世界に触れるきっかけになっていることを、とてもありがたく思います。

編集部

「建物も展示も想像以上でした!」というのは、私も初めてお邪魔して同じ印象を持ちました。今まで文学に馴染むことが少なかったカップルも、一度デートで訪れてみるといいでしょう。新しい共通の話題が見つかるかもしれません。

「雰囲気がよい!」「繰り返し訪ねたくなる!」との声も多数

GoogleやSNS上に残されていた、大原富枝文学館についての口コミ・評価を編集部でも確認しました。デートの参考になりそうな意見をいくつか要約して紹介します。

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文学に詳しくなくても、気づけば展示にのめり込んで1時間以上過ごしてしまいました。
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ノスタルジックな雰囲気の博物館で、全体的な雰囲気がとても良かったです。
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コンパクトな博物館ですが、内容が充実していて何度も訪れたくなります。
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スタッフの方も親切で、落ち着いた雰囲気の中でゆったりとくつろげました。

総じて評判のよい、ノスタルジックな博物館です。文学に詳しくない方や大原富枝の著作を読んだことがない方が訪れたとしても、来てよかったと感じるようでした。

カップルがデートの一環で初めて訪れても、展示を通じて会話が弾み、二人で穏やかな満ち足りた時間を過ごせると思います。

「大原富枝文学館」からカップルへのメッセージ

大原富枝文学館の学芸員の大石さん
大原富枝文学館の事務局長で学芸員の大石さんと大原富枝の初代愛犬ラディ

編集部

最後になりますが、デートで「大原富枝文学館」を訪れることを検討しているカップルに向けて、メッセージをお願いします。

大石さん

文学が大好きなカップルの方、歴史が大好きなカップルの方には、十分に楽しんでいただけると思います。じっくり時間をかけて展示を堪能し、サロンで実際に本を手に取ってゆっくりと味わっていただきたいです。

また、大原文学は初めてという方にもお気軽に来館いただき、館内をご覧いただいて心安らかに過ごしていただければ、大変ありがたく思います。茶室「安履庵」に座って、流れている静かな時間を感じていただけましたら幸いです。例えば、お二人で静かに座り、お互いの存在を感じながら、日常の喧騒から離れた特別な時間を過ごすことができます。

編集部

大石さん、本日はお忙しい中、貴重なお話をお聞かせいただき、大変ありがとうございました。

「大原富枝文学館」の基本情報

住所 〒781-3601
高知県長岡郡本山町本山568-2
問合せ (電話)0887-76-2837
(公式サイト)https://oohara-tomie-bungakukan.net/contact/
※受付時間:平日9:00~18:00(土・日・祝日を除く)
アクセス 【車】
大豊ICから約15分
【公共交通機関】
JR大杉駅下車後、バスで約20分
駐車場 専用駐車場なし
※隣接する「本山町プラチナセンター」の駐車場を利用可能
※身体が不自由な方の車は、館庭に駐車可能
開館時間 9:00~17:00
※入館受付は16:30まで
休館日 毎週月曜日
※月曜日が祝日の場合は翌日
年末年始
※12月28日~1月4日
入館料 (一般・大学生)300円
(小・中・高生)100円
※各種障害者手帳、戦傷病者手帳、被爆者健康手帳、高知県または高知市長寿手帳をお持ちの方とその介護者は入館料免除(要問合せ)
平均的な滞在時間 30~60分程度
比較的空いている時間 (平日)終日空いている
(土・日・祝日)午前中が比較的空いている
公式サイト https://oohara-tomie-bungakukan.net/

※最新の情報は公式サイト等でご確認ください。
※記事中の金額はすべて税込表示です。

「大原富枝文学館」周辺のおすすめデートスポット

ここからは、「大原富枝文学館」を見学する前後に訪れやすい近隣のデートスポットを紹介します。カップルでランチやお茶を楽しむのにぴったりのお店も含まれていますので、ぜひ参考にしてください。

おすすめのデートスポット

シャクナゲと吉野川の絶景:「帰全山公園」で楽しむ自然散策

蛇行する吉野川上流の景色と一体となった「帰全山(きぜんざん)公園」は、「大原富枝文学館」から徒歩10分ほどの場所にあります。吉野川に囲まれた緑豊かな公園で、敷地内にはキャンプ場も併設されており、自然を満喫できる環境が整っています。

例年春のゴールデンウィークころには、咲き誇るシャクナゲやツツジを観賞しようと、多くの観光客で賑わうことでも有名です。晴れた日には、二人で遊歩道を散策すると爽快な気分を味わえ、心地よい時間を過ごせます。

帰全山公園は、大原富枝の代表作「婉という女」の主人公・婉の実父である野中兼山ゆかりの地です。公園入り口には兼山の銅像が立っており、ここも記念撮影におすすめのスポットとなっています。

参考URL:公益財団法人高知県観光コンベンション協会「帰全山公園」

アウトドア好きカップル必見!「モンベル アウトドアヴィレッジ本山」

「帰全山公園」のすぐ隣には、「モンベル アウトドアヴィレッジ本山」があります。直営ショップやレストラン、宿泊できるコテージ、一般の方も利用可能な入浴施設、体育館などを備えた複合施設です。

ショップでは、モンベルのアウトドア用品に加え、地元のお土産品も販売されています。地元食材を豊富に使用する「レストラン ハーベステラス」は、デートランチにもおすすめです。

専用窯で焼き上げるピザや、高知県の名産「土佐あかうし」を使用したBBQを、開放的なオープンテラスや温かみのあるウッディな店内でゆっくりと楽しむことができます。隣接する「大原富枝文学館」と合わせて訪れれば、充実した時間を過ごせるでしょう。

公式URL:モンベル アウトドアヴィレッジ本山

地元グルメを堪能:江戸前鮨「いち松」の絶品メニュー

「いち松」は、「大原富枝文学館」から徒歩5分ほどの場所にある江戸前鮨の名店です。昼はランチメニューのみで、新鮮な海鮮丼や穴子丼、土佐あかうしのローストビーフ丼などをリーズナブルな価格でたっぷり楽しめます。

17:30以降は、こだわりの握り鮨が提供されます。大原富枝文学館をゆっくり見学した後、ディナーで訪れるのもおすすめです。2階には囲炉裏があり、魚介類の焼き料理も味わえます。

メニューはどれを選んでも美味しく、ハズレがありません。また、スタッフの方々の笑顔と親切な対応も魅力の一つです。多くのリピーター客で賑わうのも納得できる理由でしょう。人気店のため、できるだけ電話予約をすることをおすすめします。

参考URL:一般社団法人土佐れいほく観光協議会「いち松」

その他のおすすめデートスポット

  • 本山さくら市(地元の朝採れ野菜が豊富に並ぶ農産物直売所。地元ブランド米「天空の郷」を使用した絶品おにぎりもテイクアウト可能)
  • JOKI COFFEE(吉野川の景色を眺めながら、厳選されたコーヒーと手作りスイーツを楽しめる。木をふんだんに使用した温かみのある居心地の良い店内が特徴)

まとめ:大原富枝の文学世界と本山町の魅力に触れる充実のデート

この記事では、高知県本山町の吉野川上流に位置する「大原富枝文学館」を訪ね、戦後を代表する女流作家・大原富枝の生涯と作品に触れる一日を紹介しました。

自身の人生や社会と真摯に向き合ってきた大原富枝の生き方や考え方は、将来の二人の関係性や人生の方向性を考えているカップルにとって、貴重な洞察や刺激を与えてくれるでしょう。

土佐の緑豊かな山里に建つこの趣ある文学館は、日本文学に詳しくないカップルでも十分に楽しめる魅力的なスポットです。静かな環境で互いの思いを語り合うなど、心に残る特別なデートを過ごせることでしょう。皆さまのデートプランの参考になれば幸いです。