【奈良県天川村への移住】住み心地はどう?暮らしの特徴・仕事・支援情報
この記事では、地方への移住を検討している方のために、奈良県天川村の魅力を紹介していきます。
天川村は、奈良県の南部に位置する人口約1,200人の村です。村全体がユネスコエコパークに認定、総面積の4分の1が吉野熊野国立公園に指定されているほど、美しい大自然に恵まれています。修験道が栄えた大峯山や、冷涼な空気で避暑地としても人気の洞川(どろがわ)温泉郷などが多くの人々を惹きつける観光も盛んな地域です。
そんな天川村での暮らしの特徴やその魅力について、天川村地域対策課の方に伺ったお話とあわせて、詳しく解説していきます。
奈良県天川村の暮らし、3つの特徴
天川村は総面積の約97%を森林が占め、林業が主要産業の一つです。また、村内には神社仏閣や温泉、修験道を体験できる山などがあり、年間を通じて多くの人々が訪れる観光業も盛んな村です。
豊かな自然や、息づく歴史と文化、観光資源に恵まれているので、移住をきっかけにして新しいことに挑戦したいと考えている方にもおすすめの地域です。
そんな天川村は以下のような特徴があります。
- 自然を間近で感じながら生活ができる
- 村全体で郷土愛を育てる教育行っている
- 気軽に歴史探訪や温泉を楽しむことができる
それではここから、天川村の魅力や特色について更に掘り下げていきたいと思います。
特徴1:村全体がユネスコエコパークという大自然に恵まれた地域
▲天川村の洞川地区を捉えた航空写真からも緑の豊かさが窺える
天川村は、村全体がユネスコエコパークに認定されています。文部科学省によるとユネスコエコパークとは、「豊かな生態系を有し、地域の自然資源を活用した持続可能な経済活動を進めるモデル地域」をさし、国内には10地域しかありません。
公式:文部科学省(生物圏保存地域(ユネスコエコパーク))
参考:大台ヶ原・大峯山・大杉谷ユネスコエコパーク
▲全長7.4kmの渓谷美を楽しめる「みたらい渓谷」
また、ユネスコエコパークに認定されていると同時に、村の4分の1が吉野熊野国立公園に指定されており、天川村がいかに自然豊かな地域かがよくわかります。
▲環境省の「名水百選」に選ばれている洞川湧水群の一つ「ごろごろ水」
自然が豊かな地域は日本全国にたくさんありますが、天川村はその中でも群を抜いて自然環境に恵まれていると言えます。
▲貴重な「ストロー鍾乳管」を有する面不動鍾乳洞もある
山に囲まれた天川村の標高は高く、民家最低所で441m、最高所で845mあります。空気も綺麗で、見渡す景色も美しく、日々心地よい環境の中で生活ができます。都会の喧騒とは180度異なる環境に、ほっと一息つける瞬間も多そうです。
特徴2:少人数ならではの特色ある教育
▲少しおっかなびっくりとした様子でスキーにチャレンジする子どもたち
天川村には小中一貫校である「天川村立天川小中学校」があり、児童生徒が少人数であることを活かして村全体で教育を進めています。
天川村の主要産業である林業で伐採体験を行ったり、茶豆を育てたり、村内を歩いて観光マップを作ったりと、地域に根ざした「ふるさと学習」を実施しています。
また、9年間の一貫教育の中で、タブレットを授業に取り入れるなど児童生徒たちのICT活用能力の育成にも取り組んでいます。
幼稚園でも週に一度、ALTを招いて英語遊びを行ったり、体育講師と共に運動遊びを行ったりと、ひとりひとりに向き合った教育を行っています。
保育園・幼稚園・小中学校がそれぞれ村内に1か所だけという点から、子どもたちはもちろん親同士もすぐに顔見知りになれるので、顔の見える関係性が築きやすいのも特徴です。※2023年7月現在
特徴3:週末は神社仏閣探訪に温泉も。色濃く残る修験道の歴史
▲「山の正倉院」としても親しまれている国最高所に建つ国重要文化財「大峯山寺」
天川村には、修験道の開祖とされる役小角(えんのおづぬ)が修行に励んだという、霊峰・大峯山(山上ヶ岳)があります。修験道の根本道場として1300年以上の歴史がある大峯山には現在もなお、多くの修験者が訪れています。
最古より多くの人々が訪れる天川村は歴史的資産を多く有しており、年間65万人ほどの観光客が訪れます。
▲村指定の文化財を有する栃尾観音堂
現在も女人禁制の大峯山寺(おおみねさんじ)や、多種多様な仏像が祀られている栃尾観音堂、龍王様が住むとの言い伝えがある龍泉寺に、商売の神様である天河大辨財天社(てんかわだいべんざいてんしゃ)など、村には由緒正しい神社仏閣があります。
村内に点在する神社仏閣は、まるで村を守って下さっているような清廉な雰囲気があり、観光客だけでなく村民の信仰を集めています。
また、標高が約820mほどあり、夏場でも涼しいことから「関西の軽井沢」と呼ばれる洞川温泉も人気の高いスポットです。
▲観光客にも人気の洞川温泉の夜はどこか神秘的な雰囲気
旅館や民宿が20軒ほど、土産物屋や飲食店、資料館や博物館が立ち並ぶ街の姿はどこか昭和レトロな風情があり、歩いているだけでも楽しい場所です。村営洞川温泉センターではゆったりと山の湯を楽しむことができます。
週末、遠出をする元気はないが、リフレッシュできるようなことがしたいという時には村内を巡るだけでも十分なほど、隠れた魅力がたくさんあるのが天川村です。
奈良県天川村の暮らしに関する情報
▲朱色の山門と紅葉が鮮やかな大峰山龍泉寺
ここからは天川村での生活に関する基本情報を、データとともに紹介します。
気候 | ・夏(8月):平均気温27.8℃ ・冬(1月):平均気温4.5℃ ※参考:気象庁ホームページ(奈良地点) |
---|---|
人口 | 約1,200人※2023年5月末時点 |
病院 | 村内にはクリニックも含め2件の医療機関がある |
学校 | 保育園1園、幼稚園1園、小中学校1校 |
交通 | 【バス】 ・奈良交通バス 【道路】 ・国道309号、県道21号大峯山公園線、県道48号洞川下市線、県道53号高野天川線 |
近隣都市 | 五條市、黒滝村、川上村、上北山村 |
近隣都市からのアクセス | 【車】 ・奈良市内から京奈和自動車道橿原バイパス経由で天川村川合まで約2時間 ・大阪方面から南阪奈道路高田バイパス経由で天川村川合まで約2時間〜2時間半 ・名古屋西ICから天川村川合まで約3時間半 【公共交通機関:下市口駅まで】 ・奈良駅もしくは大阪阿部野橋駅から電車で約1時間 ・京都駅から電車で約1時間40分 【公共交通機関:下市口駅から天川川合まで】 ・バスで約1時間 |
※人口以外の数字は2023年7月現在のものです
村内にはバスが走っていますが、1時間に1本ほどのため、移動には車が必須です。大きなスーパーやホームセンター、ドラッグストアなどは、車で30分ほどのところの大淀町にあるため、日常の買い出しに困ることはありません。高齢の村民の中には、宅配を利用している人もいます。
冬には雪が降りますが、降雪量は年によって異なります。多い時には、ひざ下あたりまで、あまり降らないときはパラパラ程度で終わる年もあります。
【仕事】村内の仕事は短期が多い。車で30分圏内の求人募集は多様
大手求人サイトで「天川村×正社員」で検索したところ、約30件の求人情報が見つかりました。車で30分以内の通勤圏内(村内から25km以内)で検索したところ、求人情報は約3,000件まで広がりました。
※参考:求人情報の一例(天川村のみ)
※参考:求人情報の一例(天川村から25km以内)
村内は慢性的に人手不足の状況にあります。さまざまな職種の募集がありますが、基本的には季節商売として短期労働が多いようです。村内の事業者同士は繋がりも強いため、仕事をしている内にまた次の仕事を紹介してもらえることもあります。
観光地であることから、春から秋にかけては特に観光業の仕事の募集が多い傾向にあります。村で新たなことにチャレンジしたい方には、いろいろな職種を経験する機会が豊富にあると言えます。
【住まい】賃貸物件は要確認。空き家バンク制度は需要が供給を上回る状況
いくつかの賃貸サイトで天川村の物件を探したところ、賃貸が可能な物件は現時点(2023年7月現在)では見つかりませんでした。ただ、新しい賃貸物件がいつ出てくるかわからないため、定期的に賃貸サイトをチェックしておくと良いでしょう。
特定非営利活動法人空き家コンシェルジュが空き家バンク制度を運営しているため、こちらも確認することをおすすめします。
参考:天川村 空き家バンク
登録されている物件は改修が必要なことが多いため、気になる物件は内覧や必要な修繕度合いを確認しましょう。改修をする場合は、「空き家改修事業等補助金」を活用すると2分の1補助で最大50万円まで受け取ることができます。制度の活用を考える場合は、村に問い合わせてみて下さい。
【子育て】保育料・医療費の無償化から、給付金の支給まで幅広くサポート
▲広い園庭でのびのびと遊ぶ子どもたち
天川村では、子育て世帯をサポートするための制度を整備しています。
- 保育園・幼稚園の保育料・給食費が無料
- 幼稚園・保育園を同一敷地内で一体化し、幼児教育保育を充実させている
- 乳幼児医療助成として、中学3年生までの医療費が無償
また、出産から卒業までの節目のイベント時に、給付金や祝金を支給する制度があります。
制度名 | 概要 |
---|---|
第3子以降出産祝金 | 第3子以降の子ども1人に対し、出産祝金として50,000円を支給 |
出産・子育て応援給付金 | ・妊婦1人につき50,000円 ・生まれた子ども1人につき50,000円 を出産・子育てによる経済的負担の軽減を目的として支給 |
入園・入学・卒業祝金 | ・幼稚園に入園、転入:50,000円 ・小学校または義務教育学校に入学、転入:50,000円 ・中学校に入学、転入、または、義務教育学校の後期課程に進級:100,000円 ・中学校または義務教育学校を卒業:100,000円 以上を入園・入学・卒業祝金として支給 |
修学旅行費補助金 | 6年生:20,000円/人、9年生:40,000円/人を限度額として修学旅行費を補助 |
また、預かり保育や、放課後児童クラブ(学童)なども行っており、子育て世帯が働きやすいようなサポート体制を取っています。
公式:奈良県天川村移住促進サイト(教育)
公式:奈良県天川村移住促進サイト(暮らし)
村全体が子どもたちの遊び場
天川村では、豊かな自然の中で遊ぶ子どもたちの姿がよく見られます。川遊びをする子どもたちの姿を見かけるのも、川が綺麗だからこそと言えそうです。
冬に雪が積もった時には、家の前で雪遊びやそり滑りもできますし、観光客にも人気の「スノーパーク洞川」というスキー場も村内にあります。
春夏秋冬、自然を活かして遊ぶことができる贅沢な環境があります。
村内には公園がいくつかありますが、「小規模多機能型居宅介護施設もみじの里」の前にある公園が、隠れた人気スポットです。秋には天川村商工会による「こども縁日」が開かれることもありますよ。
奈良県天川村に暮らす先輩移住者の声
実際に天川村で暮らし始めた移住者の皆さんは、その暮らしをどのように感じているのでしょうか。ここではそんな先輩移住者たちのリアルな声を紹介します。
- 雪が降った日の、晴天の夕方に見る山がすごく神々しくて美しい
- どこに行っても顔なじみという関係性を築けるので、居心地がいい
- ご近所との関わりから、癒しや安心感などを得て、精神的な住み心地の良さに繋がっている
- 自宅近くの畑で野菜や米を育ててみたり、メダカを飼ったりと、仕事以外の時間も充実している
- 都会に住んでいた時は、近所付き合いがほとんどなかったので、天川村に来た当初は密な近所付き合いに若干戸惑った。今では、助け合いの精神を理解し、地域への愛着が湧いている
天川村の人口数は決して多くはありません。村民同士の顔が見える関係性は都会ではなかなか考えられないことですが、移住者の方々はその人同士の近さに居心地の良さを感じているようです。
移住者の方は「天川村で何かしたいな」と思ってやってくる方が多い印象があります。移住者の方が天川村の魅力に気づいて下さると嬉しいですね。
奈良県天川村への移住STEP
奈良県天川村への移住を考えた際には、まず何をすれば良いでしょうか。情報収集をして気になったら、まずは一度天川村に訪問してみることをおすすめします。
年に一度(10月頃)、空き家バンク制度を運営している「特定非営利活動法人空き家コンシェルジュ」が、相談会を実施しています。時期を合わせて訪問するのも良いでしょう。
参考:天川村 空き家バンク(空き家セミナー&相談会2022年10月8日)
来て頂いたらぜひ、村民と話して欲しいです。人が素晴らしいので、村全体の魅力も伝わってくると思います。
天川村への移住に関するお問い合わせ
天川村に興味を持った方は、まずは地域政策課に問い合わせてみてくださいね。移住について親身に相談に乗ってくれますよ。
担当 | 地域政策課 |
---|---|
住所 | 〒638-0392 奈良県吉野郡天川村大字沢谷60番地 |
電話 | 0747-63-0321 |
公式サイト | https://www.vill.tenkawa.nara.jp/ |
移住サイト | https://www.vill.tenkawa.nara.jp/newlife/ |