天童市美術館で近代日本画の名作を堪能!カップルで楽しむ芸術デート
この記事でご紹介するのは、山形県天童市にある「天童市美術館」を訪ね、ゆったりくつろげる明るい館内で、近代日本画の名作を中心に鑑賞する、ちょっと贅沢な気分に浸れるデートプランです。
同美術館は、地域密着型の比較的コンパクトな施設ながら、立地のよさと見応えある展示内容で人気を集めています。JR天童駅から徒歩でアクセスでき、「天童温泉」にも近いため、アート好きのカップルはもちろん、美術にあまり詳しくない方々にもデートスポットとして利用しやすい施設となっています。
今回は、天童市美術館の展示内容や見どころ、デートでの楽しみ方などについて、同美術館の学芸員である阿部さんにお話を伺いました。
天童市美術館で楽しむ近代日本画鑑賞デートの魅力
▲広々として明るい雰囲気が漂う天童市美術館。JR天童駅から徒歩でアクセスできるのも魅力的です。
1990年に開館した天童市美術館は、天童市出身の日本画家・今野忠一や岐阜県出身の洋画家・熊谷守一をはじめ、山形県にゆかりのあるアーティストの作品を収蔵・展示しています。また、年間を通じて様々なテーマの企画展示や、子どもから大人まで楽しめる参加型のワークショップも好評を博しています。
それでは、同美術館のコンセプトや具体的な展示内容について、詳しくお聞きしていきましょう。
天童温泉街と舞鶴山を望む美術館の絶景ロケーション
編集部
今回初めて天童市美術館さんにお邪魔しましたが、JR天童駅から徒歩15分ほどで到着しました。天童の街をのんびりと散策しながら、たどり着ける感じですね。
まず、美術館のコンセプトや概要について、お話しいただけますでしょうか?
阿部さん
当館は、くつろいだ雰囲気で展示作品を鑑賞いただける工夫がされており、何度でも訪れたくなる美術館作りに取り組んできました。ゆったりとした空間で、作品をじっくりと楽しんでいただけます。
▲明るく開放的なラウンジ。デート中のカップルも、ゆったり気分でくつろげる
今野忠一(こんのちゅういち)(※1)や熊谷守一(くまがいもりかず)(※2)、豊田豊(とよたゆたか)(※3)などの作品を紹介する常設展示と、国内外の優れた美術作品を公開する企画展示を設けています。これらの展示を通じて、多様な芸術作品に触れる機会を提供しています。
(※1)天童市出身の日本画家。故郷の蔵王や月山を始め、多くの山々や巨木を題材にした重厚な作風で知られる。
(※2)岐阜県出身の洋画家。単純な形態と明瞭な色彩による独自の画風で知られる。
(※3)天童市出身の彫刻家で、後にブラジルに移住。「宇宙空間」をテーマに、ステンレスを使った立体作品を制作している。
▲2階にある展示室内部の今野忠一記念室。ゆったりした造りで、存分に作品を楽しめる
また、山形県と縁(ゆかり)ある企業・吉野石膏株式会社から寄託を受けた上村松園(うえむらしょうえん)(※4)や横山大観(よこやまたいかん)(※5)、東山魁夷(ひがしやまかいい)(※6)の作品を始めとする、近代日本絵画の名品も鑑賞いただけます。これらの作品は日本美術の真髄を感じられる貴重なコレクションです。
(※4)京都市出身の女流日本画家。気品あふれる美人画を得意とした。
(※5)茨城県出身の日本画の巨匠。線描を抑えた独特の没線描法を確立した。
(※6)横浜市出身の日本画家。風景画分野の国民的画家と言われる。
当館は天童の温泉街にも近く、桜や紅葉が美しい舞鶴山を望めるロケーションです。静かな落ち着いた環境で、お二人でゆったりとアート鑑賞をお楽しみいただけます。四季折々の自然と芸術作品の調和を感じられる、特別な空間となっています。
今野忠一と近代日本画の名作コレクションの魅力
編集部
次に、常設展示について詳しく教えてください。
阿部さん
常設展示では、主に三つのコレクションをご覧いただけます。天童市出身の日本画家・今野忠一の作品、独自の表現で知られる洋画家・熊谷守一の作品、そして近代日本絵画の名品を集めた吉野石膏コレクションです。
厳かな山の姿を大画面に描いた今野忠一の作品は、その迫力とエネルギーで展示室の雰囲気を一変させます。山々の荘厳さが来館者の心に深い印象を残します。
一方、身近な動植物や風景を描いた熊谷守一の作品は、愛らしさと親しみやすさが特徴で、「モリカズ様式」として親しまれています。素朴で温かみのある表現が多くの方々の心を惹きつけています。
▲2階にある村山祐太郎記念・熊谷守一展示室。質の高い作品が多く展示されています
当館では多様な作風の絵画をお楽しみいただけますが、作品保護のため常設展示の作品は約1ヵ月ごとに入れ替えを行っています。これにより、来館するたびに新しい作品との出会いを楽しむことができます。
なお、企画展開催中は常設展示の作品が展示されないこともあります。ご来館の際は、事前に公式サイトで展示内容をご確認いただくことをお勧めします。
圧巻の迫力!今野忠一の山岳画コレクション
編集部
常設展示の中で、阿部さんが特にお好きな作品がありましたら、ご紹介いただけますか?
阿部さん
私のお気に入りは、やはり今野忠一が山々を描いた作品群です。迫り来るような山肌と神聖な空気感に、背筋が思わずピンと伸びるような感覚すら覚えますね。今野忠一は山形県出身の画家で、その地域の自然を独特の視点で表現しています。
作品が展示室に一堂に並ぶ様子は圧巻ですから、ぜひご覧になってみてください。迫力ある山の風景画を通して、山形の自然の魅力を感じていただけると思います。
編集部
展示作品以外に、阿部さんおすすめの館内スポットなどはありますか?
阿部さん
当館の展示室は、1階に1つ、2階に2つとなっています。2階には、豊田豊の野外彫刻を鑑賞できるバルコニーがあります。天童の温泉街や四季折々の自然景観を背景にアート鑑賞ができる、おすすめの館内スポットですよ。春には桜、秋には紅葉など、季節によって異なる風景とともに彫刻作品を楽しめます。
▲2階のバルコニーでは、天童市出身の世界的彫刻家・豊田豊の作品を展示中。四季折々の自然景観を背景に、アート鑑賞ができる
また、エントランスとラウンジも、外光を効果的に取り入れた明るい空間になっています。天気がよい日には、これらの場所でのんびりとくつろぐことができ、とても気持ちいい時間を過ごせます。
毎年楽しめる絵本原画展と人気作家の個展
編集部
企画展(特別展示)についても教えてください。過去に人気があったり、恒例で繰り返し行われていたりするものがありましたら、お話しいただけますでしょうか?
阿部さん
当館では、毎年1回程度、絵本原画展や人気作家の個展など、気軽に足を運んでいただける企画展を催しております。
特に絵本原画展が人気です。自分が知っている絵本がどのように描かれるのかを間近に見ることができ、童心に戻ってワクワクした気持ちになれます。また、恋人同士で訪れると、お互いの好きな絵本について語り合うきっかけにもなり、新たな発見や共通点を見つけられるかもしれません。
▲1階の展示室は最も広く、企画展示室として、さまざまな作品を紹介している
企画展の開催スケジュールについては、公式サイトの「展覧会一覧」ページをご確認ください。デート前にチェックしておくと、展示内容を事前に把握でき、より充実した美術館体験ができると思います。
カップルでリラックスして楽しめる明るい館内環境
編集部
阿部さんが考える、天童市美術館ならではの最大の魅力は何でしょうか?
阿部さん
当館の魅力は、明るく適度な広さの館内環境です。どなたでもリラックスして、気取らずにアート鑑賞を楽しめます。これは来館者の方々に好評をいただいています。
また、近代日本画を中心とした質の高い作品を、間近でゆっくりとご覧いただけることも大きな特徴です。美術館でありながら、親しみやすい雰囲気を大切にしています。
▲2階の展示室へと向かう階段と吹き抜け。自然光を取り入れた、明るく開放的な雰囲気の館内
ここまでは、一般的な観光客の視点から天童市美術館とその展示内容について伺いました。これからは、カップルがデートで訪れる場合に焦点を当てて、お話を伺っていきましょう。
カップルで参加できる年2回のミュージアムコンサートと体験型イベント
編集部
天童市美術館では、デート中のカップルが楽しめるようなイベントや、ワークショップなどの開催はありますか?
阿部さん
毎年2回、春と秋~冬にかけて、ミュージアムコンサートを開催しています。3~5人のアーティストが出演する、1時間ほどの小規模なコンサートです。入館料のみで本格的なクラシック音楽のライブを楽しめるため、毎回大変好評をいただいています。
また、年に3回ほど、アイロンビーズなどの創作体験ができる「体験美術館」というワークショップも開催しています。子供から大人のカップルまで、幅広い年齢層の方に楽しんでいただけます。
▲ワークショップ「体験美術館」の様子。
アイロンビーズの体験では、専用のプレートの上にビーズを並べて好みの絵柄を作り、アイロンで熱を加えて一枚のプレートに仕上げます。オリジナルの作品を作ることができ、思い出に残るデートになるでしょう。
デートでお越しになる前に、公式サイトの「ミュージアムコンサート」ページと「体験美術館について」ページをご確認ください。開催日程や詳細情報がご覧いただけます。
公式:天童市美術館「ミュージアムコンサート」
公式:天童市美術館「体験美術館について」
美術鑑賞後のデートにおすすめ!天童温泉で癒しのひととき
編集部
天童市美術館を見学する前後にカップルが立ち寄れそうな、おすすめの周辺デートスポットがありましたら、ぜひご紹介をお願いします。
阿部さん
何と言っても、「天童温泉」でのご宿泊や日帰り入浴がおすすめですね。のんびり散策したり、足湯に浸かったりと、昔ながらの風情ある温泉街を味わえます。徒歩圏内に多くの飲食店もあるので、和食や郷土料理など、山形の食を楽しむこともできます。
温泉街の近くには、「道の駅天童温泉(もりーな天童)」もあり、地元の新鮮な野菜や果物、加工品など美味しいものや珍しいお土産品が豊富に揃います。天童市特産のラ・フランスを使ったスイーツなども楽しめるので、フルーツやデザート好きのカップルには、ぜひ立ち寄っていただきたいスポットです。
お車でお越しの方には、縁結び観音として有名な「若松寺(じゃくしょうじ)」をおすすめします。良縁と幸福を願って、境内にある縁福大風鈴を二人で鳴らしてみるのもロマンチックですよ。
また、少し足を伸ばして、松尾芭蕉にゆかりのある「宝珠山 立石寺(りっしゃくじ)」を訪れるのもおすすめです。地元では昔から「山寺」の通称で親しまれており、四季折々の美しい景色が楽しめる絶景スポットです。
奇岩が多い山全体が修行の場になっていて、登山口から大仏殿のある奥之院までは、だいたい1時間くらいの道のりです。履き慣れたスニーカーなど、歩きやすい靴での立ち寄りをおすすめします。
境内にはパワースポットや国指定の重要文化財もあり、自然と歴史を感じながらゆっくりと散策できるので、ドライブデートの目的地としてもぴったりです。
来館者の声:カップルも感動する「高レベルな作品展示」
▲2階の廊下に展示される彫刻家・佐藤助雄の作品群。細部までこだわった、完成度の高い彫刻に目を奪われる
天童市美術館でのデートの参考になるよう、実際に見学した方々からよく聞かれる口コミ・感想を紹介します。
- レベルの高い展示作品が多く、見応えたっぷりの美術館です。熊谷守一や東山魁夷など、著名な作家の作品も多数展示されており、質の高い芸術鑑賞を楽しめます。
- 天童で熊谷守一や東山魁夷の作品を鑑賞できると思っていなかったので、嬉しい驚きでした。地方の美術館でこのような大物作家の作品に出会えるのは貴重な体験です。
- 月山や蔵王なども望め、四季の移ろいを感じられる立地がいいですね。雰囲気のよい美術館だと思います。自然と芸術が調和した空間で、ゆったりと過ごせます。
総じて評判のよい地域美術館です。展示作品のレベルが高く、見応えたっぷりであること、周囲の環境に恵まれ、雰囲気がよいことは、多くの来館者が高く評価しています。熊谷守一や東山魁夷といった著名な作家の作品を鑑賞できる点も、訪れる人々を驚かせる魅力の一つとなっています。
デートでカップルが見学する場合、芸術鑑賞と美しい景観を楽しみながら、充実したひと時を過ごせそうです。お互いの感想を共有しながら、会話を深める良い機会にもなるでしょう。
まとめ:天童市美術館でカップルが楽しむ芸術と温泉の1日
▲今回お話を伺った学芸員の阿部さん。実直で、穏やかなお人柄が印象的
編集部
これから天童市美術館を訪れるカップルへのメッセージや、今回のインタビュー取材で伝えきれなかった想いなどがありましたら、ぜひお話しください。
阿部さん
当館は、日々の喧騒を離れて、ゆったりとお過ごしいただくのには最適な美術館だと思います。鑑賞した作品の感想などを述べ合いながら、お二人で知的な時間をお楽しみください。
いつものデートでは見られなかった、お相手の感性や価値観に気付けるかもしれません。例えば、同じ作品を見ても感じ方が異なることで、新たな一面を発見できるかもしれませんね。また、美術館での会話を通じて、お互いの理解を深める良い機会にもなると思います。
編集部
阿部さん、本日はいろいろなお話を聞かせていただき、大変ありがとうございました。
カップルデートに役立つ天童市美術館の施設概要と利用案内
カップルでお得に利用!入館料・割引情報・おすすめ来館時間
入館料 |
【通常展示】 【企画展示】 【特別展示】 ※年間観覧券(2,100円)も販売中。購入日から1年間有効で、購入者本人と同伴者1名が入館可能。通常展示、企画展、特別展、体験美術館のすべてに利用可能 |
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割引 | 身体障がい者手帳、精神障がい者保健福祉手帳および療育手帳を提示された方は、入館料が50%割引。同伴の介護者1名は無料 |
混雑しない時間帯 |
【平日】 【土・日・祝日】 |
※表示の金額はすべて税込です
デートプランに便利なアクセス・開館時間・周辺情報
住所 | 〒994-0013 山形県天童市老野森1丁目2番2号 |
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連絡先 | 電話:023-654-6300 Web:公式サイト「お問い合わせ」ページ |
アクセス |
【公共交通機関】 【車】 |
駐車場 | 無料駐車場あり ※美術館前に来館者専用で普通車11台分 ※市民文化会館・市立図書館等との共有駐車場(無料)も利用可能 |
開館時間 | 9:30~18:00 ※最終入館時刻は17:30 |
休館日 | ・毎週月曜日(祝日や振替休日の場合は翌日) ・年末年始(12月29日~1月3日) ・展示換え期間中(詳細は公式サイトのトップページを参照) |
併設飲食施設・売店 | なし |
公式サイト | https://tendocity-museum.jp/ |
公式SNS |
※最新の情報は、公式サイト等でご確認ください
※記事中の金額は、すべて税込表示です