掛川市ステンドグラス美術館で100年前の名作に出会う光と芸術のデート|静岡県
今回ご紹介するのは、静岡県掛川市にある「掛川市ステンドグラス美術館」を訪ね、ステンドグラス作品(窓)を鑑賞し、光とガラスが織りなす美しい空間を堪能するデートプランです。
掛川市ステンドグラス美術館では、英国やフランスの工房で100年以上前に制作された、貴重なステンドグラス作品を80点ほど展示しています。英国の教会や、貴族の邸宅に実際に設置されていた、本物のアンティークを移設したものなんですよ。
クラシカルな西洋美術が好きなカップルや、綺麗な空間演出に関心が高い二人ならば、きっとお気に入りのスポットになると思います。
今回は、そんな掛川市ステンドグラス美術館の展示内容や見どころ、デートでの楽しみ方などについて、掛川市文化財団で広報をご担当されている宇野さんにお話を伺いました。
掛川市ステンドグラス美術館が誇る圧巻のアンティーク作品展示
▲「掛川市ステンドグラス美術館」の正面外観。英国や北米東部の郊外で見かける教会のよう
掛川市ステンドグラス美術館では、19世紀の英国の専門工房で、当時の最高水準の技法で制作された作品を中心に鑑賞できます。英国国教会(Anglican Church)にルーツを持つステンドグラスも多く、格調の高い美しさは圧倒的です。
ここからは、そんな掛川市ステンドグラス美術館について、具体的に見ていきましょう。
息を呑む美しさ!19世紀英国製アンティークステンドグラスの常設展
▲館内の様子。希少なアンティークのステンドグラス作品(窓)が目線の高さで展示される
編集部
こちら掛川市ステンドグラス美術館には、初めて伺いましたが、掛川城のすぐ近くで、デートで訪れるのに向いたエリアだと感じています。
最初に、ロケーションやメインの展示内容について、おもなところをお話しください。また、展示作品の魅力についてもご紹介いただけると嬉しいです。
宇野さん
私ども掛川市ステンドグラス美術館は、国内初の公立のステンドグラス美術館です。ロケーションとしては、掛川歴史文化ゾーンの一角であり、掛川城(2023年1月まで天守閣改修工事中)や、掛川御殿、大日本報徳社など、地元の歴史・文化を体感できる立地となっています。
当館で常設展示しているコレクションは、19世紀の英国ヴィクトリア朝時代の作品が70点ほどと、フランス・トゥール製のバラ窓(※1)が10点ほどです。英国を代表するステンドグラス工房で、最盛期に制作されたものが多く、技術的・装飾的にも高いレベルにある貴重な作品となります。
(※1)特にゴシック建築において、ステンドグラスで作られた円形の窓を指す。
▲展示中のステンドグラス作品「祝福の天使」。19世紀に英国のチャールズ・イーマー・ケンプ工房で制作されたもの
▲フランス生まれのバラ窓。西日が差す時間帯は、とりわけ美しい
本来は、キリスト教会の窓装飾として用いられ、高い場所に設置されてきたステンドグラスですが、当館では実作品を視線の高さで、間近に鑑賞いただくことが可能です。光を通して眺める本物のステンドグラスの美しさを、ぜひご堪能いただきたいと思います。
館長おすすめ!「聖母子(エッサイの樹)」の魅力を解説
編集部
館内のコレクションで、宇野さんがお気に入りのステンドグラス作品がありましたら、教えていただけますか?
宇野さん
私の一番のお気に入りは、当館に入ってすぐにある「聖母子(エッサイの樹)(※2)」でしょうか。幼子イエスを抱き、反対の手には、純潔を象徴する白いユリの花を携えた聖母マリアさまを描いた作品です。
(※2)ステンドグラスや司祭の服に描かれており、イエス・キリストの家族の歴史(家系図)を表わすものとされる。
▲宇野さんのお気に入り作品「聖母子(エッサイの樹)」。19世紀に英国のエー・ジェー・ディックス工房で制作された佳作
100年以上前に、英国の名門ステンドグラス工房で制作されたもので、真っ直ぐな瞳の聖母マリアさまが何とも魅力的に映ります。
西日に輝くバラ窓の美しさとボランティアガイドの活用法
▲バラ窓が見える裏手外観(昼間)。西日が差す時間帯は、館内からひときわ美しく鑑賞できるそう
編集部
ステンドグラス作品の館内でのおすすめ鑑賞方法などがあれば、ぜひ教えてください。
宇野さん
当館には、ボランティアガイドがおります。常時必ず控えているわけではないのですが、運良く出会えたら、ぜひお話を聞いてみてください。
ステンドグラスについての、興味深いお話を聞くことができますよ。ステンドグラスを間近で眺めながらだと、聞くお話もストンと腑に落ちるでしょう。
ちなみに、建物西側に設置されているバラ窓は、午後の西日が当たる時間帯にご覧になるのが、一番のおすすめとなります。外からの日差しがある程度強い方が、綺麗に映えるステンドグラス作品なんですよ。
写真撮影OKで思い出づくり!掛川市ステンドグラス美術館の魅力を満喫
▲館内で展示中のステンドグラス作品「バンドロールを持つ天使」。19世紀に英国のヒートン・バトラー&バイン工房で制作されたもの
編集部
宇野さんが思われる、掛川市ステンドグラス美術館の最大の魅力・見どころは、どちらになるでしょうか?
宇野さん
先程も少し話題にしましたが、一般的にキリスト教会のステンドグラスは、かなり高い位置に設置されていて、日常なかなか近くで見ることができません。
一方、私ども掛川市ステンドグラス美術館では、一般的な目線の高さに作品を展示しておりますから、細部の精緻な部分も鑑賞可能です。これは、大きな魅力ではないでしょうか。
また、これも魅力のひとつだと思うのですが、当館は美術館としては珍しく、館内での写真撮影が可能です。さすがにフラッシュ使用は不可ながら、希少な施設ではないかと思います。
光がステンドグラスの描画を透けて輝く時、館内全体がとても美しい空間になるんですよ。インスタ映えするスポットも多数ありますので、お二人でとっておきの一枚を狙ってみてくださいね。
▲館内で展示されるステンドグラス作品「聖女マグダラのマリア」。19世紀に英国のジェームズ・パウエル&サンズ工房で制作された
編集部
ほかの類似施設と差別化できるポイントや、ちょっと自慢したい部分などがありましたら、ぜひ教えてください。
宇野さん
不定期なのですが、館内で「ミュージアムミニコンサート」を開催しています。好評ですので、ぜひデートがてら遊びに来てください。入館料のみのご負担で、コンサートも楽しめますよ。
ご興味があれば、公式サイトの「イベント情報」ページを時折チェックしてみてくださいね。
編集部
展示内容以外でも、掛川市ステンドグラス美術館の見どころがあれば、お話しください。
宇野さん
閉館して外も暗くなった後、館内から作品をライトアップしています。そうしますと、外からステンドグラスを綺麗に見ることが可能になるんです。閉館後の夜間にも、当館の周囲をお散歩して、ステンドグラス作品の美しさを堪能できますよ。
▲裏手外観(夜間)。館内からのライトアップで浮かび上がるバラ窓のステンドグラス(フランス製)が美しい
編集部
掛川市ステンドグラス美術館では、来館のタイミングによって、違った楽しみ方はあるのでしょうか?
宇野さん
ステンドグラスは、光あってこその芸術作品です。来館される際の季節や時間帯、天候によって、受ける印象が大きく変わります。毎回違った雰囲気を味わえることも、大きな楽しみになるでしょう。
曇りの日には、柔らかな光がステンドグラスを透過しますが、これは作品が元々飾られていた英国の日差しに近いと言われています。館内がしっとりとした雰囲気の空間になるので、曇りの日に来館され、作品を鑑賞されるのがおすすめですよ。
一方、晴れの日には、強い日差しが透過することによって、ステンドグラスの色が生き生きとし、ヴィヴィッドな感じになります。これはこれで、曇りの日とは違った魅力を楽しんでいただけるでしょう。
ただ、日差しが強すぎる場合は、ガラスが想像以上に熱くなりますので、注意が必要です。
カップルにおすすめ!掛川市ステンドグラス美術館の多彩な楽しみ方
▲館内に展示されるステンドグラス作品「最後の晩餐」。19世紀後半に英国で制作されたものだが、制作工房は不詳
ここまで、掛川市ステンドグラス美術館の展示内容や見どころなど、観光で訪れた際の魅力を中心にお聞きしてきました。ここからは、デートの一環で立ち寄った場合に特化して、お話を伺います。
カップルにぴったり!ステンドグラス絵付け体験とナイトミュージアム
編集部
掛川市ステンドグラス美術館では、デート中のカップルが楽しめるようなワークショップ・イベントなどの開催はありますか?
宇野さん
ワークショップとしましては、「ステンドグラスちょこっと絵付け体験」がありますよ。フランス製のアンティークガラスに、古典技法で絵付けをする体験講座が人気です。かなり貴重な機会だと思いますので、デートで来館された思い出作りにされてはいかがでしょうか。
しかも、参加費無料となっています(入館料別途・作品を持ち帰る場合は材料費+郵送料の負担あり)。どなたでも気軽にご参加いただけて、申込は先着順ですよ。
次期開催のスケジュールや詳細は決まり次第、公式サイトの「イベント情報」ページで告知しておりまして、時々チェックしていただければと思います。
さらに、イベントとしては、「ナイトミュージアム」の実施も決定しています。光の芸術であるステンドグラス作品をライトアップして、夜間に館内から楽しんでいただくイベントです。近隣でのディナーデートと組み合わせて来館いただくのも、素敵だと思いますよ。
直近の開催スケジュールは、11月19日(土)と12月3日(日)の2日間です。それぞれの日の開館時間を20:30まで延長しまして、雨天決行となります。通常の入館料のご負担のみで大丈夫です。
(※インタビュー時点のイベントのため、最新情報は公式サイトをご確認ください)
中庭カフェでゆったり!オリジナル掛川珈琲を楽しむひととき
編集部
掛川市ステンドグラス美術館の館内には、カップルで一休みできるカフェなどはありますでしょうか?
宇野さん
屋外になりますが、中庭に「カフェエリア」を開設しています(カフェエリアのみの利用は不可)。当館オリジナルの「掛川珈琲(1袋180円)」を味わいながら、くつろいでお過ごしください。
▲中庭の「カフェエリア」。気持ちの良いスペースで、のんびりと掛川珈琲を味わいたい
コーヒーは、ご自身でドリップいただく方式ですので、ぜひ彼氏が彼女の分も美味しく淹れて、サーブしてあげてくださいね。隣席との距離も離れていますから、お二人でリラックスしてコーヒータイムを楽しめると思いますよ。
プロ作家の作品も!ミュージアムショップでステンドグラス雑貨をゲット
編集部
館内にミュージアムショップがあるそうですが、人気のお土産などをご紹介ください。
宇野さん
ミュージアムショップは、見学順路の最後にございます。お土産としましては、気軽に購入いただける綺麗なステンドグラス風のしおり(ブックマーカー)が人気ですよ。
▲ミュージアムショップで入手できるステンドグラス風のしおり。見映えがして、お手軽なお土産として人気!
また、プロのステンドグラス作家の手による、本格的な作品も取り扱っておりますよ。オリジナルの一点物になりますので、これまた根強い人気ですね。
掛川市ステンドグラス美術館周辺の歴史ある建築物でデートを充実
編集部
掛川市ステンドグラス美術館を見学する前後に立ち寄れる、おすすめのデートスポットが近隣にありましたら、ぜひ教えてください。
宇野さん
当館の北隣には、「竹の丸」があります。江戸期以来の葛布(くずふ)(※3)問屋「松屋」を営んでいた松本家が、明治期に本宅として建てた近代和風建築(市指定文化財)を活用した施設です。
(※3)葛の繊維を紡いだ糸から製造される織物。江戸期には芭蕉布や晒布と並び、掛川の名産であった。
室内を見学されると、建具や欄間(らんま)、取っ手などの小物に至るまで、見事な素材や意匠に感心すると思いますよ。喫茶ルームでは、掛川茶を用いたスイーツや、美味しいランチセットをゆったりと召し上がってはいかがでしょうか。
そして、お時間があれば、すぐお隣の「大日本報徳社」も見学されるといいでしょう。木造2階建ての何とも素敵な和風講堂で、国内最古の公会堂建築の一つと言われます。国指定の重要文化財にもなっていまして、明治期の日本の雰囲気を濃厚に感じ取れる貴重なスポットなんですよ。
掛川市ステンドグラス美術館からカップルへのメッセージ
▲フランス製のバラ窓の一部(受胎告知の場面)。フランス・ロワール地方の中心地・トゥールに19世紀後半に存在したロバン工房の作品
編集部
これから掛川市ステンドグラス美術館を訪れるカップルへのメッセージや、今回のインタビュー取材で伝えきれなかった想いなどがありましたら、ぜひお話しください。
宇野さん
お二人で、ステンドグラスと光が織りなす素敵な空間を体感してみてください。とてもロマンチックですよ。非日常の光景が広がる館内を満喫いただけると思います。
中庭の「カフェエリア」では、当館オリジナルのドリップ珈琲も楽しめますので、ぜひゆっくりしていってくださいね。
編集部
ミッションスクール出身ですが、聖書やキリスト教に関する前提知識を持っていると、ステンドグラスの作品を深く味わえることを実感しました。建物の外観が子供の頃に通ったチャペルのようで、ちょっと懐かしい思いです。
ステンドグラスは、大半の日本人にとっては、そこまで馴染み深いアートではないかもしれませんが、光とガラスが織りなす作品として純粋に楽しむと、カップルで得も言われぬ美しさを満喫できますね。
宇野さん、本日はお忙しい合間にお時間を割いていただき、大変ありがとうございました。
来館者の声:掛川市ステンドグラス美術館の口コミ・感想
掛川市ステンドグラス美術館でのデートの参考になるよう、見学した皆さんからよく耳にする口コミ・感想をまとめてみました。
- ステンドグラスを目の高さで、間近に見られて感動しました。
- 写真撮影OKなのが嬉しい。夕方の日差しが傾く時間帯に訪れると、ひときわ美しい光景を堪能できる。
- 比較的コンパクトな施設ですが、美しい空間に感動し、癒やされます。
- 100年以上前のアンティーク作品が揃い、最高レベルの技術で制作されたステンドグラスだと分かる。
全般に高い評価を受けている美術館です。とりわけ審美眼がある女性や、西洋美術に関心が高い女性からは、絶賛されている印象を受けました。足を運んだ皆さんは、満足して帰られる様子が伝わってきます。
デートの一環でカップルが見学したとしても、非日常の美しい空間を満喫できて、思い出に残るひと時を過ごせると感じました。
掛川市ステンドグラス美術館の料金情報と空いている時間帯
入館料 | (一般)一人500円 ※中学生以下は無料 ※キッズアートプロジェクトしずおかパスポート利用可 |
---|---|
割引 | ・身体障がい者手帳か療育手帳、精神障がい者福祉手帳を所持するご本人、および付添者1名は、入館料を100%割引(無料) ・入館時に「しずおか子育て優待カード」をすると、入館料を20%割引 |
混雑しない日時 | 平日であれば、比較的どの時間帯も空いている ※公式サイト・トップページに、「本日の混雑予報」を掲載中 |
※金額はすべて税込表示です。
掛川市ステンドグラス美術館へのアクセスと営業時間
住所 | 〒436-0079 静岡県掛川市掛川1140-1 |
---|---|
連絡先 | (電話)0537-29-5680 (Web)公式サイト「お問い合わせ」ページ |
アクセス | 【車】 (東名高速道路)掛川ICから約10分 【公共交通機関】 (JR東海道新幹線・JR東海道本線・天竜浜名湖鉄道線)掛川駅で下車・北口から徒歩約11分 ※掛川駅からバス利用の場合は、6番バス乗り場から掛川バス居尻線または倉真線を利用し、北門バス停下車で徒歩約1分 ※掛川駅からタクシー利用の場合は、乗車約5分 |
駐車場 | 掛川城公園駐車場を利用 ※掛川市ステンドグラス美術館の西隣り・有料 |
開館時間 | 9:00~17:00 ※最終入館時刻は16:30 |
休館日 | ・年末年始(12月30日~1月1日) ・施設メンテナンス日 ※休館日は、公式サイト・トップページから確認可 |
公式サイト | https://k-kousya.or.jp/stainedglass/ |
※最新の情報は公式サイト等でご確認をお願いいたします。
※記事中の金額はすべて税込表示です。