北海道広尾町移住ガイド:豊かな自然と充実の支援制度で始める新生活
この記事では、地方への移住を検討している方のために、北海道広尾町(ひろおちょう)の魅力を紹介していきます。
広尾町は、北海道・十勝の南部に位置する人口約6,000人の町です。海・山・川の雄大な自然に囲まれ、日本で唯一の「サンタランド」がある町としても知られています。漁業や酪農が盛んであり、新鮮で美味しい地場の食材が手に入るのも魅力の1つです。
そんな広尾町での暮らしの特徴やその魅力について、地域おこし協力隊の方に伺ったお話とあわせて、詳しく解説していきます。
広尾町の暮らしを彩る4つの魅力
広尾町は酪農や漁業、林業などの一次産業が盛んです。野菜、魚、肉と地場の食材が手に入りやすく、食べることが好きな方にもおすすめの町です。
子育てや教育支援にも力を入れているため、自然がある中で子育てをしつつ、教育には力を入れたい方にもぴったりの町と言えます。
そんな広尾町は以下のような特徴があります。
それではここから、広尾町の魅力や特色について更に掘り下げていきたいと思います。
新鮮な食材の宝庫:生産者との距離が近い広尾町の食文化
▲広尾町の名物である「拾い昆布」。海底から抜けて浜に打ち上げられた昆布を、目利きの漁師たちが拾い上げる
広尾町は酪農と漁業が盛んな町です。町内には70近くの酪農家が存在しているほか、肉牛に加え、小麦、じゃがいも、ビート、豆類などが生産されています。
また、町の東側が海に面しており、親潮と黒潮が混ざり合う恵まれた条件から、十勝港と音調津漁港(おしらべつぎょこう)では新鮮な魚介類が水揚げされ、秋サケやシシャモ、コンブなどの北海道を代表する海の幸の恵を受けることができます。
特にししゃもは漁獲量日本一を誇り、地元の水産加工業者によってつくられる「生干しししゃも」は、酒の肴として人気が高い逸品です。
公式:広尾町(漁業の概要)
地元の食材を使うことにこだわる飲食店も多く、焼き魚やお刺身など、新鮮な食材を使った美味しい食事を、都会では考えられないほどのリーズナブルな価格で提供しています。
また、野菜や魚介類のおすそ分けに、物々交換も自然に行われる環境があることから、移住者からは「食費が下がった」という声も聞こえてきました。
▲広尾町では生産者を巡るツアーなども開催している
生産者との距離が近く、交流することも可能であることは、都会ではなかなか考えられないユニークな環境と言えます。
生産者の中にはオーガニックやサステナブルな農業への取り組みについて発信している方もいて、遠く離れた地域から話を聞きに来る人もいます。
自然の恵み豊かな環境:山・川・海に囲まれた広尾町の魅力
▲エゾヤマツツジに囲まれたサンタの家
広尾町の西側には日高山脈の山並みがそびえ立ち、その山系に水源をもつ6本の川が東側の雄大な太平洋に流れ込む、まさに山・川・海が全部そろった町です。
広尾町と言えば、「広尾サンタランド」を思い浮かべる人もいるかもしれません。広尾サンタランドは、サンタの故郷であるノルウェーのオスロ市が認めた日本で唯一のサンタランドで、1年中クリスマスのような雰囲気があります。
そのサンタランドがある「大丸山森林公園」は、園内にサンタの家などがあるほか、5月から6月にかけては約12,000本のエゾヤマツツジが咲き誇る人気のスポットです。
公式:広尾町(大丸山森林公園)
また、町内の約78%が森林で占められた緑豊かな地域であることから、野生生物と出会えることも多く、エゾシカやウサギに加え、フクロウやリスを見かけることもあります。まるで絵本の世界のような環境に、慣れないうちはびっくりするかもしれません。
まさに自然と隣り合わせにあり、アウトドアが好きな方や、自然の中で生活したり、働いたりしたい人にぴったりの町です。
釣りを楽しんだり、山登りをしてみたり、木工ができる施設もあったりするので、自然を相手にしてやりたいことが叶う環境にありますよ。
子育て世帯に優しい町:充実した支援制度で安心
▲親子が交流する場として町民から人気の高い「子育て支援センター」
広尾町では新婚や子育て世帯への支援制度がいくつか整備されています。
制度名 | 概要 |
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広尾町結婚新生活支援事業 | 夫婦の双方または一方の住民票が広尾町内にある新規の新婚世帯に、新生活にかかわる経費の支援金として、最大30万円を支給(夫婦ともに29歳未満の場合は最大60万円) ※2022年~2024年の3年間限定 |
出産祝い金 | 子どもが生まれた家庭に出産祝い金を支給 ・第1子~第2子:50,000円 ・第3子以降:100,000円 |
乳幼児医療費の助成 | 0歳~高校生(満18歳に達する日以後の最初の3月31日まで)を対象に、保険診療分の自己負担分を助成 |
結婚時、出産時、またその後の育児期間の医療費のサポートなど、子育て世帯が暮らしやすいような体制を整えています。
また、広尾町には親子が交流できる場として「子育て支援センター」があります。
▲子育て支援センターのスタッフの皆さん。子育ての悩みから一時保育まで、子育て世帯を全力でサポートしています
子育て世帯同士の情報交換や、センターのスタッフへの育児相談、一時保育なども利用できるので、子育てに困った際にも頼れる施設です。
施設も新しいですし、子育て世帯の親御さんからはスタッフが優しく雰囲気が良いので行きやすいという声も聞いています。
コミュニティの新拠点:廃校を活用した「集いの杜プロジェクト」
▲お洒落で落ち着いた内装ながら、元小学校であるどこか懐かしい雰囲気の「集いの杜」
広尾町では、廃校となっていた小学校を改修し、人々が集う場所を生み出す「集いの杜プロジェクト」に取り組んでいます。
無料で開放されているカフェやキッチンスペース、コワーキングスペースには、薪ストーブやペレットストーブが置かれているため冬でも暖かいことや、イベントやワークショップを開催することで、町民が集まりやすい場を提供しています。
▲「集いの杜」のイベントでサツマイモ掘りをした時の写真
▲ボードゲームも充実しているので、遊びの場としても賑わいを見せる
▲手作りのピザ窯もあり、ピザ焼き体験などもできてしまう充実っぷり
「集いの杜」では町民の意向にも沿いながら、集える場所として整備を続けていくようです。広尾町の新たな拠点として目を離せない場所となりそうですね。
広尾町での暮らしを知る:基本情報と生活環境
▲広尾サンタランドのイルミネーション
ここからは広尾町での生活に関する基本情報を、データとともに紹介します。
気候 | ・夏(8月):平均気温18.6℃ ・冬(1月):平均気温-4.2℃ ※参考:気象庁ホームページ |
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人口 | 約6,000人(約3,100世帯) ※2024年1月末時点 |
病院 | 町内にはクリニックも含め6件の医療機関がある ※2024年1月時点 |
学校 | 認定こども園1園、保育所1園、小学校2校、中学校1校、高校1校 ※2024年1月時点 |
交通 | 【港湾】 ・十勝港 【バス】 ・十勝バス:広尾~帯広間 ・ジェイ・アール北海道バス:広尾~様似間 ・高速ひろおサンタ号:広尾~札幌間(※2024年1月現在、運休中) |
隣接自治体 | 広尾郡大樹町、浦河郡浦河町、様似郡様似町、幌泉郡えりも町 |
大都市からのアクセス | 【東京から】 ・羽田空港から帯広空港へは、飛行機で約1時間35分 ・帯広空港からは、連絡バスで帯広市内まで約40分。帯広市内から広尾町まで十勝バスで約2時間40分。または、レンタカーで帯広空港から広尾町まで、約1時間 【帯広から】 ・十勝バスで、約2時間40分 ・車で、約1時間30分 【札幌から】 ・JR北海道バスで、約4時間25分 ・車で、約4時間 |
広尾町は夏は涼しく、冬は降雪量が多いものの、十勝地方の中ではもっとも穏やかな海洋性気候の影響を受けた温暖な気候の地域です。
広尾町内に大きな商業施設はありませんが、スーパーマーケットやドラッグストア、ホームセンターなどがあるので、生活に必要な物を揃えるのに不便なことはありません。
公共交通機関としてバスも運行していますが、本数は限られているため移動には車があった方が良いでしょう。
広尾町での仕事探し:多様な選択肢と支援制度
大手求人サイトで「広尾町×正社員」で検索したところ、約80件の求人情報が見つかりました。車で30分以内の通勤圏内(町内から25km以内)で検索したところ、求人情報は約400件まで広がりました。※2024年1月時点
※参考:求人情報の一例(広尾町のみ)
※参考:求人情報の一例(広尾町から25km以内)
もし起業を考えているならば、「広尾町起業家等支援事業補助金」の活用を検討してみて下さい。空き店舗の活用をする場合は最大100万円、新製品等の開発には最大30万円の補助金が支給される可能性があります。
地域おこし協力隊:広尾町で新たなキャリアにチャレンジ
広尾町では地域おこし協力隊を募集しています。「廃校舎を利用した施設の推進」「空き家対策」「体験型観光プログラムの開発」「商工の振興」などさまざまな分野で募集しているので、自分のやりたいことに合わせて応募ができます。
これまでの地域おこし協力隊活動の一つとして、町内の高校生と協力し、地場の食材を使ったご当地グルメを開発したこともあります。
参考:十勝毎日新聞(タコ焼きならぬ“ツブ焼き”考案、その名も「サンタのつぶやき」 広尾高)
地域おこし協力隊になると最大3年間の活動期間があるので、その間に広尾町について知り、町の人と交流を深めたり、人脈を作ったりして、卒業後や実現したい夢についてじっくりと考えるのも良いでしょう。
地域おこし協力隊は、活動を通じて地域に深くかかわれるという魅力があります。広尾町を盛り上げながら、自分自身のノウハウも蓄積できるので、すごくおすすめですね。
新規就農サポート:JAひろおによる手厚い支援体制
広尾町は酪農を中心とした農業が盛んな地域です。「JAひろお」では、新規就農者の支援も行っているため、農業を始めたいと思ったらまずは相談してみるのが良いでしょう。
未経験者が就農する場合の実習先探しや、就農ができそうな場所の選定、経営計画の策定などもサポートしてくれます。実際に相談に行った方からは、「対応が早く、いろんな提案を一緒に考えてくれた」といった声も上がっています。
広尾町の住居事情:賃貸物件と支援制度
大手住宅情報サイトで広尾町の物件を探したところ、賃貸が可能なアパート・マンションは約100件見つかりました。1LDK~2LDKの広さの物件が多く、家賃平均は5~6万円ほどです。 ※2024年1月時点
参考:物件情報の一例
ネットの情報サイトで理想の物件が見つからない場合は、思い切って役場に相談してみるのも手です。現地の人に頼ることで、地元の不動産業者を紹介してもらえたり、近所の人から情報が入ってきて、人づてで物件を見つけられたりする可能性などがぐっと高まります。
広尾町にも空き家バンク制度はありますが、登録数が多くはないのが現状です。問い合わせがあった時に、提案できる体制も整えていく予定ですので、まずは気軽にご相談下さい。
住宅の新築を考えるなら、「広尾町住宅新築・リフォーム等支援事業奨励金」を活用しましょう。新築・建売購入の場合は奨励金として最大50万円の商品券が支給される可能性があります。商品券は町内の商店などで使えるので、地域への貢献もできる制度と言えます。
子どもの遊び場:自然豊かな公園とコミュニティの中での遊び
広尾町内にはいくつかの公園があり、元気に走り回って遊ぶ子どもたちの姿がよく見られるそうです。誰かの家に集まってゲームをすることもあり、親を含めた横の繋がりも深いようですね。
広尾町の教育環境:少人数制と中高一貫教育の特徴
学校も少人数制であることから先生と家庭の距離も近く、コミュニケーションも取りやすいという強みがあります。学校によっては、ブログやホームページで子どもたちの様子を頻繁に発信していることも、学校と家庭の距離を近づける一助となっているようです。
広尾町には中学校と高校が1校ずつあることから、「中高一貫教育制度」が取られています。中学~高校までの6年間を一貫として子どもたちの教育を行うことで、確かな学力や自己実現性などを高め、思春期の子どもの成長をサポートしています。
また、広尾高校では、「広尾高校サポートプラン13」として、学生に対してサポートを行っています。ここではそのうちいくつかをご紹介します。
- 資格検定料の補助:進学・就職に有益な資格の取得に対し、検定料を補助
- 新入学者への助成:広尾高校に入学した全員に対し、一人あたり5万円を支給
- 大手予備校講習費等補助:予備校等の受講費用を全額補助
- 通学費補助:片道4km以上で路線バスや自家用車を利用する場合、通学費を補助
- カナダ国際交流費補助:希望者を自己負担5万円でカナダに派遣
広尾町が教育に対しても力を入れていることがよくわかります。
移住者が語る広尾町での暮らし:リアルな声と感想
実際に広尾町で暮らし始めた移住者の皆さんは、その暮らしをどのように感じているのでしょうか。ここではそんな先輩移住者たちのリアルな声を紹介します。
- 広尾町での暮らしはコンパクトで住みやすい。何より海が見えるのがいいなと思う
- 都市部に住んでいた頃と比べると、高いと感じるのはガソリン代と冬の灯油代くらい。食費はぐっと安くなった
- 静かに暮らせる町。公共機関が少ないので車がないと不便だけど、海まで歩いて行けるので気軽に釣りができる点は嬉しい
都会に比べて生活費が下がる暮らしができ、のんびりとした環境の中での生活を楽しんでいるようです。
広尾町への移住を実現するステップ
▲毎年9月に行われる十勝神社の例大祭では、町民が一丸となって神輿をかつぐ。移住体験も季節ごとのイベント等を調べて行ってみるのが良い
広尾町の移住を考え始めたら、広尾町に短期滞在できる「広尾町移住体験住宅」や、仕事をしながら広尾町の暮らしを体感できる「広尾町ふるさとワーキングホリデー」を活用してみましょう。
広尾町移住体験住宅:最大2ヶ月の滞在で暮らしを体感
広尾町での暮らしを体験したいと思ったら、「広尾町移住体験住宅」に滞在するのが良いでしょう。町内には2軒の移住体験住宅があり、最短1週間から最大2ヶ月まで利用することができます。
両移住体験住宅ともに、冷蔵庫や炊飯器、掃除機などの生活に必要なものも揃っているので、暮らすように滞在が可能です。インターネットも使えるので、リモートワークなどで二拠点居住を考えている場合にも良さそうです。
「小学校を見てみたい」「買い物できる場所が知りたい」など、希望に応じて滞在中に町中を案内することもできます。気軽にご相談くださいね。
広尾町ふるさとワーキングホリデー:仕事体験で暮らしを知る
▲就労先によっては、漁師直伝で魚の捌き方を教えてもらえることも
働きながら広尾町の暮らしを体験したい人には「広尾町ふるさとワーキングホリデー」がおすすめです。2~3週間の限定された期間の中で、広尾町の基幹産業である、漁業・農業・林業に関連した仕事や、カフェや広尾サンタランドなどの観光に関する仕事をすることができます。
仕事に従事しながら、広尾町の自然や町の雰囲気を知ることができるので、ぜひ活用してみて下さい。
※2023年度分の募集は終了しています
広尾町の移住に関する相談窓口
広尾町に興味を持った方は、まずは企画課に問い合わせてみてくださいね。移住について親身に相談に乗ってくれますよ。
担当 | 広尾町役場 企画課 企画防災係 |
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住所 | 〒089-2692 北海道広尾郡広尾町西4条7丁目1 |
電話 | 01558-2-0184 |
公式サイト | https://www.town.hiroo.lg.jp/ |
移住サイト | https://www.town.hiroo.lg.jp/kurashi/ijuu/ |