【東京都北区】「紙の博物館」で学ぶ!世界でも珍しい紙の歴史と文化を楽しむデートプラン
東京都北区・王子駅の近くにある「紙の博物館」は、身近な紙について学べる博物館です。
渋沢栄一が国産洋紙を作ろうと考えて作ったのが、王子製紙の前身である抄紙会社です。紙の博物館は、その抄紙会社があった王子に建てられました。
身近すぎて当たり前のように使っていた紙がどのように作られ、どのように日本の発展に貢献してきたかが学べますよ。
紙の博物館は、飛鳥山公園の中にあります。飛鳥山公園は徳川吉宗が作った江戸時代から続く伝統ある公園なので、ぜひ歴史を感じながらゆっくりと歩いてくださいね。
今回は、紙の博物館で身近な紙について深く学び、飛鳥山公園をゆっくり散策するデートプランをご紹介します。
おすすめカップル:博物館が好きなカップル、公園散策が好きなカップル
どんなデート?:紙について学ぶ、公園を散策する、イタリアンを味わう、展望ロビーから景色を眺める
目安時間:半日
目安予算:2人で3,000円
概要:紙の歴史と文化を学び、王子エリアの魅力を楽しむデートプラン
今回は、東京都北区にある「紙の博物館」を中心に、飛鳥山公園の自然に触れるデートプランです。駅の周辺で過ごすデートなので、車がないカップルや10代のカップルでも回れますよ。
11:30~12:30 | ゴリノスでイタリアンランチ |
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12:45~14:00 | 紙の博物館を見学 |
14:00~15:30 | 飛鳥山公園を散策 |
15:45~16:15 | 北とぴあの展望ロビーから飛鳥山公園や関東平野を見下ろす |
※空白の時間は移動時間です
デートのはじめは、老舗イタリアンのゴリノスでランチをいただきます。王子駅から歩いて10分もかかりません。メニューは豊富で、ランチはとてもリーズナブルなのにボリューム満点なので、お腹いっぱいいただきましょう!
お腹がいっぱいになったら飛鳥山公園へ向かい、今回のメイン施設である紙の博物館を見学します。知っているようで知らなかった、紙の奥深さを学んでくださいね。
紙の博物館の見学が終わったら、周辺の飛鳥山公園を散策します。桜の名所として有名な場所ですが、ツツジ・あじさい・紅葉など、季節によって様々な景色が見られる公園です。ゆっくりのんびりと歩いてください。
デートの最後には、飛鳥山公園から北とぴあへ移動します。北とぴあの17階には展望ロビーがあり、晴れていると富士山まで見渡せるとても眺めのいい場所です。デートで歩いた飛鳥山公園を見下ろしたり、自分の住んでいる地域を探してみたり、関東平野をじっくりと見渡してみましょう。
それでは、今回のメイン施設「紙の博物館」をご紹介します。
世界でも珍しい「紙の博物館」で学ぶ紙の魅力と歴史
今回ご紹介する紙の博物館は、紙の製造方法はもちろん、紙の歴史や意外な用途まで紹介している博物館です。
紙を専門に扱う博物館は世界でも珍しいそうなのですが、生活に欠かせない紙について紹介されているので、展示内容は自然と頭に入ってくると思います。
紙の博物館がある王子は、王子製紙創業の地でもあり、かつては紙の生産地でした。王子製紙の創業に携わり、王子で生活していたのは、新一万札や大河ドラマで話題になっている渋沢栄一です。
紙の博物館では渋沢栄一の紹介もあるので、紙を通して渋沢栄一がいかに日本の発展を支えていたのかも見ていきましょう。大河ドラマを見ていなくても、もちろん理解できますよ!
今回は、紙の博物館で学芸員をされている平野さんに、博物館の魅力についてお話しを伺いました。
紙の博物館:過去から未来まで、紙の全てを学べる総合博物館
編集部
紙の博物館は、和紙と洋紙の違い、紙作りに使われる道具など、知っていそうで知らない展示が多くあると感じました。こちらの博物館の特徴について教えてください。
平野さん
紙の博物館は、日々の生活になくてはならない「紙」をテーマにした博物館で、『紙の歴史をたどり、現在を知り、未来を考える』を理念に掲げています。
日本の伝統的な和紙、近代日本の発展を支えた洋紙の両面から、紙の歴史・文化・産業を中心に展示しているんですよ。
紙という素材の特性・汎用性・奥深さ・可能性などを知り、改めて紙を見直し、興味を持っていただければと思っています。
編集部
博物館といえば過去を学ぶ展示が多いですが、未来を考えることにも注力されているんですね。紙に関する博物館はあまり聞いたことがないように思いますが、やはり珍しいですか?
平野さん
和紙・洋紙を問わず、広く「紙」をテーマにした総合博物館は世界でも珍しい存在で、戦後間もない1950年に開館し、70年にもわたって親しまれています。
▲博物館4階は「和紙と文化」のテーマで展示されています
編集部
和紙は日本特有のものなので、和紙と洋紙のどちらも扱う博物館は特に貴重なんでしょうね。平野さんが博物館の中でも特に魅力的だと思うのは、どういったところでしょうか?
平野さん
紙は大変身近で、日常生活になくてはならない素材ですが、改めて考えてみると知らないことばかりだと思います。
そんな紙の秘密を知ると、紙に対する見方も変わってくるだけでなく、世界的な課題となっている「SDGs:持続可能な開発目標」に紙・紙製品が貢献できることも見えてきます。
日本で長い間はぐくまれ、文化を支えてきた和紙のすごさ・素晴らしさなども大きな見どころなので、見学者の興味・関心で、さまざまな楽しみ方をしていただきたいですね。
▲常設展「紙の教室」では、紙のリサイクルなどが小学生でもわかるように丁寧に説明されています
編集部
職場や学校など、カップルそれぞれが過ごす場所でも紙の使い方は変わると思うので、2人で来たらそれぞれの目線で発見がありそうですね。
お互いに感じたことを話し合いながら館内を回ると考えが深まりそうです。
多彩な展示:印刷物から製紙機械まで、紙の世界を体感
編集部
世界でも珍しいという紙の博物館ですが、展示されている主な展示物を教えていただけますか?
平野さん
主な展示物は以下の通りです。
百万塔・陀羅尼 | 制作年代が明確な世界最古の印刷物 |
各地の和紙作りの道具類 | すき桁・すき簀・叩き棒など |
東大寺修二会の白紙衣 | 千年以上続く法会で清浄衣として用いられる、紙製の衣 |
金唐革紙・版木ロール | 和紙で金唐革を模造した、擬革紙の一種。ヨーロッパへ盛んに輸出された |
聖徳太子御影 | 6畳敷ほどの大きさの手すきの1枚紙に描かれている |
ボロ蒸煮釜 | 明治初期の紙の原料であるボロからパルプをつくる装置 |
世界最初の抄紙機(模型) | 紙の大量生産を可能にした重要な発明品の1/2模型 |
ポケット・グラインダー | 紙の原料がボロから木材に代わって活躍した、パルプをつくる装置 |
段ボール製造機(復元) | 日本で初めて段ボールを製造した機械 |
銅版画「王子製紙会社略図」 | 明治8年に開業した「抄紙会社」(後の王子製紙王子工場)の工場内部や製紙工程をよく伝えるもの |
※現存する世界最古といわれる印刷物:百万塔・陀羅尼
※フランス人のルイ・ロベールが発明した世界で最初の抄紙機:世界最初の抄紙機(模型)
▲世界最初の抄紙機は、1/2サイズの模型が展示されています
編集部
印刷物などの紙製品、また紙の原料や紙を作る道具などさまざまなものがありますね。聖徳太子御影は約6畳の大きさで、1枚の手すき和紙となるとかなり気になります!そんなに大きな紙でも手すきができるんですね。
数ある展示品のなかで、平野さんが特に気に入っていらっしゃる展示品も教えていただけますか?
平野さん
常設展示室吹き抜け部分に展示された「世界最大級の洋紙」で、紙幅が9.33mもあります。製紙工場では、この幅の紙が時速100km以上の速さで作られていることを想像してみてください。
編集部
紙は需要が高いからこそ、大きな紙を驚くようなスピードで作る必要があるわけですね!勉強になります。
渋沢栄一と紙の関係:企画展で学ぶ日本の近代化と製紙産業
編集部
ここまで常設展についてお伺いしてきましたが、企画展もされていますか?
平野さん
過去に何度も行われた人気の展示には、金唐革紙展、創作折り紙展、木版画展などがあります。
2023年は王子製紙の前身である抄紙会社の設立150年を迎えますので、抄紙会社に関する企画展を行う予定です。※詳しくはこちらの公式サイトをチェック!
編集部
2023年で、渋沢栄一が心血を注いだ洋紙製造会社の誕生から150年を迎えるんですね。大河ドラマでも渋沢栄一が取り上げられて注目が集まっているので、今後紙の博物館にもたくさんの方が来てくださることと思います!
カップルで楽しめる!年齢不問の紙すき体験教室
編集部
展示のほかに、何か体験できることはありますか?
平野さん
紙すき教室があり、牛乳パックを再生した原料から手すきのオリジナルはがきが作れます。年齢問わず楽しめる体験イベントで、原則毎週土曜日と日曜日に開催しているので、ぜひご参加ください。
▲毎週土日に開催される紙すき教室は、幅広い年齢で体験可能です
編集部
年齢問わずにできるのであれば、カップルで体験しても面白そうですね。デートの記念になりそうです。他にも体験できることはありますか?
平野さん
夏休み期間に子どもを対象としたイベントや、企画展ごとに企画される関連イベントがあります。また、「かみはく友の会」向けのイベントなども実施しています。
過去の文化の日には、特別講座「日本近代製紙業の成立と発展」を開催しました。
▲図書室は博物館の1階にあり、紙に関する珍しい書籍がたくさんあります
編集部
かみはく友の会は年会員のことですね。友の会会員はショップ商品の割引特典や、何度でも入館料無料などの特典があるそうです。博物館が気に入った方は入会を検討されるといいかもしれませんね。
インスタ映えスポット:巨大「聖徳太子御影」と「ボロ蒸煮釜」で記念撮影
編集部
館内には、カップルで記念撮影できるようなスポットはありますか?
平野さん
エントランスの「聖徳太子御影」や「ボロ蒸煮釜」と一緒に撮影すれば、その大きさを実感できますよ。
▲聖徳太子御影は約6畳の大きさなのに、1枚の手すき和紙に描かれているなんて驚きですよね!
▲明治初期には、このようなボロ蒸煮釜を使ってパルプを作っていました
編集部
「聖徳太子御影」は、先ほど教えていただいた約6畳の手すきの一枚和紙ですね。ボロ蒸煮釜も初めて見る機械だったのですが、パッと見ただけでは紙を作る機械だとはわからないので、思い出として撮影して帰りたいと思いました!
他に、おすすめの館内スポットはありますか?
平野さん
小さいながらもミュージアムショップがあり、紙に関連するさまざまなグッズを取り揃えています。企画展などに併せて、その時期だけの特別な商品もあるので、ぜひ覗いてくださいね。
編集部
ミュージアムショップは、紙に関する書籍や和紙などの販売もあって「ありきたりではないお土産が買える」と評判のようですね。カップルでも覗いていただきたいと思います。
来館者の声:紙の博物館の魅力と学びの体験
編集部
紙の博物館の展示をご覧になったお客様からは、どのような感想をいただいていますか?
平野さん
「『紙って本当はそうだったんだ!』というような発見があって面白かった」といった感想をよく伺います。
紙の博物館を王子製紙(王子ホールディングス株式会社)の博物館と勘違いされている方が多くいらっしゃいますが、当館は製紙関連の会社を中心に、170社を超える多くの維持会員会社の協力で運営されている公益財団法人です。
編集部
確かに、「紙」と「王子」と聞くと王子製紙を連想してしまうので、勘違いされる方も多いと思いますが、来館されたら王子製紙の博物館ではないことがわかりますね。
カップルで来館されたらお互いに気づいた発見を話し合えるので、より紙についての理解が深まりそうだと思いました!
渋沢栄一と紙の発展:日本の近代化を支えた製紙産業の歴史
編集部でもお調べした紙の博物館の口コミをご紹介します。
- 当たり前のことながら、紙って木から作られているんだなと改めて学べました。いい博物館だと思います。
- 先進文明には紙が欠かせないと、渋沢栄一がこちらに製紙工場を作ったと知りました!大河ドラマや新一万円札で渋沢栄一が話題になっている今、ぜひ多くの人に見てほしいです。
- 紙の歴史や製造工程が詳しく学べました。紙の用途の広さに驚きました。
大河ドラマでも話題になっている渋沢栄一氏について新たな発見があったと感じる方が多いようです。渋沢栄一が「日本資本主義の父」と呼ばれて銀行などを作った人物だと知っていても、紙の発展にまで携わっていたと知ったら驚いてしまいますね。
また、渋沢栄一以外には、紙の製造方法や用途などが詳しく学べるのが魅力的だと感じられているようです。ぜひ実際に行って確かめてみましょう。
カップルへ:紙の博物館で新たな発見と思い出作りを
編集部
紙の博物館へ行ってみようと考えているカップルへ、メッセージをお願いします。
平野さん
紙は誰にとっても身近なものなので、見る方の視点で展示を楽しむことができると思います。現状ではカップルより家族連れが多いのですが、カップルでもぜひお越しください。
編集部
博物館となるとかしこまった感じがしますが、紙は身近な存在なので、自分自身がどう感じたか、カップルで話しながら見ていただきたいですね。
今日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。
アクセスと利用案内:紙の博物館の基本情報
住所 | 〒114-0002 東京都北区王子1-1-3 |
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電話番号 | 03-3916-2320 |
アクセス | 【電車】 ・JR京浜東北線「王子駅」南口下車徒歩5分 ・東京メトロ南北線「西ヶ原駅」下車徒歩7分 【都電】 ・東京さくらトラム(都電荒川線)「飛鳥山停留場」下車徒歩3分 【バス】 ・都バス「飛鳥山停留所」下車徒歩4分 ・北区コミュニティバス「飛鳥山公園停留所」下車徒歩3分 |
営業時間 | 10:00~17:00(最終入館16:30) |
休館日 | ・月曜日(祝日の場合は開館) ・祝日直後の平日 ・年末年始 ・臨時休館日 |
駐車場 | なし |
空いている時間帯 | 平日は比較的どの時間帯も落ち着いて観覧できます |
平均的な滞在時間 | 1時間~1時間半程度 |
入館料 | 大人:400円 小中高生:200円 ※予約は不要 |
公式サイト | https://papermuseum.jp/ja/ |
※最新の情報はホームページ等でご確認をお願いいたします。
※記事中の金額はすべて税込表示です
紙の博物館周辺で楽しむ!王子エリアのデートスポット3選
紙の博物館は飛鳥山公園の中にあるので、紙の博物館の見学の前後には飛鳥山公園も散策しましょう。また、王子駅から徒歩圏内にあるおすすめデートスポットもご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
おすすめのデートスポット
四季折々の景色を楽しむ:江戸時代からの名所「飛鳥山公園」
紙の博物館の平野さんより、博物館周辺のおすすめデートコースは、飛鳥山公園の散策だと教えていただきました。桜の名所ですが、あじさいが約1,300株植えられている飛鳥の小径や、ツツジ・紅葉も見られます。
植物以外にも、都電や機関車の展示があったり、自走式モノレールのアスカルゴに乗れたりもするので、見どころはたくさんあるんですよ!電車の展示もモノレールも無料なので、ぜひ利用しましょう。
また、公園内には紙の博物館以外にも「北区飛鳥山博物館」と「渋沢史料館」があります。
※東京都北区の自然・歴史・文化などを展示:北区飛鳥山博物館
※渋沢栄一の生涯に関する資料を展示:渋沢史料館
平野さんからのコメントさんからのコメント
博物館の立地する飛鳥山公園は、江戸時代以来の桜の名所です。春はソメイヨシノから八重桜まで、花見が楽しめます。
公式サイト:東京都北区飛鳥山公園
夜景も楽しめる!無料の「北とぴあ展望ロビー」で関東平野を一望
JR王子駅北口の近くにある北とぴあ(ほくとぴあ)の17階は、展望ロビーとして無料開放されていて、お天気のいいお昼間は富士山が見えることもあります。22時まで営業しているので、夜にデートされるのであれば、夜景もきれいに見えますよ。
紙の博物館のある飛鳥山公園を見下ろすこともできますし、新幹線や東京スカイツリーなども見えるので、当日のデートコースを振り返ったり、これからのデートで行きたいコースを見たりするのにおすすめです。
コスパ最高!多彩なメニューが魅力のイタリアン「ゴリノス」
飛鳥山公園から明治通りへ徒歩2分の場所にあるゴリノスでは、安くてボリューム満点のランチがいただけます。カレーやコロッケなどの洋食メニューも豊富です。
窓にはピザの文字がありますが、メニューにはラーメンや春巻きなども書かれているので、イタリアンや洋食以外のものも少し食べたいな…と思うカップルにもおすすめです。いろんなものをシェアして、お腹いっぱい食べてくださいね!
まとめ:紙の歴史と王子の魅力を再発見する、知的で癒やしのデート
紙の博物館では、紙の繊細さと偉大さの両方に気づくと思います。デジタル社会では紙の存在が少しずつ薄れてきていますが、まだまだ生活に欠かせないものなので、ぜひこの機会に理解を深めていただければと思います。
紙の博物館のある王子は、物流などの便もよく、水のきれいな場所なので、王子製紙の創業の地として選ばれたそうです。江戸時代から親しまれている飛鳥山公園は、四季折々の景色が眺められるだけでなく、展示やモノレールなども楽しめる場所なので、ゆっくりと見て回ってくださいね。