酒井酒造美術館・五橋文庫で和の雰囲気を満喫!山口県岩国市の美術鑑賞とはんこづくりデート
今回ご紹介するのは、山口県岩国市にある「酒井酒造美術館・五橋文庫」で美術品鑑賞や印鑑づくり体験を楽しむデートです。
「酒井酒造美術館・五橋文庫」は、明治4年創業の老舗酒蔵である「酒井酒造」の美術館です。書道関連の美術品や書画、陶磁器などが数多く展示されており、和の落ち着いた空間のなかでゆったりと芸術鑑賞を堪能できます。
また、事前予約をすれば、オリジナルのはんこづくりを体験できる「篆刻(てんこく)体験」を行うこともできますよ。デートの記念にぴったりなので、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
今回は「酒井酒造美術館・五橋文庫」の見どころやデートでの楽しみ方について、館長・学芸員・篆刻講師である大石さんに詳しくお話を伺いました。
美術品がずらり!酒井酒造美術館・五橋文庫の展示
酒井酒造美術館・五橋文庫では、蔵造りの館内で書画や陶磁器、篆刻といった多彩な所蔵品を展示しています。
ワークショップも行っており、特に四角い石に1~2文字の篆書体の漢字を彫る「篆刻体験」が大人気。カップルでお互いの名前を彫ってプレゼントしあうなど、思い出深い時間を過ごせますよ。
具体的にどのような施設なのか、まずは酒井酒造美術館・五橋文庫の特徴から伺っていきましょう。
展示の中心:書・画・陶磁器の貴重なコレクション
編集部
まずは、酒井酒造美術館・五橋文庫にてメインで展示している作品について教えてください。
大石さん
酒井酒造美術館・五橋文庫は、地酒造りにおいて150年余の歴史を持つ「酒井酒造株式会社」の5代目が創立した美術館です。3代目が残したものと5代目のコレクション、そして、陶芸家・小林東五氏らから寄贈された美術品が集結しており、硯・筆・墨などに関係する文房四宝や陶磁器、書画、篆刻印(※1)、書籍などの所蔵品を約500点所蔵・展示しています。
(※1)書道や絵画などの書画作品に落款(サイン)として押される印のこと
建物は小さな蔵造りで、館内の展示は1階と2階で別々の内容です。所蔵品の展示はテーマを絞り、できるだけ身近に感じていただくことを心がけています。
編集部
大石さんが特に好きな展示はどちらでしょうか?
大石さん
戦前の3代目が趣味にしていた書・画のコレクションや、5代目が収集した酒器・篆刻印です。
▲酒井酒造美術館・五橋文庫に展示されている書のコレクション
また、酒井酒造の歴史をご紹介している展示もおすすめです。酒井酒造では錦川に架かる錦帯橋から名付けた「五橋」という銘柄の酒を醸しており、展示を通じて『日本酒造りにも文化がある』ということも発信しております。
岩国の歴史と文化を伝える企画展
編集部
酒井酒造美術館・五橋文庫では企画展も開催しているそうですね。過去の企画展の内容や、今後予定している内容についてご紹介ください。
大石さん
過去には、壁にはお軸仕立ての書・画を、展示台には酒器の展示をはじめ、岩国の名勝・錦帯橋の歴史や文化にも関わりの深い篆刻に関する企画展を開催してきました。
今年(2023年)は、当館近くにある5連の木造アーチ橋「錦帯橋」が架けられて350年となる節目の年なので、錦帯橋に関わる企画展を開催しました。
ちなみに錦帯橋ゆかりの人物である独立性易禅師は「日本篆刻の祖」といわれており、江戸初期に医者として日本に滞在する間に中国明代の文化を残し、錦帯橋架橋に繋がったとされています。篆刻を通じて地元の歴史や文化を感じ、美術品に親しむ企画を長く続けていく所存です。
>>酒井酒造美術館・五橋文庫で開催された過去の企画展をチェック
酒井酒造美術館・五橋文庫の魅力:蔵造りの非日常空間
編集部
大石さんが感じていらっしゃる、酒井酒造美術館・五橋文庫の魅力について教えてください。
大石さん
開館当初は、「小さくても国立博物館に負けない展示を目指したい!」と肩に力が入っていました。今ではこの建物だからこそ表現できるものや、日常では味わえない空間を、まるで書斎にでもいるかのような穏やかな時間として体感していただきたいと思うようになりました。
そういった館内に広がる非日常空間もさることながら、当館の周辺に漂う江戸時代の城下町の雰囲気も魅力のひとつです。当館を含む風景は岩国市において第1回目の景観賞をいただいた絶景なので、ぜひこの地区ならではの自然の美しさを散策とともにお楽しみください。
散策の際には、四季折々に違う表情を見せる錦帯橋にもご注目くださいね。
編集部
酒井酒造美術館・五橋文庫において「ここがおすすめ」といった取り組みがあればご紹介いただけますか?
大石さん
受付と展示室が一体化された構造になっており、来られた方にはその都度ギャラリートークを行っています。展示物に興味を持っていただけるようなお声掛けをしながら、広く一般的なことから少し踏み込んだ内容までお伝えしております。
もちろん慣れている方、美術品に精通している方にはご遠慮申し上げていますが、特に初めての方からはご好評いただいておりますよ。詳しく知りたいことなどがある場合は、レプリカなどを用いて解説を行うこともあります。
また、1階で行っている予約制のワークショップもおすすめしたい取り組みです。体験中は美術品の展示に囲まれ、まるで文人たちの楽しんだ書斎にいるような気分を味わっていただけるのではないかと思います。
カップルで楽しむ酒井酒造美術館・五橋文庫:デートプラン
ここまでは酒井酒造美術館・五橋文庫における「観光スポット」としての魅力をご紹介してきましたが、ここからは少し視点を変えて「デートの楽しみ方」について伺っていきます。
カップルで挑戦!はんこづくり「篆刻体験」ワークショップ
編集部
酒井酒造美術館・五橋文庫ではワークショップを実施しているそうですが、カップルで楽しめるような体験メニューはありますか?
大石さん
岩国の歴史と文化を背景にした「篆刻体験」をお楽しみいただけます。
事前にお知らせいただいた文字を、篆書体で石に書きこんでから刻む60分程度の体験です。体験中は、展示物に目を向けながら篆刻や美術品の説明を聞いていただきます。
▲篆刻体験での「彫る」作業
▲世界にひとつだけのはんこづくりは貴重な思い出になります!
全国に篆刻教室はありますが、日本篆刻の祖と称される独立禅師が4回訪れ、城下町作りにどうしても必要だった橋「錦帯橋」を架ける際に重要だった『西湖遊覧志』という本を見せてくれた、といった貴重な歴史をもつ場所はほかにありません。
私としては10年ほど前から個人的に篆刻講師としての活動を始め、錦帯橋ゆかりの人物が日本に篆刻を伝えた人であることを発信してまいりました。今では岩国市や山口県からも応援いただけるようになった「五橋文庫の篆刻体験」は、岩国市における名物ワークショップとして注目を集めています。
編集部
篆刻体験に興味をお持ちのカップルに向けて、デートでの楽しみ方をご紹介いただけますか?
大石さん
カップルで篆刻体験を行い、お互いに制作したものをプレゼントしあうのはいかがでしょうか。
実際に、先日広島から来られたお2人が篆刻体験をされ、彫りあげたはんこを交換されました。お互いの名前の一文字を彫りあってプレゼントしたということで、周囲は拍手喝采でしたよ。
今までたくさんのカップルや友人、ご家族が楽しまれましたが、このような場面に出会ったのは初めてでとてもうれしく思いました。
思い出に残る体験:オリジナルラベル作り
編集部
ほかにおすすめの体験があれば教えてください。
大石さん
2022年の夏に実施した「大人の自由研究・オリジナル酒造り体験」はデートにおすすめの企画です。出来あがったお酒を入れる瓶に貼るラベル作りに篆刻体験をしていただきます。彫った印を押した印影をラベルに使い、オリジナルラベルを作りました。
カップルやご夫婦で体験された方から、「思い出深いラベルに仕上がった」と喜びのお声を多くいただきましたよ。
編集部
デートの記念撮影におすすめのスポットがあれば教えてください。
大石さん
館内で篆刻体験される場合、ぜひ写真撮影もお楽しみください。
また、入り口前には大きなしだれ桜の木があり、見頃を迎える春頃には写真を撮影する方が多くいらっしゃいますよ。
酒井酒造美術館・五橋文庫周辺のデートスポット
編集部
酒井酒造美術館・五橋文庫の周辺にある、おすすめのデートコースや人気スポットがあればご紹介ください。
大石さん
午前中に当館を訪れたのちに「錦帯橋」界隈で食事を堪能するコースや、午後一番で当館を鑑賞して周囲の「吉香公園」を散策、ロープウエイで岩国城へ行くコースがおすすめです。周囲には自然豊かな環境が広がっており、季節によって異なる景色を堪能しながらデートをお楽しみいただけます。
ちなみに夏は夕方から鵜飼舟が出るので、篆刻をした後ホテルへチェックインしたのち、鵜飼を満喫するのもよいでしょう。川船から見る錦帯橋は、また違った美しさがあります。
なお、冬は水墨画のような錦帯橋を渡り、美術品に囲まれる中で篆刻をしてゆっくり展示を楽しんではいかがでしょうか。
酒井酒造美術館・五橋文庫からのメッセージ
編集部
最後に、酒井酒造美術館・五橋文庫に興味をお持ちのカップルに向けてメッセージをお願いします。
大石さん
「篆刻体験」は午前と午後に1組ずつとしていることもあるため、ご希望の場合はお早めに予約されることをおすすめします。ご予約の際は彫りたい内容を確認させていただきますので、ぜひカップルで話し合って決めておいてくださいね。
なお、当館に関する情報はホームページやGoogle検索、企画展示のチラシ、新聞でのお知らせ、岩国市の観光検索などでご確認いただけます。
編集部
館内の美術品を鑑賞したり、オリジナルの篆刻印を彫る体験をしたりするなかで、岩国の歴史や文化を体感する上質な時間を過ごせそうですね。ゆったりとくつろぎのデートを楽しみたいカップルや、モノづくりが好きなカップルなどにぴったりなスポットだと感じました。
大石さん、たくさんのお話をありがとうございました!
利用者の声:酒井酒造美術館・五橋文庫の評判と感想
編集部において酒井酒造美術館・五橋文庫について調べるなかで、利用者の口コミ・評判も調査してみました。ここでは、特に気になった意見を厳選してご紹介します。
- 書道のコレクションをはじめとする展示物が充実しており、コスパの高い美術館だと感じた
- スタッフの方が展示に関するガイドをしてくださり、美術品に関する知識がなくても存分に楽しめた
- 篆刻体験が面白かった!オリジナルのはんこを制作でき、良い記念になった
- 周辺に錦帯橋や岩国城といった観光スポットがあり、あわせて訪れて風情あふれる時間を過ごせた
展示内容やスタッフによるわかりやすい解説に対して、高評価の口コミが多くみられました。特に篆刻体験は大人気で、リピーターも多い印象です。
また、周辺には人気の観光スポットが多いため、移動に時間をかけずにさまざまなスポットでデートを楽しめることも魅力的だと思います。
酒井酒造美術館・五橋文庫の利用案内:料金と予約方法
ここでは、酒井酒造美術館・五橋文庫の料金や予約、混雑しない日時に関する情報をまとめました。
入館料と体験料金:大人700円から
酒井酒造美術館・五橋文庫の入館料は以下の通りです。
- 一般:700円
- 大学生:500円
- 高校生以下:無料
なお、篆刻体験を行う場合の料金は以下をご確認ください。
【石を彫るだけの基本コース】
- 1.2cm角に1~2文字:2,500円(入館料込)
- 1.5cm角に1~2文字:3,000円(入館料込)
※大学生300円、高校生以下500円割引
上記のほかにデザイン・文字入れ・彫る作業をすべて自分で行うコースもあり、その場合は4,500円(入館料込)です。(石により別途追加料金あり)
予約:篆刻体験のみ事前予約が必要
美術品の鑑賞のみ行いたい場合は、事前予約は不要です。ただし、篆刻体験を希望する場合は、基本的に電話またはメールでの予約が必要となるためご注意ください。
「酒井酒造美術館・五橋文庫」の基本情報(アクセス・開館時間)
住所 | 〒741-0081 山口県岩国市横山2-4-32 |
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連絡先 | 0827-28-5959 |
アクセス | 【電車】 ・JR岩国駅から岩国バス「錦帯橋行」→錦帯橋バスセンター下車、徒歩約7分 【車】 ・山陽自動車道「岩国IC」から約10分 |
営業時間 | 9:00~17:00(入館は16:30まで) |
休館日 | 水曜日 ※臨時休館(展示替え・体験依頼等の出張など)もあるため、詳細はホームページで要確認 |
駐車場 | なし(錦帯橋付近に有料駐車場あり) |
トイレ | なし(近くに公衆トイレあり) |
入館料 | ・一般:700円 ・大学生:500円 ・高校生以下:無料 |
所要時間の目安 | ・観覧:30~60分程度 ・篆刻体験:1~2時間程度 |
公式URL | https://gokyo-bunko.or.jp/ |
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