倉敷市の日本郷土玩具館で1万点の郷土玩具に出会う和風デートプラン
この記事では、岡山県倉敷市にある「日本郷土玩具館」を訪ねて、全国各地から収集された1万点以上の郷土玩具を見学し、魅力的な商品のお買い物も楽しむという、充実したデートプランを紹介します。
日本郷土玩具館は、倉敷市の美観地区内に位置し、江戸時代の米蔵を改装した建物が趣深い雰囲気を醸し出しています。中庭を囲むようにギャラリーやショップも併設されており、おしゃれで知的な雰囲気のデートにぴったりのスポットです。
今回は、日本郷土玩具館の魅力や見どころ、デートでの楽しみ方などについて、同館スタッフの鈴木さんにお話を伺いました。
全国の郷土玩具が1万点以上!江戸期の米蔵で味わう「和の懐かしさ」
▲展示室内の様子。全国各地の郷土玩具が豊富に展示され、眺めていて飽きない
「日本郷土玩具館」に展示される玩具の数々は、現館長の大賀さんと義父である初代館長の手で、全国各地から時間をかけて集められたものです。2棟に渡って展示されており、どの玩具からも優しさと懐かしさが醸し出されています。日本の伝統と文化が凝縮された、貴重なコレクションとなっています。
ここからは、同館の展示内容について、具体的に伺っていきましょう。各地域の特色ある郷土玩具や、時代を反映した玩具の変遷など、興味深い展示が待っています。
倉敷川のほとりの和風博物館。カフェやショップも併設
編集部
初めてお邪魔しましたが、和の風情たっぷりの蔵のような建物で、柳がなびく倉敷川が目の前に流れ、古きよき日本を体感できそうな施設ですね。
最初に、コンセプトやロケーションなどについて、お話しいただけますか?
鈴木さん
私ども日本郷土玩具館は、地元では「gangukan」の愛称でも親しまれ、倉敷市の「美観地区」に位置しています。目の前には倉敷川が流れ、柳が風になびく光景は美しく、和の風情にあふれた景観を楽しめます。
建物は、倉敷が江戸時代に天領であった頃から、この地で商売を営んでいた先人が残した米蔵をそのまま活用しており、地元の豊かな歴史も感じていただけます。1967(昭和42)年に開館し、全国の郷土玩具を展示する「博物館」を中心とした複合施設として運営しています。
公式:日本郷土玩具館「玩具の博物館 日本郷土玩具館 gangukan」
敷地内には、「博物館」に加えて、玩具・雑貨を取り扱う「ショップ」、全国の作家によるクラフトやアートの展覧会を開催する「プラスワンギャラリー」、日常使いの器を販売する「サイドテラス」があります。
公式:日本郷土玩具館「プラスワンギャラリー +1GALLERY」
公式:日本郷土玩具館「サイドテラス SIDE TERRACE」
さらに、テイクアウトも可能な併設の「サイドテラスカフェ」がリニューアルオープンしました。詳細は以下の公式インスタグラムでご確認いただけます。
江戸時代の米蔵と中庭の四季:日本の風情を五感で楽しむ
編集部
展示品を見学する際に、おすすめの方法や頭に入れておくとよいポイントなどがあれば、教えてください。
鈴木さん
当館では、玩具をできるだけ自然な状態で保存するため、エアコンを設置していません。代わりに、江戸時代から続く米蔵の特性を活かして展示室として利用しています。
▲お祭りの夜の「日本郷土玩具館」。江戸時代に建てられた本物の米蔵の特性を活かした博物館
分厚い土壁が耐火性と断熱性を高めており、独特の室温と湿度を体感できます。真夏は暑く、真冬は寒くなるため、春や秋といった気候の穏やかな時期にお越しいただくと、ゆっくりと快適に展示品をご覧いただけます。
編集部
展示内容以外の館内の見どころがありましたら、ご紹介いただけますか?
鈴木さん
博物館やショップ、ギャラリーなどが中庭とテラスを囲むように建っているので、一周して楽しめるのが特徴です。また、江戸時代から可能な限り当時の姿を保っている米蔵の内部空間も魅力的です。ぜひじっくりとご覧ください。
▲季節を感じられる中庭やテラスも!フォトジェニックなシーンが多い博物館
日本の昔ながらのおもちゃから伝わる、思い・願い・素材の温もり
▲常設展示される日本各地のお面の数々。個性豊かで、見ていて飽きないコレクション
編集部
鈴木さんが思われる、「日本郷土玩具館」の最大の見どころ・魅力と言えば、どちらになるでしょうか?
鈴木さん
玩具、すなわちおもちゃは、皆さんにとっても身近な存在ではないでしょうか。全国のたくさんの伝統玩具が一堂に会する光景は圧巻の一言です。大きなものから小指ほどの小さなものまで、実に多様な玩具が展示されています。
プラスチックやビニールの人形などがまだなかった時代に、子供たちに親しまれてきた日本の昔ながらのおもちゃからは、そこに込められた人々の思いや願い、素材の温もりなどが伝わってきますよ。木や紙、布などの自然素材を使った玩具の魅力を、ぜひ体感してください。
編集部
ほかの類似施設と差別化できる部分や、ちょっと自慢したいスポットなどが館内にあれば、ぜひ教えてください。
鈴木さん
館内の「ショップ」では、現在も作り続けられている昔ながらのおもちゃを販売しており、子供さんだけでなく、大人の方もけん玉や独楽(こま)などで遊べるんですよ。懐かしさと新しい発見が同時に味わえる、貴重な体験ができます。
▲「ショップ」で展示・販売中の各地の郷土玩具の数々。全国の昔懐かしいおもちゃを入手できる博物館は、とっても希少な存在!
また、「吉備津(きびつ)土人形」など、選りすぐりの全国の郷土玩具も販売しております。日本中の昔懐かしいおもちゃを入手できる博物館というのは、当館以外では国内にもほとんどないのではないでしょうか。
そして、お天気がよい日には、季節を感じられる館内のテラスで、米蔵やガラス張りのショップ「サイドテラス」を背景に写真を撮っていただくと、インスタ映えする一枚を狙えますよ。密かな人気撮影スポットです。四季折々の風景と建物の趣が融合した、独特の雰囲気を楽しめます。
懐かしい郷土玩具探しとギネス記録玩具の発見
編集部
次に、メインの展示(常設展)について、ご紹介をお願いします。展示品の見どころや楽しみ方などにも、触れていただけると嬉しいです。
鈴木さん
常設展示中の郷土玩具は、日本全国から収集したもので、おおよそ1万点を数えます。展示は地方色あふれる郷土玩具から始まり、中庭を抜けて別棟に移ると、達磨や土人形などを展示するコーナーがあります。
▲常設展示中の日本各地の郷土玩具の数々(一部)。種類の多さ、美しさに驚く
その奥には、珍しい次郎左衛門雛を始めとする雛人形や、天神さまの展示が部屋いっぱいに広がっています。また、大凧(おおだこ)の展示は天井にまで及んでいます。別棟の2階では、木製玩具と独楽(こま)を中心とした展示をご覧いただけます。
▲天井の大凧。各地の郷土玩具の数々からも、日本という国の文化力の高さを痛感する
また、1983年6月22日に、当時の館長が自身で作った直径90cmの大きな独楽を自力で回して、世界最長の1時間8分57秒のギネス記録を打ち立てました。この記録達成時に使用された大独楽も見どころの一つです。
特に日本各地の郷土玩具の展示は、多くの方が時間をかけてじっくりご覧になります。自身と縁のある土地の玩具には愛着を感じやすいですし、カップルで各地の玩具を見比べながら、お気に入りの可愛らしい玩具を探すのも、楽しい時間の過ごし方になるでしょう。
企画展で出会う期間限定の特別な玩具たち
編集部
特別展示(企画展)についてもご紹介をお願いします。定期的に開催されているものなどもあるのでしょうか?
鈴木さん
博物館のすぐそばに、内蔵をリノベーションして開放した「プラスワンギャラリー」があります。こちらでは、干支の玩具の展示・販売を毎年11月末から年始にかけて開催しており、大変好評です。全国各地の職人や作家が手掛ける個性豊かで可愛らしい干支の玩具を購入できる貴重な機会となっています。
▲館内の「プラスワンギャラリー」では、洗練された印象の企画展や展覧会が多く開催される
また、プラスワンギャラリーでは、さまざまな企画展や展覧会などを随時開催しています。今後の開催スケジュールは、公式サイトやプラスワンギャラリーの公式Instagramでご確認いただけます。
現在(2023年2月時点)は、小黒三郎の組み木の雛人形や五月人形を中心に、お節句をテーマにした暖簾(のれん)やタペストリーも展示しています。季節感あふれる展示をお楽しみいただけます。
▲「プラスワンギャラリー」で展示される小黒三郎の組み木の雛人形や五月人形など。色合いもカタチも可愛らしい!
博物館・四季の風景・ショップ巡り…多彩なデートスポット
▲「倉敷うまれ」の商品・須浪亨商店の「いかご(いぐさで編まれたかご)」。素朴で実用的な中にも、洗練されたおしゃれさが感じられます
ここまでは、「日本郷土玩具館」のコンセプトや展示内容など、観光で訪れた際の魅力を中心にお聞きしてきました。ここからは、カップルがデートの一環として立ち寄る場合に焦点を当てて、お話を伺ってみましょう。
倉敷の季節イベントと合わせて楽しむ日本郷土玩具館
編集部
「日本郷土玩具館」では、デート中のカップルが楽しめるようなイベントやワークショップの開催はあるでしょうか?
鈴木さん
近年の社会情勢を考慮して、現在はイベント・ワークショップを自粛中です。しかし、状況が改善次第、醤油の試食イベントをはじめ、以前のようにさまざまなイベントやワークショップを企画・開催したいと考えています。
当館は「倉敷春宵あかり」や「倉敷屏風まつり」、「倉敷雛めぐり」などの地域イベントにも協賛しています。これらのイベントでは、インスタ映えするシーンが多いので、写真好きのカップルにはぜひ注目していただきたいですね。
▲ライトアップイベント「倉敷春宵あかり」時の「日本郷土玩具館」。夜の水面(みなも)に映る灯りが美しい
また、毎年11月頃には、美観地区一帯で「ジャズストリート」という音楽イベントが開催されます。カップルでの参加もおすすめです。
当館のガラス張りのショップ「サイドテラス」をこのイベントの会場として提供しています。緑豊かなテラスを背景に、ムーディなジャズのライブ演奏を楽しむことができますよ。
▲館内の「サイドテラス」で毎回開催される「倉敷ジャズストリート」。可能ならば、スケジュールを合わせてみたい
デートに人気の「サイドテラス」:おしゃれな空間でショッピング
編集部
館内に複数のショップがありますが、デート中のカップルのお土産探しに適しているのは、どちらだと思われますか?鈴木さんの感覚で教えていただければ嬉しいです。
鈴木さん
そうですね、「サイドテラス」がおすすめです。このショップは、かつての倉と茶室の一部を残しながら、ガラス張りの空間として生まれ変わりました。陽光が降り注ぐ中庭に面していて、明るく開放的な雰囲気が特徴です。おしゃれな空間ですので、デートにぴったりだと思います。
▲ガラス張りのショップ「サイドテラス」内の倉敷ガラスコーナー。ハイセンスだけど、嫌味のない開放的な空間
「サイドテラス」では、地元の「倉敷ガラス」を始め、ガラス器や陶器などの日常使いできるテーブルウェアを取り扱っています。職人の手仕事によって生み出される品々が特に人気です。カップルで一緒に、デートの思い出になるようなお土産を探す楽しみもあると思います。
倉敷の老舗お土産:醤油や和小物など多彩な「倉敷うまれ」商品
編集部
日本郷土玩具館さんならではの、最も人気のお土産を教えていただけますでしょうか?
鈴木さん
「倉敷うまれ」という、地元で生まれ、伝統的な材料や技法で製作されてきた当館選りすぐりのお土産が人気です。エントランスから入ってすぐ右側に、「倉敷うまれ」のコーナーがあります。
公式サイトにも「倉敷うまれ」のご紹介ページがありますので、ぜひご覧ください。
▲エントランスを入ってすぐ右手にある「倉敷うまれ」の商品を扱うコーナー。まさに郷土の逸品揃い!
特に人気なのが、江戸末期から続く「丸米醤油」です。倉敷市から「倉敷の老舗」として顕彰されており、まろやかな旨味が特徴の美味しい醤油です。パッケージは玩具館のオリジナルデザインとなっています。おうちデートの料理にも使えるので、お土産としてもおすすめですよ。
博物館デートの前後に:くらしき川舟流しで和の情緒を満喫
▲エントランスからテラスへとつながる通路。右側は、「倉敷うまれ」の商品を扱うコーナー
編集部
カップルが「日本郷土玩具館」さんを見学する前後に楽しめる、周辺のおすすめデートスポットやアクティビティはありますか?
鈴木さん
当館の前を流れる倉敷川では、川沿いの風情をゆったりと満喫できる観光川舟が運行されています。「くらしき川舟流し」と呼ばれるこのアクティビティでは、ゆっくり水面(みなも)を進む川舟に乗って、なまこ壁のある街並みや風に揺れる柳を眺めることができます。
参考:公益社団法人倉敷観光コンベンションビューロー「くらしき川舟流し」
▲「日本郷土玩具館」前を流れる倉敷川の川舟に乗る新郎新婦。何ともフォトジェニックな、古き日本の美しい光景
川舟は9:30~17:00の間、30分ごとに出発しており、乗船時間は約20分です。次々と展開する美しい景色は、SNS投稿を楽しむカップルにもおすすめのアクティビティです。
倉敷川の川舟から見た当館の姿も風情があり、船頭さんの観光ガイドも興味深い内容となっています。ぜひ一度お乗りになることをおすすめします。
▲満開の桜と「日本郷土玩具館」を川舟から眺める。ただただ美しく、インスタ映えするシーン
郷土の玩具を通じてお互いの故郷に思いを馳せてみてはいかが?
▲今回インタビューに応じてくださった「日本郷土玩具館」スタッフの鈴木さん。「サイドテラス」店内にて
編集部
これから「日本郷土玩具館」を訪れるカップルへのメッセージや、今回のインタビューで伝えきれなかった想いなどがありましたら、ぜひお聞かせください。
鈴木さん
郷土玩具は誰もが一度は触れたことがあるものですが、その姿は地域によって実に多様です。しかし、どの年代の方にも分かりやすく、楽しんでいただける展示内容になっています。人間に故郷があるように、玩具にも故郷があるのです。
郷土玩具を通じて、お二人の故郷に思いを馳せるのも、素敵な時間の過ごし方だと思います。デートの途中にも、ぜひお気軽に立ち寄って、ゆっくりとお過ごしください。
編集部
展示された数々の郷土玩具を見て感じたのは、古くから日本には子供を大切にする文化が根付いていたということです。また、玩具の多様性に驚かされました。世界を見渡しても、一つの国でこれほど多彩な郷土玩具がある国は珍しいと思います。
鈴木さん、本日は貴重なお話をお聞かせいただき、誠にありがとうございました。
来館者の声:日本郷土玩具館の魅力と楽しみ方
デートの参考になるよう、実際に「日本郷土玩具館」を見学した方々の口コミや感想をいくつかご紹介します。
- 膨大な数の郷土玩具があるので、十分な時間をとって見学することをおすすめします。
- 地域や時代ごとに整理された展示は、初めての訪問でも分かりやすく楽しめます。
- 全国の郷土玩具が展示されているので、旅行好きのカップルにぴったりのデートスポットです。倉敷らしい落ち着いた和の雰囲気も魅力的です。
- 館内だけでなく周辺環境も含めて、風情ある景観を楽しめる博物館です。老若男女問わず楽しめる施設だと思います。
「日本郷土玩具館」は全般的に高評価の施設です。特に、全国の郷土玩具が一堂に会する圧巻の展示と、昔ながらの倉敷らしい和の佇まいが魅力的だと多くの方が評価しています。子供連れはもちろん、大人のカップルも十分に楽しめる充実したデートスポットといえるでしょう。
日本郷土玩具館の基本情報
入館料 | 【博物館の見学のみ有料(ショップのレジでお支払い)】 ・大人:一人500円 ・中学生〜大学生:一人300円 ・小学生以下:無料 |
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割引 | 障害者手帳をお持ちの方は、大人300円、中学生〜大学生200円に割引 ※当該の手帳をショップのレジにて提示が必要 |
混雑しない時間帯 | どの時間帯でも、比較的ゆっくり見学可能 ※特定の時間帯に見学者が集中する傾向はあまりない |
※金額は、すべて税込表示です
住所 | 〒710-0046 岡山県倉敷市中央1-4-16 |
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電話 | 086-422-8058 ※平日10:00〜17:00の対応 ※店舗混雑時には応答できない場合あり |
アクセス | 【公共交通機関】 ・JR山陽本線/伯備線:倉敷駅下車・南口から徒歩約15分/タクシー約5分 ・水島臨海鉄道線:倉敷市駅下車・出入口から徒歩約15分/タクシー約5分 【車】 ・山陽自動車道:倉敷ICより約20分 ・瀬戸中央自動車道:早島ICより約18分 |
駐車場 | 駐車場なし ※車の乗り入れ不可のため、最寄りの駐車場を利用 ※芸文館の地下駐車場、または中央図書館の市営駐車場が便利 |
開館時間 | 10:00~17:00 ※「プラスワンギャラリー」のみ、展覧会等の最終日は16:00まで |
休館日 | 毎年元日(1月1日) ※不定期で休館となる場合あり(公式サイト・トップページをご参照) |
併設飲食施設 | サイドテラスカフェ ※リニューアル準備のため休業中(2023年2月時点) |
公式サイト | https://gangukan.jp |
公式SNS | ・Instagram |
※最新の情報は、公式サイト等でご確認ください
※記事中の金額は、すべて税込表示です