ハーモ美術館で芸術と自然を満喫!諏訪湖畔の絶景デートプラン

この記事では、長野県諏訪郡下諏訪町の「ハーモ美術館」を訪ねて、素朴派(パントル・ナイーフ)(※1)の巨匠「アンリ・ルソー」や「グランマ・モーゼス」などの作品を鑑賞し、諏訪湖や富士山のパノラマも堪能するという、ちょっと贅沢なデートプランを紹介します。

(※1)19~20世紀に存在した絵画の一傾向を指す(特定の流派ではない)。画家を本業としない者が、正式な美術教育を受けぬまま、絵画制作をするケースを意味する。税関吏であったアンリ・ルソー(Henri Rousseau)などが代表。

個性あふれるハーモ美術館が建つのは、富士山を望む諏訪湖畔の絶景の地。所蔵作品の中から、常時120点ほどが季節に合わせて常設展示されていますよ。

ちょっと知的なデートを楽しみたいカップルや、洗練された空間でゆったりとくつろぎたい二人には、ぴったりのスポットになってくれるでしょう。

今回は、そんなハーモ美術館の展示内容や魅力、デートでの楽しみ方などについて、同館の学芸員・森さんにお話を伺いました。 

諏訪湖畔で素朴派の名画を堪能するハーモ美術館の魅力

「ハーモ美術館」の正面外観(その1)
▲正面外観。なかなか特徴的な構造の建物

諏訪湖畔の「ハーモ美術館」は、アンリ・ルソー9点や、グランマ・モーゼス7点を始め、世界的に貴重な素朴派(パントル・ナイーフ)の絵画を所蔵しています。素朴派以外にも、ダリやピカソ、シャガール、マティス、ルオー、ミロ、ビュッフェなど、名だたる巨匠の作品も見逃せません。

ここからは、同美術館の展示内容について、具体的に伺ってみましょう。

自然に囲まれた美術館で心癒されるアート鑑賞体験

編集部

今回初めて「ハーモ美術館」にお邪魔していますが、諏訪湖畔の緑豊かな自然の中に建っていて、とてもリラックスできる雰囲気がお気に入りになってしまいました。

最初に、美術館のコンセプトやロケーションなどについて、お話しください。

森さん

日本では「素朴派」と訳される、「パントル・ナイーフ(仏: Peintre Naïf)」の作品を中心に常設展示する美術館です。個性的なコンセプトを持つ美術館として、世界でも注目されていますよ。

素朴派の絵画は、アカデミックな理論や技法によって生み出されたものではなく、画家が心に感じるままのイメージを一つのアートとして生み出したものです。

「ハーモ美術館」の学芸員・森さん
▲今回お話を伺った学芸員の森さん。誰にでも分かりやすいお話が印象的

当館は、静かで美しい景観の諏訪湖畔に建っており、遠く富士山を望むこともできます。2005(平成17)年に、国土交通省関東地方整備局が主催して選定した「関東の富士見百景」にも選ばれまして、素晴らしいロケーションです。

>>国土交通省関東地方整備局「関東の富士見百景」(公式サイト)

「ハーモ美術館」から望む諏訪湖と富士山
▲巨匠の作品を鑑賞しつつ、美しい諏訪湖と富士山を眺められる贅沢な美術館!

自然の中で四季の移り変わりを感じながら、心に優しい絵画を鑑賞いただけますよ。

なお、ご覧いただける作品は、絵画のみに留まりません。1階エントランスでは、サルヴァドール・ダリの彫刻「時のプロフィール」が来館される皆さんをお迎えしております。

素朴派から巨匠まで!ハーモ美術館の見応えある常設展示

編集部

次に、「ハーモ美術館」のメインの展示について、教えていただけますか?

森さん

アンリ・ルソーやグランマ・モーゼスに代表される、純粋な視点から自由な感受性を表現したパントル・ナイーフ(素朴派)の作品をメインに展示しています。

ほかにも、マルク・シャガールやサルヴァドール・ダリ、ジョルジュ・ルオー、アンリ・マティス、パブロ・ピカソなど、パントル・ナイーフ以外の名だたるアーティストの作品もコレクション中です。季節に合わせて、常時120点ほどを展示しておりますよ。

とりわけ素朴派の代名詞とされるアンリ・ルソーの作品は、当館で9点を所蔵しています。花瓶の花をモチーフにした「花」や、パブロ・ピカソの裏書がある「果樹園」など、一点一点が非常に魅力的であると同時に、極めて貴重な作品でもありまして、大いに人気です。

「ハーモ美術館」収蔵のアンリ・ルソー画「花」
▲パントル・ナイーフの巨匠であるアンリ・ルソーの作品「花」。眺めていると、不思議と落ち着く

編集部

森さんが特にお好きな展示や、コレクションがありましたら、ぜひ教えてください。

森さん

先にも触れましたが、開館当初からエントランスに鎮座する彫刻で、サルヴァドール・ダリの「時のプロフィール」がお気に入りです。でろんと溶けた時計が、木にもたれかかっているブロンズ製の作品ですが、実は時計が人間の横顔にもなっておりまして、目・鼻・口がありますよ。

ご来館される皆さんの多くは、この横顔に気が付かれませんので、ご案内して目・鼻・口を探していただくのも好きですね(笑)。

自由な鑑賞スタイルで作品をゆったり楽しむ方法

編集部

森さんおすすめの作品鑑賞の方法がありましたら、ご紹介いただけますか?

森さん

おすすめの鑑賞法は、とにかく自由にご覧いただくことです。どんな順路でも、どんな作品の見方でも構いません。時が経つのを忘れて、どうかゆっくりとご覧ください。その時のご気分によって、見方も感じ方も変わってくると思います。

「ハーモ美術館」の展示室「ティーセントホール」の様子
▲展示室「ティーセントホール」。心の赴くままに、好きなだけ作品と向き合える

そして、疲れたらちょっと一息。綺麗な諏訪湖を目の前に眺めながら、ティールームでのゆったりコーヒータイムもおすすめですよ。

名画とピアノの共演!ハーモ美術館の隠れた魅力

「ハーモ美術館」の別館展示室の様子
▲別館展示室。比較的空いていることも、デート向きの美術館である理由

編集部

森さんが思われる、「ハーモ美術館」の魅力や見どころについても、教えていただけますか?

森さん

当館の一番の魅力は、誰にも邪魔されずに、ゆったりと世界屈指のパントル・ナイーフ(素朴派)のコレクションと、世界的芸術家の作品をご覧いただけることでしょうか。

セキュリティ担当が目を光らせていることもありませんし、よくも悪くも来館者が多い美術館ではないので、静かにご自分だけの時間を満喫していただけます。

編集部

ほかの類似施設と差別化できるポイントや、ちょっと自慢したい部分などがありましたら、ぜひお話しください。

森さん

アンリ・ルソーに代表されるパントル・ナイーフの世界屈指のコレクションがあること、これが当館の最大の魅力だと思います。先ほどもお話ししましたが、アンリ・ルソーの作品は9点を所蔵しており、これは国内最多のコレクション数です。

編集部

館内で、展示作品以外の見どころがありましたら、併せて教えていただけますか?

森さん

当館は、建物の構造が独特なので、建築家の方や建築を学んでいる学生さんが建物を見学にいらっしゃることもあるんですよ。この構造ゆえに、ご来館された方が館内で時折迷子になります(笑)。

「ハーモ美術館」の裏手外観と諏訪湖
▲独特な構造の建物で、諏訪湖はすぐ目の前

また、コンサート開催が可能な展示室も設けられ、「世界三大ピアノ(※2)」と名高いオーストリア・ベーゼンドルファー製のグランドピアノ(セミコンサート)がありますよ。モデル225なので、一般的な88鍵ではなく、92鍵あるのが特徴です。

(※2)一般には、ドイツの「C. Bechstein(ベヒシュタイン)」、オーストリアの「Bösendorfer(ベーゼンドルファー)」、そして米国の「Steinway & Sons(スタインウェイ)」の3ブランドを指す。

艷やかで深みのある音色を奏でる名器で、どなたでも弾いていただけます(有料・条件あり)。運がよければ、素晴らしいピアノ曲に耳を傾けながら、作品鑑賞ができるかもしれませんね。

編集部

季節など来館のタイミングが違うことにより、それぞれの楽しみ方がありましたら、ご紹介ください。

森さん

外光を採り入れた館内から眺める外の景色は、季節によって雰囲気が大きく違います。鑑賞する時期によって、作品の感じ方も変わってくるかと思いますね。

「ハーモ美術館」から眺める秋の諏訪湖
▲「ハーモ美術館」から眺める秋の諏訪湖。季節によって、景色の雰囲気も変わる

何と言っても、当館の目の前は、諏訪湖と富士山の絶景です。冬季は諏訪湖が凍結しまして、「御神渡り(おみわたり)(※3)」がご覧になれるかもしれません。冷たく澄んだ空気の中では、富士山も一層くっきりと、大きく見えますよ。

(※3)冬の諏訪湖で見られる自然現象。諏訪湖が全面凍結すると、南岸から北岸にかけて氷が裂け、高さ30~180cmほどの氷の山脈ができる。諏訪湖の伝説では、諏訪大社「上社」の建御名方命(男神)が「下社」の八坂刀売命(女神)の元に通った道だといわれている。

「ハーモ美術館」から眺める冬の諏訪湖
▲展示室から眺める冬の諏訪湖。神秘的な「御神渡り(おみわたり)」が見られることも

美術鑑賞以外も充実!カップルで楽しむハーモ美術館

「ハーモ美術館」の併設カフェを展示室から眺めた様子
▲併設カフェを上階の展示室から眺める。開放的で、気持ちのよい空間作りがされている

ここまでは、「ハーモ美術館」のコンセプトや展示内容など、観光で訪れた際の魅力を中心にお聞きしてきました。ここからは、デートの一環で立ち寄る場合に特化して、お話を伺ってみましょう。

絶景を眺めながらのカフェタイムで二人の時間を満喫

編集部

館内にカフェが設けられていますが、簡単にご紹介をお願いします。メニューにも触れていただけると嬉しいです。

森さん

諏訪湖と富士山を一望できるティールーム「ル・カフェ・ダルモニー」を併設しています。美術館にご入館の方はもちろん、どなたでもお気軽にご利用いただけるカフェです(入館料不要)。

「ハーモ美術館」の併設カフェの様子
▲大きな窓からは、諏訪湖や富士山を一望できるという、何とも贅沢な併設カフェ(入館料不要)

コーヒーや紅茶などは、タイ王室御用達の「ベンジャロン焼き」のカップでご提供していますよ。絶景を眺めつつ、エスニックなテイストもあるゴージャスなカップで召し上がる一杯は、至福の味わいかもしれません。

しかも、ブレンドコーヒー(ホット)も紅茶(ホット)も各400円、パウンドケーキセット(ブレンドコーヒーまたは紅茶付き)が600円など、リーズナブル価格で召し上がれますよ。

また、カフェには、ミュージアムショップ(入館料不要)も隣接していますので、ゆっくりとくつろぎながらお土産を選んではいかがでしょうか。

「ハーモ美術館」の併設ミュージアムショップの様子
▲世界各国の雑貨が取り扱われ、日常使いできる美しいアイテムも豊富。宝探しのような、楽しいショッピングができる

思い出づくりに最適!ミュージアムショップでのお土産探し

編集部

カフェ横のミュージアムショップで、人気になっているお土産を教えていただけますか?

森さん

よく出るのは、世界各国の雑貨ですね。絵画・写真を飾れる額や、紅茶などは定番で人気となりますが、「ナニこれ?!」といった珍品もあって、扱うアイテムはバラエティに富みます。

ぜひカップルでご覧になってみてください。楽しいお土産選びになると思いますよ。

ハーモ美術館周辺には多くのデートスポットも!

編集部

「ハーモ美術館」を訪れる前後にカップルが立ち寄れる、近隣のデートスポットがありましたら、ご紹介をお願いします。

森さん

まずは、最古の神社の一つとも伝わる諏訪大社「下社」に立ち寄って、お二人でお参りいただくとよろしいでしょう。

下社には2宮(春宮・秋宮)があります。「春宮」は川辺に鎮座しており、境内には御影石の大鳥居や、御神木の杉の木がありまして、清々しく雰囲気のよい古社です。

「秋宮」は中山道で唯一温泉の湧く「下諏訪宿」の中心地にほど近く、境内の手水からも温泉が流れ出ています。 拝殿、神楽殿ともに国の重要文化財に指定されており、青銅製では日本一大きいとされる狛犬など、見どころもたくさんあります。

>>諏訪大社(公式サイト)

「ハーモ美術館」から眺める秋の諏訪湖と富士山
▲「ハーモ美術館」から眺める秋の諏訪湖と富士山(中央奥)。周辺には、デート向きのスポットも多い

その後に、300年余りの歴史がある、「下諏訪宿」の風情ある街並みを散策されるといいかもしれませんね。諏訪大社「下社」の門前で、中山道と甲州道が交差する交通の要所として栄えました。

>>一般社団法人下諏訪町地域開発公社「江戸時代へタイムスリップ?!宿場風情を残す宿」(参考サイト)

下諏訪宿では、古式ゆかしい旅籠が今でも温泉・料理旅館として営業していますよ。可能ならば1泊して、ぜひ古きよき信州の雰囲気をたっぷりと味わってみてください。

>>下諏訪温泉旅館組合(公式サイト)

ランチには、下諏訪名物の鰻や、お蕎麦はいかがでしょうか。当館からの徒歩圏内にも、美味しいお店はいくつもあります。昔ながらの街並みに溶け込むカフェで、お二人でのんびりと過ごすのも、これまたおすすめです。

>>一般社団法人下諏訪町地域開発公社「下諏訪グルメ」(参考サイト)

ハーモ美術館からのメッセージ

「ハーモ美術館」の学芸員・森さんと展示作品▲分かりやすいお話と笑顔が印象的な学芸員の森さん

編集部

これから「ハーモ美術館」を訪れるカップルへのメッセージや、今回のインタビュー取材で伝えきれなかった想いがありましたら、ぜひお話しください。

森さん

ご来館いただいた皆さんから、「とってもよい美術館でした。また来ます!」とお声掛けいただくことがあります。ぜひ周りにも宣伝してくださいという旨をお伝えすると、「あまり宣伝したくないんです。」と返されるケースも多いです。

理由を伺うと、「すっかりお気に入りで、今の雰囲気のままで独り占めしたいから。」なんて言われることもあります。当館は、そんな美術館なんですよ。今のところ、わりと独り占め(二人占め?)できます(笑)。

お二人だけで、時が経つのも忘れて、世界的な名画に囲まれてみてはいかがでしょうか。ある意味、究極の贅沢なひと時だと思いますね。

編集部

確かに、自分だけのとっておきの癒やしの空間にしておきたくなる皆さんの気持ちは、こちらに伺うとよく理解できます。リピーターとして、折に触れて訪れたくなる美術館というのは、なかなか貴重な存在だと感じました。

森さん、本日は年始のお忙しいところにお時間を割いていただき、どうもありがとうございました。

ハーモ美術館の口コミ・感想をチェック!

「ハーモ美術館」から眺める春の諏訪湖と富士山

デートの参考になるよう、「ハーモ美術館」を実際に訪れた皆さんが残した口コミや、感想をいくつかご紹介しましょう。

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建物も景色もお気に入りです。時が経つのも忘れて、すっかりのんびりできました。
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気取りのない、明るい雰囲気が素敵!ルソー好きが幸せを感じる美術館。
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心に響く絵と、解説文が最高です。豊かな気持ちになれる美術館でした。
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作品だけでなく、スタッフの皆さんも素晴らしい!夏休みシーズンでも、ゆったりと鑑賞できた。

高評価の美術館です。アンリ・ルソーやグランマ・モーゼスなど、パントル・ナイーフ(素朴派)の絵画鑑賞を目当てに訪れる方だけでなく、あまり前提知識がない状態で立ち寄った場合にも、また訪れたいと感じる方が多いようでした。

絶景を楽しめるロケーションや、くつろげる併設カフェを評価する声も目立ちます。西洋絵画について、前提知識のないカップルがデートの一環で立ち寄っても、満足度の高いひと時になりそうです。

ハーモ美術館の料金・割引・混雑しない日時

「ハーモ美術館」の正面外観(その2)

入館料 【常設展】
大人:1名1,000円
子供(小学生~高校生):1名500円
※特別展開催中は、入館料が変更となる場合あり(公式サイト・トップページの「News/新着情報」をご参照)
※併設カフェとミュージアムショップのみを利用する場合、入館料は不要
割引

子供(小学生~高校生):毎週土曜日の入館料を10割引(無料)
※特別展開催期間中を除く

障害者手帳を持参された本人:入館料を200円割引
※同伴者1名は、100円割引

パンフレットを持参された本人:入館料を100円割引

混雑しない時間帯 平日であれば、どの時間帯も比較的空いている

※金額は、すべて税込表示です。

ハーモ美術館の基本情報(アクセス・営業時間など)

住所 〒393-0045
長野県諏訪郡下諏訪町10616-540
電話 0266-28-3636
アクセス

【公共交通機関】
JR中央本線:下諏訪駅下車で徒歩約18分/タクシー利用で約5分

【車】
中央自動車道:諏訪ICより約20分/岡谷ICより約15分

駐車場 東隣の「みずべ公園駐車場」を利用(無料)
※普通乗用車80台分
開館時間

【4~9月】
9:00~18:00
※社会情勢を考慮して、当面の閉館時刻は17:00

【10~3月】
9:00~17:00

休館日 なし(年中無休)
※展示替え等により、臨時休館となる場合あり(公式サイト・トップページの「News/新着情報」をご参照)
併設飲食施設・売店 ティールーム「ル・カフェ・ダルモニー」
ミュージアムショップ
公式サイト https://www.harmo-museum.jp/
公式SNS InstagramTwitter

※最新の情報は、公式サイト等でご確認をお願いいたします。
※記事中の金額は、すべて税込表示です。