北海道大樹町への移住!宇宙産業と芸術支援が魅力の町
この記事では、地方への移住を検討している人に向けて「北海道大樹町(たいきちょう)」をご紹介します。
大樹町は、40年以上前からロケット開発を進める「宇宙のまち」として知られています。宇宙や酪農関連の仕事が多いなか、若手アーティストに作業場を無償で貸し出すなど町独自の取り組みにも注目が集まっています。
北海道の中では降雪量が比較的少ないため、雪国での生活に慣れていない人でも暮らしやすい環境です。また、移住者からは美しい自然景観や豊かな食文化が高く評価されています。
今回は、大樹町移住コーディネーターの岡山さんにインタビューを行い、まちの魅力や実際の生活について詳しくお話を伺いました。
大樹町の3つの魅力:宇宙・食・芸術が織りなす独自の文化
移住者から人気のある大樹町の特徴として、以下の点が挙げられます。
- 40年以上前から宇宙産業の発展が続く「宇宙のまち」
- 酪農と漁業が盛んで、新鮮で美味しい食材が豊富
- 若手芸術家に制作場所を無償で貸し出し、文化振興に力を入れている
これらの特徴について、順に詳しく解説していきます。
特徴1:40年の歴史を持つ「宇宙のまち」としての先進性
大樹町は、約40年前から官民が協力して宇宙産業の創出を続けている、全国でも珍しい「宇宙のまち」です。
町内にある「北海道スペースポート(HOSPO)」では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)をはじめ、大学などの研究機関や民間企業によって、ロケット打ち上げや宇宙関連の各種実験が進められています。
実際に移住者の中には、大樹町に本社を構え、ロケット開発を進めるインターステラテクノロジズ株式会社に就職するケースも多いそうです。
宇宙を軸としたまちづくりに関しては、まだまだ発展の余地がある状態です。そのため、さまざまなアイディアを出して一緒に盛り上げてくれる人を大歓迎しています。
さらに、宇宙産業という新しい分野に挑戦してきた背景から、挑戦する人に対してとても好意的で、外からやって来る人をスムーズに受け入れる土壌が育まれています。
生活の中でロケットを打ち上げる音が聞こえたり、気軽に打ち上げを見に行けたりと、大樹町は身近に宇宙を感じたい人にとって、他にはない魅力を備えたまちだと言えるでしょう。
特徴2:食べすぎ注意!?酪農&漁業による豊かな食生活
大樹町の大きな魅力の一つが、美味しい食べ物が豊富にあることです。
大樹町には雪印メグミルクの工場があり、さけるチーズやカマンベールチーズが大量に生産されています。同時に、その原料となる生乳を供給できる規模の酪農産業が発展しています。
中には1,000頭単位の牛を飼育し、全てロボットで搾乳するような大型の農業法人もあるそうです。移住者の中には、このような農業法人に就職する人もいるようです。
「道の駅コスモール大樹」などの地域のショップでは、町内で作られた高品質なチーズや、深い旨味が特徴の「バナナ牛ローストビーフ」などを、手軽に購入することができます。
さらに大樹町は太平洋に面しているため、地元のスーパーには鮭をはじめとする新鮮で安価な海産物が豊富に並びます。
移住者からは「魚がとにかく安くて美味しい」「見たことのない魚もいて、スーパーを見るだけで楽しい」という声が寄せられており、地元の食材を満喫している様子がうかがえます。
食べ物が美味しすぎるせいか、移住直後には体重が増える人が多いです(笑)
特徴3:若手芸術家に作業場を無償で貸し出し!創作や作品保管の場に
大樹町は、若手芸術家を支援する「若手芸術家地域担い手育成事業」を積極的に推進しています。
この事業は若手芸術家に無償で作業場を提供し、創作活動や作品保管の場所として活用してもらうことでキャリアアップを支援するとともに、彼らの才能を活かして地域産業の発展にも貢献してもらうことを目的としています。
この取り組みは、特に東京都内の狭い環境で活動を続けるアーティストたちから大きな関心を集めており、定期的に相談や視察が行われています。
実際に移住された芸術家の方からは、大樹町の自然の音に囲まれた静かな環境で制作できることを非常に高く評価する声をいただいています。
大樹町での生活:気候・交通・医療など暮らしの基本情報
それでは次に、大樹町の暮らしに関するデータを見てみましょう。
気候 | 1月:平均気温-8.8℃ 8月:平均気温18.8℃ ※参考:気象庁 |
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人口 | 5,355人(2023年11月末時点) |
病院 | 病院:1、診療所:2、歯科:2 |
学校 | 認定こども園:2、小学校:1、中学校:1、高校:1、学童:1 |
交通 | 【バス】 ・十勝バス ・大樹町ふれあいバス ・大樹町コミュニティーバス「コスモ」 |
アクセス | 【自家用車】 ・帯広市から約1時間 ・札幌市から約3時間30分 【バス】 札幌市から帯広市まで約3時間30分、帯広市から大樹町まで約1時間45分 【飛行機】 羽田空港から「とかち帯広空港」まで約1時間30分、空港から大樹町まで車で約30分 |
近隣都市 | 中札内村、更別村、幕別町、豊頃町、広尾町 |
大樹町は北海道の太平洋側に位置するため、晴れの日が多く、積雪量も札幌市の半分程度です。
ただし、年に数回は一度に60センチを超えるほどの大雪が降るため、雪かきの準備は必要です。それでも、「北海道に移住したいけれど積雪が心配」という人にはおすすめのエリアです。
大樹町では、直径5キロ程度の中心エリアに商業施設が集中しているため、車がなくても生活できる人もいます。ただし、車があればより快適に生活できるでしょう。
ショッピングセンター、スーパー、ドラッグストア、ホームセンター、コンビニがあり、町内で基本的な生活用品を揃えることができます。移住者からは「意外と飲食店が多い」という声も上がっています。
病院については、日常的な診療で不便を感じることはほとんどありません。ただし、婦人科については車で約1時間かけて帯広市まで行く必要があります。
子育て環境:充実の支援制度と特色ある宇宙教育
大樹町では子育て世帯に対して、一人あたり10万円の「誕生祝金」や高校卒業までの医療費無償化など、独自の支援制度を用意しています。これらの支援により、子育て世帯の経済的負担を軽減し、安心して子育てができる環境を整えています。
その他の支援については、公式サイトをご確認ください。
公式:大樹町(子育て・医療費助成)
また「宇宙のまち」として、小中高と連携して宇宙に親しむカリキュラムが組まれており、ロケットの打ち上げ場を見学したり、宇宙関連の会社のスタッフから宇宙について学んだりする機会があります。これにより、子どもたちの宇宙への興味や科学技術への関心を育てています。
▲宇宙関連の会社で職業体験ができるのは、とても貴重な体験!
さらに、移住者から好評なのが少人数制のクラス環境です。小中高とも1クラス20人、1学年40人程度となっており、先生たちの目が行き届きやすく、きめ細かな指導が可能です。
小学校の校舎は10年ほど前に建て替えられたばかりで、木がふんだんに使われていることが特徴です。温かみのある空間で子どもたちが学べる環境が整っています。校長先生を含めた教師陣が若くて熱心なことも、保護者から高く評価されています。
▲建て替えられ、きれいになった大樹小学校の校舎
子どもたちは平日は学校の校庭でそのまま遊んだり、土日には近隣町村の大型の公園に行ったりして、のびのびと過ごしています。
特に毎週水曜日は、小学校に隣接した学習センターで書道や音楽、英会話などに親しめるようになっており、多くの子どもたちが積極的に参加しています。これらの活動を通じて、子どもたちの興味関心を広げ、豊かな人間性を育む機会を提供しています。
仕事事情:酪農・宇宙関連産業を中心に、リモートワークも可能
大手の求人サイトで大樹町の正社員求人を検索したところ、約150件が見つかりました。また、車で約30分の通勤圏(25キロ圏内)まで広げると、約500件の求人情報がありました(2023年12月時点)。
※参考:求人情報の一例(大樹町のみ)
※参考:求人情報の一例(大樹町から25キロ圏内)
岡山さんによると、移住者の就職先として、酪農や宇宙関連の大企業が人気であり、地域おこし協力隊への参加も注目されているそうです。
さらに、大樹町では高速インターネット環境が整備されているため、従来の仕事をリモートワークで継続しながら移住する人も増えているとのことです。
また、大樹町では新規事業者を支援する「大樹町起業家等支援事業」を実施しており、最大200万円の補助金や、店舗の購入・賃貸に関する助成を行っています。詳細は大樹町の公式サイトでご確認いただけます。
公式:大樹町(大樹町起業家等支援事業)
住まい:賃貸住宅あり。一戸建てなら新築を検討
大手住宅情報サイトで大樹町の賃貸物件を探したところ、約100件が見つかりました(2023年12月時点)。
※参考:物件情報の一例
大樹町では、人口約5,500人の規模に対して賃貸住宅の供給が多く、住む場所を探しやすい状況です。
一方、空き家バンクはあるものの、なかなか空きが出ないのだそうです。
公式:大樹町(大樹町空き家情報)
大樹町で新規事業を始めたい、暮らしたいという方が多く、空き家はほとんどありません。広い一戸建てがほしい場合は、新しく建てるほうが現実的な選択肢となるでしょう。
また大樹町では、分譲地の提供や、移住者向けの「大樹でかなえるマイホーム支援補助金」制度を設けており、住宅取得を支援しています。
対象者や支援額などの詳細については、以下の公式サイトをご確認ください。
大樹町移住者の声:自然豊かな環境と充実した仕事・生活の両立
ここで、大樹町への移住者の声や体験談をご紹介します。
- キャンプや釣り、登山などのアウトドア活動に加え、冬季はスキーやスケートを楽しみ、家庭では園芸も楽しんでいます。
- 予想以上に雪が少なく、除雪作業も自分たちで対応できています。
- 地元の豊かな食材や料理が魅力的で、移住後約10キロの体重増加を経験しました。
- 若手芸術家地域担い手育成事業を活用し、恵まれた環境で芸術活動を継続できています。
- 地域住民とのコミュニケーションは、個人の希望に応じて調整が可能です。
- 自然豊かな環境でリフレッシュしながら、フルリモートワークを実践しています。近隣の空港も便利です。
大樹町への移住者は、酪農や宇宙関連の仕事、リモートワークなど、多様な職業に就いています。芸術活動と酪農を両立させている方もいます。
豊かな自然環境や美味しい食べ物を楽しみながら、やりがいのある仕事に打ち込み、高い生活満足度を得ているという声が多く聞かれました。
大樹町への移住準備:体験住宅や相談窓口を活用したスムーズな移住プロセス
それでは最後に、大樹町へ移住を考えている方々に向けて、活用できる具体的な支援制度をご紹介します。
移住体験:ワーキングステイ住宅で大樹町の暮らしを実感
大樹町では、1週間以上6カ月未満の滞在が可能な「ワーキングステイ住宅」を提供しています。1日あたり1,200円で、Wi-Fi完備の住宅に滞在できるため、リモートワークや移住前の下見に適しています。
この施設は、ワーケーションや移住検討者によく利用されています。
また、移住を決意した方向けに「移住希望者向け町有住宅貸付事業」があります。月額34,400円で最長6カ月間借りることができ、その期間中に理想の住居や仕事を落ち着いて探すことができます。
これらの制度の詳細については、大樹町公式サイトでご確認いただけます。
公式:大樹町(移住情報)
移住相談窓口:オンライン相談も可能な充実のサポート体制
▲今回の取材に対応してくださった、大樹町移住コーディネーターの岡山さん
大樹町への移住をお考えの方は、以下の担当課までお問い合わせください。
また、オンライン移住相談を随時受け付けています。実際に大樹町を訪れる際には、岡山さんをはじめとする大樹町移住コーディネーターが、現地をご案内いたします。
大樹町への移住に少しでも興味のある方は、まずはお気軽にご相談ください。皆様のお越しをお待ちしています。
担当課 | 大樹町役場 企画商工課 企画係 |
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住所 | 〒089-2195 北海道広尾郡大樹町東本通33 |
電話番号 | 01558-6-2113 |
公式サイト | https://www.town.taiki.hokkaido.jp/ |
大樹町移住まとめサイト | https://taiki-life.notion.site/b90f48b017ff4d5a922cd313e56f4163 |