高知県四万十市で暮らす良さとは?移住のための仕事・住居・支援情報
この記事では、四国での移住を検討している人に向けて、高知県四万十市(しまんとし)の暮らしに役立つ情報を紹介します。
高知県の南西部に位置する四万十市は、豊かな自然に囲まれながらも利便性が良いエリアで、ほど良い田舎暮らしをしたい方におすすめの都市です。
山・川・海に囲まれていることから、市内ではキャンプやBBQ、カヌーやサーフィンなどのアクティビティが楽しめます。
今回は四万十市役所 企画広報課・主事の岡村天暉さんにインタビュー取材させていただいた内容をもとに、四万十市の特徴や魅力についてお伝えしていきます。
四万十市の3つの特徴
四万十市は、森林が総面積の約84%を占める(※)自然豊かな都市です。
(※)参考:四万十市役所
山だけではなく、川や海も楽しめる地域で、市内には日本最後の清流として知られる「四万十川」が流れ、南東部には太平洋に面した人気のサーフスポット「平野サーフビーチ」があります。
そんな四万十市には、次のような特徴があります。
- 豊かな自然に囲まれながら、ほど良い田舎暮らしができる
- 山・川・海のアクティビティが充実している
- 新鮮な食材が豊富で、地元ならではの食が楽しめる
ここからは、これらの特徴について詳しく紹介します。
特徴1:豊かな自然に囲まれながら、ほど良い田舎暮らしができる
先述したとおり、四万十市は自然に恵まれた地域で、四万十川の周辺では、菜の花やバラ、アジサイや曼珠沙華など、季節の植物が観察できます。
参考:四万十市観光協会
また、これまでに81種類のトンボが見つかっている(※2024年3月時点)「トンボ自然公園」では、5月下旬から6月上旬にかけて花菖蒲が咲き誇り、訪れる人を魅了します。
参考:四万十市観光協会(トンボ自然公園)
一方で、街エリアには病院やスーパーなどの施設が充実し、岡村さんのお話によると、街中には商店街やコンビニ、家電量販店、全国チェーンの店舗などもあり、生活する上で不便さは感じないそうです。
自然に囲まれながらも利便性がよい四万十市は、ほど良い田舎暮らしをしたい方にとってぴったりのエリアと言えるでしょう。
自然の多いエリアから街中までは、車で10分ほどの距離です。
特徴2:山・川・海のアクティビティが充実している
山や川、海に囲まれた四万十市では、さまざまなアクティビティが充実しています。なかでも、サーフィンが楽しめる「平野サーフビーチ」は、県外からも多くのサーファーが訪れる人気スポットです。
公式:四万十市役所(平野サーフビーチWebカメラ)
岡村さんのお話によると、サーフィンができる環境を求めて四万十市に移住する方も多いそうなので、サーフィンを中心に生活したい方にとってはぴったりの移住先と言えるでしょう。
また四万十市では、川のアクティビティも充実しています。
オートキャンプ場「かわらっこ」では、四万十川のほとりでカヌーやSUP体験ができます。
初心者を対象とした体験教室や上流でのツーリングなどさまざまなコースがあるので、自分に合ったレベルで楽しみながら、徐々に上級者コースを目指すのも良さそうです。
キャンプサイトやバンガローも楽しめる施設なので、市内で自然に囲まれながらのんびり過ごしたいときに訪れてみてはいかがでしょうか。
公式:かわらっこ
特徴3:新鮮な食材が豊富で、地元ならではの食が楽しめる
四万十市は、川の幸・海の幸・山の幸を満喫できる食が豊かな地域です。代表的な食材は下記の通りで、市内の飲食店では地元の食材を使った四万十市ならではの食事が楽しめます。
- 川の幸:うなぎ、鮎、テナガエビ、ゴリ、海苔
- 海の幸:カツオ、イセギ、グレ、コウロウ
- 山の幸:四万十牛、ぶしゅかん(※)
(※)酢ミカンの一種
参考:四万十市観光協会
また、市民の台所である「幡多公設地方卸売市場」では、「せり」の見学や果物の糖度検査、カツオのたたき体験などの市場体験もできるので、子どもと一緒に訪れるのも良いでしょう。
さまざまな食が楽しめる四万十市は、移住先で美味しい食べ物を満喫したい人にはおすすめの地域です。
公式:幡多公設地方卸売市場
四万十市の暮らしに関する情報
それでは、四万十市の暮らしに関するデータを見ていきましょう。
気候 | 1月:平均7.4℃ 8月:平均27.4℃ (四万十市内に観測地点がないため、宿毛地点を参照) ※参考:気象庁ホームページ |
---|---|
人口 | 31,897人 ※2024年1月31日現在 |
病院 | 病院:6、診療所:18、歯科:18 |
学校 | 保育施設:20、小学校:13、中学校:6(うち県立中学校1校)、高校:3 |
交通 | 【電車】JR四国、土佐くろしお鉄道(中村線、宿毛線) 【バス】高知西南交通、四万十市営バス、中村まちバス(デマンドバス) |
近隣都市 | 【高知県】宿毛市、土佐清水市、高岡郡四万十町、幡多郡三原村、黒潮町 【愛媛県】宇和島市、北宇和郡松野町 |
※人口以外の数字は2024年1月時点のものです
四万十市は、夏の暑さが厳しく、2013年には西土佐で41.0℃を記録しました(※)。一方で、冬場は山間部を中心に雪が降りますが、市街地で積もることはほとんどないそうです。
(※)参考:四万十市観光協会
先述した通り、市内には病院やスーパーなど日常生活に必要な施設が揃っているため、普段の生活は市内で完結します。
しかし、空港からは離れている地域なので、利用時は車で2時間ほどの場所にある「高知龍馬空港」までアクセスしなければなりません。
よって、四万十市は市内でのんびり生活する人にはおすすめできますが、旅行や出張などが多い方にとってはあまり向いてないエリアと言えるでしょう。
四万十市には電車や路線バス以外の交通手段として、電話予約で運行する「中村まちバス」があります。料金は大人200円で、市街地周辺の公共施設や病院、スーパーなど、バス指定の停留所間を移動できます。
停留所は市内に50ヶ所以上あるので、車の運転ができない方などの移動手段として使われています。
公式:四万十市役所(中村まちバスについて)
【子育て】中学3年生までの医療費は市が全額負担してくれる
四万十市では、保育所などの給食費の無償化や、「乳幼児及び児童の医療費助成」など、子育て世帯に嬉しいサポートがあります。
「乳幼児及び児童の医療費助成」は、市内に住む0歳~中学3年生の子どもを対象とした制度で、子ども医療費(保険適用分)の自己負担額を市が全額補助してくれます。
子どもが小さいうちは、病院に行く回数も多くなりがちなので、子育て世帯にとって嬉しいサポートなのではないでしょうか。
また、四万十市では食育にも力を入れており、小・中学校の給食の食材は、地元産の無農薬減農薬の米を100%使用、野菜も優先的に地元の無農薬減農薬のものを使っています。
地域との連携の取り組みとして、市内の農業高校が生産する安全性の確保された農畜産物を、学校給食で提供する試みも考えています!
ここからは、そんな四万十市ならではの取り組みや、遊びスポットについて紹介します。
小学校では、環境学習「水辺の楽校」を実施
四万十市の小学校では、四万十川やその周辺の自然を教室に見立てた「水辺の楽校(がっこう)」が行われています。
水生生物や植物などの専門講師と一緒に、四万十川の生き物の採取や観察を行ったり、安全な川遊びの方法を学んだりしながら、身近な自然環境への理解を深めていきます。
座学だけではなく、実際に川に入って体感する四万十市の環境学習は、子どもたちにまたとない貴重な経験を積ませてくれるのではないでしょうか。
参考:四万十市役所(環境学習について)
大型遊具が充実している公園は、親子連れに人気
四万十市では、子どもたちが公園で遊ぶ姿をよく見かけます。岡村さんのお話では、市内には公園が多く、近年は人口の多いエリアを中心に、複合型遊具を入れて整備しているそうです(2023年12月現在)。
大型公園では、下田地区の土佐西南大規模公園にある「わんぱく広場」が人気で、小さい子どもでも楽しめるパネルやアスレチック遊具、大型のローラー滑り台などがあり、休日は親子連れで賑わっています。
「広い公園で、海が絶景」という口コミも多いので、気候の良い季節に家族で訪れてみてはいかがでしょうか。
公式:土佐西南大規模公園(わんぱく広場)
【仕事】求人は豊富で、市内で働く人が多数
四万十市の正社員求人を大手の求人情報サイトで検索したところ、751件の求人が見つかりました。また、車で30分程度の通勤圏(25km圏内)まで範囲を広げると、1,891件の求人情報がありました(2024年1月時点)。
※参考:求人情報の一例(四万十市のみ)
※参考:求人情報の一例(四万十市から25km圏内)
岡村さんのお話によると、四万十市内で働いている方が多いが、近隣都市へ通勤している人もいるとのこと。地元の方は医療福祉関係をはじめ、卸売業や小売業、建設業、農業などさまざまな職に就いているそうです。
市内にある農園では「農業研修」を受けることもできるので、四万十市での農業に興味がある方は、下記の公式サイトで詳細をご確認ください。
公式:四万十市役所(農業研修生の募集について)
ハローワークにも求人が出ているので、四万十市で仕事を探している方はチェックしてみてください。
公式:ハローワーク
【住まい】市内に物件あり、空き家バンクの賃貸物件も活用できる
大手住宅情報サイトで四万十市の賃貸物件を検索したところ、52件の物件が見つかりました(2024年1月時点)。家賃相場は5.1万円で、間取りは1K~2LDKまでさまざまです。
また、四万十市には空き家バンクがあり、2024年2月時点で20件の登録物件があります。賃貸物件のみで、家賃は5,000~30,000円ほどなので、四万十市への移住を検討している方は、以下の公式サイトをチェックしてみてください。
公式:四万十市役所(空き家物件情報について)
四万十市に移住した人の口コミや感想
四万十市の魅力や暮らしについて紹介しましたが、やはり気になるのは移住者の口コミなのではないでしょうか。ここでは、実際に四万十市に移住した方の声を紹介します。
- 自然が豊かで、サーフィンをするにも良い環境で気に入っている
- 新鮮な魚が安く手に入るので、食事が楽しみになった
- 地域の方が親切で暮らしやすく、みんなが知り合いなので安心感がある
- 時間に追われず、毎日を大切にしながら「丁寧な暮らし」ができるようになった
豊かな自然環境や食に関する口コミが多いことから、移住後の生活が充実していることが伺えます。地元の方も移住者を温かく迎えてくれるようなので、新しい場所で地域の方との交流を大切したい方にとってはぴったりの場所と言えるでしょう。
四万十市の具体的な移住サポート
四万十市への移住までの流れは下記の通りで、移住前には市と連携して移住支援を行うNPO法人「四万十市への移住を支援する会」のスタッフとの面談があります。
▼四万十市への移住ステップ
- 移住支援登録
- NPO面談
- 空き家、就業・起業のサポート
- 住まいの決定、引っ越し
- 移住後のサポート
参考:四万十市役所(移住支援の流れ)
NPO面談では、「どのような暮らしがしたいのか」「移住への不安はないか」などの相談に乗ってもらったり、地域付き合いがうまくいくように、田舎暮らしならではのアドバイスがもらえます。
また移住後の支援として、年に5〜6回ほど移住者交流会も行われているので、四万十市での仲間作りにも活用できそうです。
公式:四万十市役所(移住支援登録ページ)
公式:NPO法人「四万十市への移住を支援する会」
お試し住宅で「しまんと暮らし」を体験
四万十市には、お試し移住に使える木造住宅が2棟用意されています。場所は、海が近い南東部の「井沢」と近くに四万十川が流れる北部の「西土佐」で、詳細は以下の通りです。
▼井沢お試し住宅
利用可能期間 | 1~3ヶ月 |
---|---|
利用料金 | 3万円/月(水道光熱費別) |
その他 | 家具家電付、インターネット環境完備 |
▼西土佐お試し住宅
利用可能期間 | 1~6ヶ月 |
---|---|
利用料金 | 2万5千円/月(水道光熱費別) |
その他 | 家具家電付、インターネット環境完備 |
お試し住宅の入居枠は埋まっていることが多いそうなので、四万十市でお試し移住を検討している方は公式サイトを小まめに確認することをおすすめします。
公式:四万十市役所(お試し住宅について)
移住の下見は、春から夏にかけてがおすすめです。自然環境が良い季節なので、アクティビティも楽しめますよ。
四万十市の移住支援制度について
四万十市では、東京圏から市内に移住した東京23区の在住者・通勤者を対象に支援金を給付しています。また、県外からUターンされる方を対象に、引越しする際の費用を補助しています。
金額は以下の通りで、受給するためには定められた条件を満たす必要があります。
補助対象者 | 補助金額 | |
---|---|---|
地方創生移住支援金 | 東京圏からの移住者 | 単身:60万円2人以上の世帯:100万円帯同する18歳未満の者1人につき100万円加算 |
Uターン促進引越補助金 | 県外から本市へのUターン者 | 引越し費用の1/2以内(上限5万円) |
東京圏からの移住やUターンでの移住を検討している方は、以下の公式サイトで自身が条件に当てはまるかどうかをチェックしてみてください。
公式:四万十市役所(四万十市移住支援金制度について)
四万十市への移住に関するお問い合わせ
四万十市への移住については、NPO法人「四万十市への移住を支援する会」までお問い合わせください。
担当 | NPO法人「四万十市への移住を支援する会」 |
---|---|
住所 | 〒787-0027 高知県四万十市中村天神橋32 |
電話番号 | 0880-35-2357 |
iju@chic.ocn.ne.jp | |
対応時間 | 8:30〜17:00 |
定休日 | 土日、祝日、年末年始(12月29日~1月3日) |
公式サイト | ▼NPO法人「四万十市への移住を支援する会」 https://shimantocity-hataturn.com/ ▼四万十市役所(シティープロモーションサイト) https://www.city.shimanto.lg.jp/site/scp/ |