【北海道共和町への移住】住み心地はどう?暮らしの特徴・仕事・支援情報
この記事では、北海道での移住を検討している方に向けて、共和町(きょうわちょう)の暮らしに役立つ情報を紹介します。
北海道西部・岩内郡にある共和町は、温暖な気候と豊かな自然に恵まれているエリアで、米やスイカ、メロンなどの農業が盛んなまちです。
また、子育て支援が充実していることから、3年連続で出生率2.0を達成するなど、子育て世帯が暮らしやすい環境も整っています。
今回は共和町役場 企画振興課 企画調整係の小嶋将史さんにインタビュー取材させていただいた内容をもとに、共和町の特徴や魅力についてお伝えしていきます。
共和町の3つの特徴
共和町で暮らす大きな特徴として、次の3点が挙げられます。
ここからは、これらの特徴について詳しく紹介します。
特徴1:子育て世帯に向けた、手厚いサポートや独自の制度がある
共和町の出生率は、2020年から3年連続で2.0を超えています(※)。政府が掲げている「希望出生率1.8」を数年にわたってクリアしていることから、全国的に見ても出生率の高いまちと言えるでしょう。
(※)参考:日本経済新聞(2023年12月1日)
出生率が高い理由としては、共和町の出産・子育て支援など、子育て世帯へのサポートが充実していること挙げられ、以下のような取り組みが行われています。
▼共和町の出産・子育て支援
共和町不妊治療費助成事業 | 町内に住む夫婦及びパートナーを対象に、2022年4月1日以降に保険適用となった不妊治療で医療機関に支払った治療費の自己負担分を助成 |
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妊産婦交通費助成事業 | 妊産婦健康診査のための通院および出産時の受診、共和町不妊治療費助成事業の対象となる治療の通院に要した交通費の一部を助成 |
8カ月面談 | 出産・育児に対する不安を抱える妊娠8カ月を迎えた方を対象に、子育て支援センター「どろんこ」の職員による相談援助を実施 |
出産祝金 | 出生した児童を養育している保護者を対象に、以下の祝金を支給
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子育て支援センター利用促進事業 | 保育所等を利用しないで、在宅育児をしている家庭(0歳~2歳児)を対象に子育て支援センターまでの交通費または、一時預かり利用料を助成 |
子ども医療費 | 町内に住む0歳から18歳(誕生日から最初に迎える年度の末日まで)を対象に、医療費(保険適用分)の自己負担額を全額助成 |
チャイルドシートの貸付 | 町内に住む小学校就学前の子どもを養育する保護者を対象に、チャイルドシートの無償貸付を実施 |
出生届出時には、出産祝金以外にも乳幼児のオムツを捨てるためのゴミ袋(20L×100枚)が支給されるとのこと。共和町では、ゴミ出しの際には指定ゴミ袋を購入する必要があるので、このような細やかな配慮は助かるのではないでしょうか。
またチャイルドシートの貸付については、町内に住む方であれば短期間利用もできるそうなので、家族の里帰り時などにも活用できます。乳児用シート、幼児用シート、ジュニアシートの3種類があるので、子どもの年齢や体格に合わせて切れ目なく利用できるのも、嬉しいポイントです。
▲子どもの成長に合わせて種類が選べるので助かります
ほかにも、3~5歳児の保育料無償化に伴い、副食費および通園バス費を無料にするなど、町独自の子育て支援にも力を入れています。
学校生活に関連する補助金や奨学金の返還支援あり
手厚い子育て支援が魅力の共和町では、教育関連の補助金や施策も充実しています。
▼共和町の教育関連の補助金や施策
- 部活動など全道全国大会出場に要する経費の補助
- 各種検定料の助成
- 修学旅行費用の助成(バス代助成)
- スキー授業のリフト代補助
- 学校給食費の半額補助
- 準要保護世帯に対する高等学校等就学一時金の支給
参考:共和町役場(補助金・助成施策
また上記以外にも、町内に住む若者で新たに町内の事業所などに就業する方を対象とした「共和町奨学金返還支援事業」があります。「大学や専修学校(専門課程)などを卒業した方」など、定められている要件をすべて満たす方であれば、年度内の奨学金返還額が最長10年間助成されます(年度内の上限額は18万円)。
UターンやIターン、自営業などを行う方も要件を満たせば対象になるので、興味のある方は公式サイトで詳細をご確認ください。
公式:共和町役場(共和町奨学金返還支援事業について)
10年には、小中一体型の義務教育学校の開校を予定しています。
共和町の親子の交流拠点、子育て支援センター「どろんこ」
共和町の親子から評判の良い施設の一つに、子育て支援センター「どろんこ」があります。「どろんこ」は未就園児とその保護者が利用できる施設で、子どもの遊び場だけではなく、保護者同士のつながりを作る場にもなっています。
施設内には0~3歳対象で木のおもちゃが充実している「支援スペース」をはじめ、親子で楽しめるハンモックや木の砂場がある「交流スペース」、すべり台などさまざまな遊びが体験できるので、訪れた子どもたちは大はしゃぎ。
▲おままごとスペースも充実しているので、ごっこ遊びが好きな子にもぴったり
▲すべり台の先には木の砂場が広がっています
また「授乳室」や「おむつ替え専用スペース」、「子ども用トイレ」など保護者にとって嬉しい設備が備わっていることも、子育て世帯から評判が良いポイントです。
▲ベビーベッドや手洗い場もあるので、赤ちゃん連れでも利用しやすいです
子育て相談はもちろん、誕生日会やクリスマス会などのイベントの開催や、一時預かり保育事業「どろんこ☆あずかり」も実施しているので、うまく活用しながら共和町での子育てライフを楽しんでみてはいかがでしょうか。
公式:共和町役場(子育て支援センター「どろんこ」)
参考:共和町役場(一時預かり保育事業「どろんこ☆あずかり」)
共和町とのゆかりがなく、町内に知り合いがいなかった方でも、「子育て支援センターを利用して、横のつながりができた」という声をよくお聞きします。
特徴2:自然に恵まれた場所で、スイカやメロンなどの農業が盛ん
共和町は自然豊かなエリアで、大自然を一望できるニセコパノラマラインの途中には、「ニセコ・積丹(しゃこたん)・小樽海岸国定公園」の一角にある「神仙沼(しんせんぬま)」があります。
「神仙沼」は、ニセコ周辺にある湖沼のなかで最も美しく神秘的な沼と言われる自然沼で、駐車場から沼までの散策路では高山植物も観賞できます。
▲一面に広がる緑は、訪れた人々を癒します
「神仙沼」では四季折々の風景が楽しめるのはもちろん、展望台からは日本海や積丹半島を見渡せます。
▲天気が良い日には、水面に景色が映ることも
職員さんからは「自然や写真を撮るのが好きな方が、絶景に魅了されて移住することもある」と伺ったので、移住後の休日にカメラを持って訪れてみるのも良いでしょう。
参考:北海道(ニセコ積丹小樽海岸国定公園)
参考:北海道公式観光サイト「HOKKAIDO LOVE!」
共和町は海・山・川の3つに囲まれているので、空気がきれいですし、夏場は涼しくて快適ですよ。
そんな自然に恵まれた共和町は農業が盛んな地域で、米はもちろん、スイカやメロンの産地として知られ、まち独自の「らいでん」ブランドにも力を入れています。
▲甘くて高品質のすいかは、共和町の特産品です
▲共和町ではメロン作りも盛んに行われています
また小嶋さんのお話では、共和町での新規就農を検討している方には、地域おこし協力隊の制度活用がおすすめなのだそう。
地域おこし協力隊の業務を通して町内の農業者のもとで経験を積み、3年後の任期終了後に独り立ちできるようなサポートが受けられるので、さまざまな作物に触れ、自分が共和町で何を育てていきたいのかをじっくりと決められます。
令和5年度に新規就農された方は、現在メロン農家として活躍されています。
地域おこし協力隊を経て町内で新規就農された方は、「定住支援事業補助金」として以下の補助が受けられます。
- 定住支援補助(任期終了後):30万円
- 起業等経費補助:上限100万円
地域おこし協力隊員の募集は町の公式サイトで適宜掲載されるので、共和町での新規就農に興味のある方は小まめにチェックしてみてください。
参考:共和町役場(地域おこし協力隊)
特徴3:来場者数2万人の一大イベント「共和かかし祭」がある
▲毎年多くの人で賑わう共和町の「かかし祭」
毎年8月に開催される「共和かかし祭」は、近隣町村からも多くの人が訪れる町の一大イベントです。
共和町では、まちの主な産業である農業を象徴する「かかし」をシンボルとしたまちづくりが行われてきました。
来場者数2万人規模の祭りで、「かかしコンクール」や「ばん馬(※)競技大会」、「芸能ショー」など、さまざまなイベントが行われています。
(※)ばんえい競争に出走する馬。そりをひきながら力や速さなどを争う競技
▲騎手と競走馬のチームワークが光る「ばん馬の競技大会」
なかでも、「かかしコンクール」は祭りのメインイベントで、個人のみならず職場やグループで製作された100体を超える手作りの「かかし」が、町内外から持ち寄られるとのこと。
▲有名キャラクターをモデルにした「かかし」は、ひときわ目を惹きます
過去に「かかし古里賞」を受賞した「かかし」は、町内にある「かかし古里館」で観賞できるので、祭りに参加する場合は「かかし」作りを始める前に訪れて、下調べをしてみるのも良いでしょう。
参考:共和町役場(かかし古里館)
このように、町内外から多くの人が「かかし」を持ち寄り参加する祭りがある共和町は、移住先での地域交流を大切にしたいと考えている方にとって、ぴったりの場所と言えるのではないでしょうか。
「かかし祭」は2023年に第40回を迎えました。共和町の周辺地区で開催される祭りのなかで年内最後ということもあり、毎年盛り上がっていますよ。
参考:共和町役場(共和かかし祭とは)
共和町の暮らしに関する情報
それでは、共和町の暮らしに関するデータを見ていきましょう。
気候 | 1月:-3.4℃ 8月:21.4℃ ※参考:気象庁ホームページ |
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人口 | 5,389人 (2024年1月31日時点) |
病院 | 診療所:3、歯科:3 |
学校 | 幼児センター(※):2 (※)すべての児童に望ましい「保育の機会の充実」と「幼児期の教育課程を提供」することを目的とした施設 小学校:3、中学校:1 |
交通 | 【鉄道】JR北海道(函館本線) 【バス】北海道中央バス、ニセコバス |
近隣都市 | 仁木町(にきちょう)、古平町(ふるびらちょう)、泊村(とまりむら)、岩内町(いわないちょう)、倶知安町(くっちゃんちょう)、蘭越町(らんこしちょう) |
※人口以外の数字は2024年2月時点のものです
交通機関が少ないため、共和町での生活に車が必須。職員さんのお話では、冬場は風が強く、雪も多いエリアなので、ホワイトアウト時の運転に苦労することもあるそうです。
買い物は近隣の岩内町や倶知安町まで行く方が多く、岩内町までは車で約15分、倶知安町へは約25分でアクセスできます。岩内町と倶知安町には総合病院もあるので、町内の診療所で対応できない場合でも近場で専門医療を受けられます。
観光地として栄える札幌市までは車で約1時間半、小樽市までは約1時間でアクセスできるので、休日は道内をドライブしてみてはいかがでしょうか。
令和9年には高速道路が延長し、札幌まで1時間ほどでアクセスできるようになる予定です。また観光の拠点となる「道の駅」も令和9年に開業する予定です。
【仕事】町内で「農業」をする方や、近隣の「発電所関係」で働く人が多い
共和町の正社員求人を大手の求人情報サイトで検索したところ、50件の求人が見つかりました。また、車で30分程度の通勤圏(25km圏内)まで範囲を広げると、1,749件の求人情報がありました(2024年2月時点)。
※参考:求人情報の一例(共和町のみ)
※参考:求人情報の一例(共和町から25km圏内)
職員さんのお話では、町内で農業を営む方も多いそうですが、近隣の泊村や岩内町で働いている人もいるとのこと。なかでも、泊村には北海道唯一の原子力発電所「泊(とまり)発電所」があり、共和町から通勤する方も多いそうです。
移住を機に転職を考えている人は、共和町の平均年収466万円前後の求人を探すと良いでしょう。
※参考:共和町の平均年収
また共和町には、町内で新規開業しようとする事業者や、すでに営業を行っている事業者が新たに事業を行う場合を対象とした「共和町商工業活性化支援事業補助金」があります。
公式:共和町役場(共和町商工業活性化支援事業補助金)
【住まい】おすすめは町営住宅、数は少ないが空き家物件もある
大手住宅情報サイトで共和町の賃貸物件を検索したところ、掲載情報はありませんでした(2024年2月時点)。すぐに入居できる賃貸物件はありませんが、共和町には以下2種類の町営住宅があります。
- 共和町公営住宅
- 特定公共賃貸住宅(単身者向け)
入居できるのは所得などの定められた要件を満たす方で、家賃は世帯人数や入居先となる住宅状況によって異なります。役場に問い合わせすれば空き状況などの相談ができるそうなので、気になる方は公式サイトをチェックしてみてください。
公式:共和町役場(共和町公営住宅及び特定公共賃貸(単身者)住宅の空き部屋情報について)
また、移住先で空き家を検討している方には「しりべし空き屋BANK」があります。2024年2月時点で登録物件はありませんが、空き家があれば随時更新しているそうなので、空き家暮らしを考えている人は小まめに確認することをおすすめします。
公式:しりべし空き屋BANK
新築と中古住宅取得に関する一部補助を行う「定住促進住宅取得等補助金」もあるので、移住の際はご活用ください。ほかにも、共和町で就農している方や、町内の事業所で通年雇用されている方が利用できる「町有住宅」もありますよ。
参考:共和町役場(定住促進住宅取得等補助金のお知らせ)
参考:共和町 移住定住情報「共和町の住まい」
共和町への移住に関するお問い合わせ
共和町への移住については、共和町役場までお問い合わせください。
担当課 | 企画振興課 |
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住所 | 〒048-2292 北海道岩内郡共和町南幌似38番地の2 |
電話番号 | 0135-67-8795 |
公式サイト | ▼共和町移住定住情報サイト https://www.town.kyowa.hokkaido.jp/kyowa-life/index.html ▼共和町役場 https://www.town.kyowa.hokkaido.jp/index.html |
移住に関するご相談などあれば、気軽にお問い合わせください。住まい情報や町内の商業施設などについても、ご案内させていただきます。