【東京都】多摩美術大学美術館で芸術体験!カップルで楽しむ多彩な博物館デート

お知らせ

多摩美術大学美術館は2023年3月をもって多摩センター地区での活動を終了しております。
現在休館中で、新たな場所でのリニューアル・オープンに向けて準備中です。
リニューアル・オープン後の活動につきましては、詳細が決まり次第、大学ホームページ等でお知らせいたします。

公式サイト:https://museum.tamabi.ac.jp/

今回ご紹介するのは、多摩美術大学美術館と多摩センター駅周辺の博物館を巡るデートプランです。

多摩美術大学美術館は、大学ゆかりの作家の作品をはじめ古代の遺物から現代アートまで、幅広い時代とジャンルの作品を鑑賞できる美術館です。開催される展覧会は、多摩美術大学からの発信や多摩美術大学美術館独自の視点から企画されており、訪れた人々は古今東西のさまざまなアートの世界に触れることができます。

さらに、多摩美術大学美術館と一緒に訪れるスポットとして、携帯電話や通信業界の歴史がわかる「KDDI MUSEUM」や集合住宅やマンションの歴史を学べる「長谷工マンションミュージアム」など、個性豊かな博物館をご紹介します。

これらの博物館は、各分野のプロフェッショナルである企業が運営しているため、深い知識を楽しみながら学ぶことができます。それでは、このデートプランについて詳しく説明していきます。

こんなカップルにおすすめ!
向いている年代:すべての年代
おすすめカップル:美術が好きなカップル、歴史が好きなカップル
どんなデート?:美術館、博物館

多摩センター駅周辺の文化施設で感性を磨くカップルデートの概要

多摩センター駅周辺には多くの博物館や美術館があります。その中でも、幅広い芸術を鑑賞できる多摩美術大学美術館を中心にしたデートプランを紹介します。

今回のデートのメイン
多摩美術大学美術館
周辺のデートスポット
・KDDI MUSEAM
・東京都埋蔵文化財調査センター
・長谷工マンションミュージアム
・ベネッセスタードーム
・多摩市立複合文化施設(パルテノン多摩)※2022年3月リニューアルプレオープン予定
ランチにおすすめのお店
・畑deキッチン
・フロリコ食堂
・La Pala

多摩センター駅周辺は様々なテーマの博物館が立ち並ぶエリアです。2人の興味関心に合わせて博物館を選ぶと良いでしょう。

KDDI MUSEUMでは携帯電話や通信について学べ、東京都埋蔵文化財調査センターでは考古学、長谷工マンションミュージアムでは住居や集合住宅について知ることができます。ベネッセスタードームではプラネタリウムを鑑賞でき、多摩市立複合文化施設(パルテノン多摩)では演劇やコンサートを楽しめます。

1日のデートでは、多摩美術大学美術館ともう1つ博物館を選び、その間にランチをとるプランがおすすめです。あまり疲れずに楽しめますよ。

例えば、KDDI MUSEUMでは、携帯電話や通信事業の歴史と今後に関する展示をしています。館内には500もの携帯電話が展示されており、昔使っていた機種を見つけて懐かしむこともできるでしょう。

ランチは「畑deキッチン」がおすすめです。野菜中心のヘルシーな和食で、数種類のおかずを味わえる人気のお店です。男性の方は、ご飯の量が少ないと感じる場合があるので、大盛りを注文するのも良いでしょう。

では、メインのデートスポットとなる多摩美術大学美術館を詳しく紹介していきます。

地域に開かれた多摩美術大学美術館の魅力

多摩美術大学美術館の外観

多摩美術大学美術館は、多摩美術大学の附属美術館です。多摩美術大学にゆかりのある作家の作品や美術館所有のコレクションなど、幅広い年代・ジャンルの展覧会を開催しています。

多摩美術大学には「八王子キャンパス」と「上野毛キャンパス」があります。この美術館の始まりは、上野毛キャンパスの図書館に併設されていた附属美術参考資料室でした。

2000年、大学の「サテライト施設」として、大学所在地から少し離れた多摩センターに移設され、リニューアルオープンしました。これが現在の多摩美術大学美術館です。

鶴岡真弓館長の「多摩美術大学美術館は地域と世界に開かれている」という言葉通り、多摩美術大学の学生だけではなく、広く一般の方にもひらかれた美術館となっています。

多摩センター駅に近い立地にあり、周辺は賑やかですが、美術館に一歩足を踏み入れると、静かで落ち着いた雰囲気に包まれます。作品をゆっくりと鑑賞できる環境が整っており、美術好きなカップルにとっては、時間を忘れて楽しめる空間かもしれません。

今回は多摩美術大学美術館学芸員の渡辺さんに、美術館の見どころや展示されている作品についてお話を伺いました。

多彩なジャンルの展覧会を楽しめる多摩美術大学美術館

多摩美術大学美術館で展示された民族衣装
▲「多摩美術大学美術館コレクション展ーインドネシアの染色」(2014年)

編集部

最初に、多摩美術大学美術館では、どのような展示をしているのかご説明ください。

渡辺さん

本学では、大学コレクションとして、多摩美術大学ゆかりの作家作品のほか、世界各地の古美術・考古学・民族資料等を所蔵し展示しております。具体的には、エジプト・西アジア・ギリシア・ローマ・朝鮮・中国・東南アジア・北中南米・日本などの地域から幅広く収集しています。

また、多摩美術大学美術館では、現代アートの展覧会だけでなく、さまざまなジャンルの展示を行っています。絵画・彫刻といったファインアートはもちろん、デザイン・パフォーミングアート・サウンドアート・工芸・建築・映像・民族芸術・東洋美術など、古今東西の幅広いジャンルの展覧会を企画しています。

編集部

「美術大学の学生が本物の美術品を見ることで目の訓練になる」という理念のもと、古美術・考古学・民族資料の収集から多摩美術大学美術館の前身である「附属美術参考資料室」のコレクションがはじまったと伺いました。これだけ多様なジャンルのアートを見ることができるのは、芸術に興味がある人はもちろん、美術を志す学生さんにとっても大変刺激になると思います。美術大学ならではの展示内容ですね。

新進気鋭のアーティストによる博士課程展の魅力

多摩美術大学美術館の展示室
▲「多摩美術大学美術館コレクション展ー多摩美術大学ゆかりの画家たち」(2015年)

編集部

渡辺さんが思う、多摩美術大学美術館ならではの魅力があれば教えてください。

渡辺さん

当館には常設スペースはないのですが、企画展にお越しいただくたびにいつも新しい作品や表現と出会うことができると思います。

編集部

企画展のみの開催だと、いつ来ても新しい発見があり、何度来ても飽きが来ませんね。今まではどのような展覧会を開かれたのですか?

渡辺さん

近年行った展覧会としては、以下のようなものがあります。

  • 多摩美ゆかりの作家の企画展「多摩美の版画、50年」(2021年)、「現代日本画の系譜-タマビDNA」(2021年)
  • 人と場所の関わりを再考する連続企画「見えない線/Hidden Line」シリーズの「真喜志勉 TOM MAX Turbulence 1941-2015」(2000年)
  • 美術コレクターの現代的役割を再考する連続企画「Series:コレクターズ/Collectors」として「須藤一郎と世界一小さい美術館ものがたり」(2020年)、「寺田小太郎 いのちの記録─コレクションよ、永遠に」(2021年)

またこれまで本学教員の退職展、博士号取得者による博士課程展も当館で開催してまいりました。

編集部

さまざまな視点からの展覧会があり、いつ来ても興味をそそられる内容ですね。渡辺さんはどのような美術品がお好きなのですか?特に好きな展示や思い入れのあるコレクションがあれば、伺いたいです。

渡辺さん

当館では毎年3月に博士号学位取得者の作品を展示する「博士課程」展を開催しております。多様な表現による新進気鋭のアーティストたちの作品を一同に介する展覧会で、みずみずしい感性とエネルギーが感じられますよ。

また、個人的に好きな収蔵品は、私が担当した展示で出品した多摩美術大学絵画学科油画専攻の卒業生・富田菜摘さんによる廃材を使った動物モチーフの立体作品です。作品に使用されている素材は全て一度役目を終えた日用品。「廃材に新たないのちを吹き込みたい!」という思いで制作された動物の立体作品シリーズです。

多摩美術大学美術館の博士課程展で展示された富田菜摘さんの作品

多摩美術大学美術館の「寺田小太郎 いのちの記録ーコレクションよ、永遠に」展

▲「寺田小太郎 いのちの記録ーコレクションよ、永遠に」展(2021年) 撮影:中川周

いつか展覧会でお披露目できる機会があると思いますので、その時を楽しみにお待ちください。

編集部

博士課程展は一般の美術館にはない展覧会だと思いますが、ほかに多摩美術大学美術館の特徴はありますか。

渡辺さん

展示室で第一線で活躍中のアーティストに出会えるかもしれないということです。

編集部

たしかに、美術大学ですから、活躍されている在学生や教員の方々もいらっしゃいますね。一般の美術館では、活躍中のアーティストに会えることは滅多にないでしょうから、貴重な経験ができそうです。

オンラインで楽しむ「いつでもどこでも TAUM」の魅力

多摩美術大学美術館で行われたイベント
▲「東北のオカザリー神宿りの紙飾り」展 切り紙実演(2014年)

編集部

多摩美術大学美術館ではワークショップなどのイベントは開催されていますか。

渡辺さん

各展覧会ごとに、学芸員によるギャラリートークや、アーティストや批評家などのゲスト講師を招いた講演会、展覧会にかかわるワークショップなど多様なイベントを実施しています。また、近隣小学校と連携した鑑賞授業なども開催しております。

現在は、以前のようなイベントの開催が難しい状況が続いておりますが、多摩美術大学美術館のYouTube公式チャンネル「通称:いつでもどこでも TAUM(タウム)」では、おうち時間を充実したものにする様々な動画を配信しています。ぜひご覧ください!

多摩美術大学美術館YouTube公式チャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCOvu6kaJ1sP0QXut4RBKr7g

編集部

多摩美術大学美術館には学生をはじめ、さまざまな人々が見学に訪れているかと思いますが、来館した人にどのようなことを感じてもらいたいですか?

渡辺さん

美術館で展示されている作品の背景には必ず作品をつくった「人」すなわち「つくり手」の姿があります。美術館は作品を通じて「つくり手」と「みる人」をつなぐ場所ともいえるでしょう。つくり手の思いや考えに想像を巡らせながら、作品と対話をしていただけると嬉しいです。

編集部

特に多摩美術大学美術館では、活躍中のアーティストも来館されるそうですので「つくり手」と「見る人」が繋がりやすそうですね。美術に興味のあるカップルにぜひ見学に来ていただいて、つくり手の想いを感じてもらいたいと思います。

カップルで心に刻む美術館での思い出づくり

多摩美術大学美術館の展示室
▲「タマビガラス」展(2015年)

編集部

カップルがデートをする時に写真撮影をしたいと思う人もいると思いますが、許可されていますか。

渡辺さん

申し訳ありませんが、館内に常設の撮影スポットはありません。美術館の外のスペースでしたらいつでも撮影をしていただけます。館内では撮影ができる展示とできない展示があります。

記念写真を撮ることができなくても、大切な人と過ごした時間の思い出は、二人の心のなかにずっと残るのではないでしょうか。

編集部

訪れる時期が違うことにより得られる楽しみや、特定の季節ならではの見どころなどがあれば教えてください。

渡辺さん

大学の周辺環境についてお話しますと、春には多摩ニュータウン通りに沿って流れる乞田川の両側約3kmにわたり、500本以上の桜が咲き誇ります。

多摩美術大学美術館周辺にある乞田川の桜

また多摩センターの冬の風物詩の一つ、イルミネーションも見事です。クリスマスの時期が近づくと、パルテノン大通りではクスノキを彩るシャンパンゴールドのイルミネーションが煌めきます。(2021年10月22日(金)~2022年2月28日(月)まで開催予定)

パルテノン大通りのイルミネーション
▲イルミネーションを見るとクリスマス気分が高まります。

さらに、近隣の自然環境も魅力的です。多摩センターが位置する多摩丘陵には古き佳き"里山"と"谷戸"の景観が残っているため、雑木林や田んぼ、ため池といった四季折々に表情を変える里山の景観を楽しむことができます。

多摩丘陵の公園にある遊歩道
▲多摩丘陵からは街並みを見下ろせます。

編集部

多摩美術大学美術館の展覧会は、だいたい会期が2か月ですので、季節ごとに来館すれば、別の展覧会を見ることができるのでリピートの楽しみがありますね。

来館者が語る多摩美術大学美術館の魅力

多摩美術大学美術館の展示室
▲「タマビガラス」展(2015年)

編集部

多摩美術大学美術館に来館された方々の感想にはどのようなものがありますか。

渡辺さん

お客様からは、主に以下のような感想をいただいています。

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静かに落ち着いて鑑賞することができる。
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ふらっと気軽に立ち寄ることができる。

大きすぎず小さすぎない、ゆっくり鑑賞するのにちょうど良い規模感、そしてアットホームな雰囲気も当館の魅力ではないかと思います。

近隣にお住まいの方が買い物帰りや散歩中に気軽に立ち寄ることのできるような、美術館が地域に開かれた場所となるようにこれからも目指していきたいです。

リピーターも満足!多彩な展示が魅力の多摩美術大学美術館

多摩美術大学美術館の口コミをいくつか紹介します。GoogleやSNSなどで見られる実際の来館者の声を参考にしてみましょう。

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リーズナブルな入館料で気軽に見学できるのが魅力的です。
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落ち着いた雰囲気で美術鑑賞ができる、隠れた名所的な美術館です。
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個性的な展覧会が多く、訪れるたびに新しい発見があります。
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大学の美術館とは思えないほど充実した施設で驚きました。
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企画展のテーマが多岐にわたり、何度訪れても飽きることがありません。

美術館全体の評価が高いだけでなく、各企画展に対する評価も高く、多くの来館者が満足しているようです。駅からのアクセスが良く、気軽に立ち寄れる点も魅力として挙げられています。

多摩美術大学美術館からカップルの2人へメッセージ

多摩美術大学美術館学芸員の渡辺さん

編集部

最後に、これから多摩美術大学美術館を見学したいと考えているカップルへメッセージをお願いします。

渡辺さん

「アートは難しい・よくわからない」という苦手意識を持った方にこそ、美術館デートをおすすめしたいです。

当館では現在、展示室内での会話を極力お控えいただいております。カップルで鑑賞される際は、静かな展示室内で歩くペースを合わせて近くに寄り添って鑑賞したり、時には視線を送り合ってみてください。人と作品との間で非言語的なコミュニケーションが成立し得る空間では、言葉を交わさずとも、同じ時間を共有しお互いの気持ちを推し量るだけで、二人の距離はぐっと縮まるはずです。

美術館を出た後は、「多摩中央公園」の自然に浸りながら展示の感想をおしゃべりしてのんびり過ごすのもおすすめです。天気の良い日には芝生広場でピクニックを楽しむこともできます。四季折々の花をはじめ沢山の植物に囲まれて、癒しの時間を過ごせます。

多摩中央公園の芝生広場と紅葉
▲秋には紅葉も愛でることができます。

編集部

多摩美術大学美術館には、多摩美術大学の学生や美大生、アートが好きな学生カップルがよく来られるそうです。「大学の美術館だから敷居が高いのでは」と考えずに気軽に見学できるのが魅力ですね。

周辺には町と自然の両方があるので、多様なデートプランを立てられます。企画展が始まるたびに新しい美術作品と出会うことができ、行き帰りには公園や多摩センターエリアの散策も楽しめます。訪れるたびに新しい発見があるので、多くのカップルにぜひ多摩美術大学美術館を見学してほしいと思います。

本日はインタビューにお答えいただき、ありがとうございました。